
フィギュアスケート四大陸選手権2025プレビュー・女子シングル編
韓国で開催されるフィギュアスケートの四大陸選手権女子シングルは、2月21日にショートプログラム(SP)、23日にフリーが行なわれる。
【千葉百音は安定感を持続できるか】
3月の世界選手権の代表にもなっている千葉百音(木下アカデミー)が、昨年に続く連覇を狙う。世界選手権3連覇中の坂本花織(シスメックス)やGPファイナル優勝のアンバー・グレン(アメリカ)は出場しないが、ふたりを追う有力選手たちによる、熾烈な争いが繰り広げられそうだ。
中心として期待されるのはやはり千葉だ。前回大会は、214.98点の自己ベストで初優勝を果たし、今季もGPシリーズ2大会で210点台を出してともに2位という安定感を見せる。昨年12月のGPファイナルでも2位と結果を出した。
だが、昨年11月のNHK杯のあと海外移動も含めた4連戦目の疲労が出た全日本選手権では、フリーでミスが出て205.69点で4位という結果。さらに今年1月のワールドユニバーシティゲームズでもフリーで得点を伸ばしきれず(203.85点)、住吉りをん(オリエンタルバイオ/明治大)に逆転されて2位に終わった。
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それでも直後の国民スポーツ大会ではSP、フリーともわずかなミスに抑えて214.52点を出し、坂本に次ぐ2位になった。その安定感を四大陸選手権でもしっかり持続できれば、優勝候補の最有力になってくる。
【現役復帰のアリサ・リュウは侮れない】
千葉に立ち向かうのは、今季不調の韓国勢のなかで唯一気を吐いていたキム・チェヨン(韓国)になりそうだ。GPシリーズ中国杯では208.47点を出しながらもGPファイナル進出とはいかなかったが、1月の韓国選手権は216.09点の高得点で初制覇している。
さらに2月の冬季アジア大会では、これまで回転不足があったフリーでノーミスの演技をして合計219.44点とし、坂本を逆転して大金星を挙げた。韓国選手権と冬季アジア大会は、ともにISU(国際スケート連盟)非公認の得点だが、自信をつけているところだろう。
さらに2022年に一度引退し今季復帰したアリサ・リュウ(アメリカ)も底力がある。自己最高得点は、トリプルアクセルに挑戦していた2021年の219.24点だが、復帰後は大技もなくシーズンベストは190点台後半にとどまっていた。だが1月の全米選手権では215.33点でグレンに次ぐ2位に。これは非公認得点だが、以前より熟成した滑りをしているだけに、侮れない存在になってくる。
【上位を狙う樋口新葉、松生理乃】
千葉、キム、リュウの3人に関しては、いずれも今季はまだ回転不足やノット・クリア・エッジ(不明瞭な踏み切り)という細かなミスをしている。ミスをより少なくした選手が勝利するきわどい勝負になりそうだ。
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その3人を追いかける存在になるのが、ともにGPファイナル進出を果たした日本勢の樋口新葉(ノエビア)と松生理乃(中京大)になる。
樋口は今季のスケートアメリカでGPシリーズ初優勝を果たし、次のフランス杯では2022年北京五輪以来の200点台となる206.08点を出した。さらに全日本選手権でも206.40点で3位と、200点台をベースにした気配も見せている。
来季へ向けてトリプルアクセルに挑戦するかどうかも見どころだが、大舞台の経験が多いだけに落ち着いた滑りを見せ、3大会ぶりの世界選手権へ向けて手ごたえをつかんでほしい。
また、昨季は体調不良もあって苦しいシーズンを過ごした松生は、今季のGPシリーズで2大会とも2位になるしぶとさを見せ、GPファイナル進出を果たした。そして、全日本選手権では、非公認ではあるが2022年の四大陸選手権以来の200点台に乗せる204.00点を獲得し、千葉に次ぐ5位になって四大陸選手権の代表に選出された。
松生の素直な滑りは大きな武器になるだけに、来季に向けても上位にどこまで迫れるかを確認する大会になる。
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【頭角を現すアメリカの新星】
GPシリーズに今季初参戦ながら201.90点の自己最高得点を出した18歳のサラ・エバーハード(アメリカ)は、1月の全米選手権でもわずかなミスだけに抑えて207.36点で3位になり、ジュニアも含めて初のISUチャンピオンシップ大会の代表になった選手。ジャンプは確実に跳ぶだけに、200点台を安定して出せる力は持っているはずだ。
上位争い以外の注目は、2023年世界選手権2位のイ・ヘイン(韓国)。今季は資格停止処分を受けて国際大会に出場していなかったが、昨年12月の国内復帰戦では190.63点を出し、1月の韓国選手権では185.33点で6位になっている。彼女の滑りも見逃せない。