記者会見する「硫黄島帰島促進協議会」理事の土屋時子さん(中央)ら=19日午後、東京都千代田区 太平洋戦争の激戦地だった東京・小笠原諸島の硫黄島の元島民らで構成する「硫黄島帰島促進協議会」は19日、段階的な帰島を求める要望書を国土交通省に提出した。提出後、同協議会は記者会見し、「故郷に80年以上帰れないのは異常だ」と訴えた。
硫黄島では太平洋戦争末期の1945年、日米で激しい戦闘が繰り広げられ、その前年に北硫黄島を含む島民計約1200人が本土へ強制疎開させられた。同島は米軍占領下を経て68年に返還されたが、国は84年、活発な火山活動などを理由に「一般住民の定住は困難」と表明。現在は自衛隊の基地が置かれている。
要望書は「80年以上もの長い間にわたり強制疎開が解かれていない」と指摘。島内には自衛隊員や基地整備に当たる民間人が住んでいる点を挙げ、元島民向けの宿泊施設建設など「可能な部分から着実な帰島、居住再開への方策を進めてほしい」と求めた。
同協議会理事で元島民の土屋時子さん(82)は「まずは5世帯でも10世帯でも、国は島民が居住できるよう一歩を踏み出してほしい」と訴えた。