佐々木麟太郎 (C)Kyodo News アメリカ・フロリダ州とアリゾナ州で行われているメジャーリーグ30球団の春季キャンプ。やはり話題の中心は日本人選手を3人抱えるドジャースだ。
3人の中でも大谷翔平に対する注目度の高さは別格だが、山本由伸と佐々木朗希も負けていない。特に佐々木は1年目でもあり、現地では大谷に引けを取らない注目を集めている。
佐々木は現地19日(日本時間20日)に行われる実戦形式の練習に登板することが決定。初となる「ライブBP」での投球に熱視線が注がれるだろう。
そしてもう一人、佐々木朗希と同じ「佐々木姓」の選手も、日米をまたにかけて話題を振りまいている。それが、同郷・岩手県出身の佐々木麟太郎である。
佐々木麟は、花巻東時代に通算140本塁打を放った長距離砲。甲子園にも2度出場し、その名を全国に轟かせた。2023年秋のドラフト会議で上位候補の一人に名前を連ねたが、プロ志望届を提出せず。熟考の末、アメリカの大学に進む道を選んだ。
高校卒業後の昨春に渡米すると、現地の大学生らに交じってMLBドラフトリーグに参戦するなど野球の本場で実戦経験を積んだ。
昨年9月にスタンフォード大学へ入学後は、野球はもちろん勉学にも打ち込んできた。一定の学業成績を残さなければ、試合はもちろん、チームの練習にも参加できないためだ。
そして迎えた今月15日、佐々木麟は大学公式戦デビューを飾ると、いきなりダブルヘッダーで3安打5打点の大活躍。その後も快打を連発し、ここまで4試合で18打数7安打(打率.389)とロケットスタートを決めている。待望の“一発”が出るのも時間の問題だろう。
これまでメジャーリーグを目標とする日本人選手は、日本のプロ野球で実績を積み、FAかポスティングで夢の舞台を目指すのが王道だった。まさに先輩の大谷と佐々木朗が辿ったルートである。
ただ、最近では東京・桐朋高校の森井翔太郎がアスレチックスとマイナー契約を結ぶなど、高校卒業後に渡米するケースも増えている。ただ、佐々木麟のように、ドラフト1位級の超高校級選手が王道ルートを外れるのは、前例がほぼない。
佐々木麟はまだ大学に入学して半年もたっていない身だが、早ければ26年夏のMLBドラフトで指名資格を得るという。今後の活躍次第では、メジャーリーグを目指す日本人選手に新たなルートができるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)