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「保険の営業員や相談員、CMなどの勧誘トークはお得感いっぱいで、非常に魅力的。しかしその甘言を丸ごと信じてはだめですよ」
こう話すのは『NEWよい保険・悪い保険2025年版』の共同執筆など“保険のプロ”として活躍するファイナンシャルプランナー(FP)の長尾義弘さん。とくに50代以降の主婦のなかには「保険商品は複雑でよくわからない」と感じている人も多いはず。
「その心理に付け込まれて、甘言に乗って契約してしまうと大きな損につながりかねません」(長尾さん、以下同)
どんなセールストークが要注意か、長尾さんに実例を挙げてもらい、甘言の陰に隠れた注意点を解説してもらおう。
【実例1】ひとつの保険にいろいろな保障がついていて便利ですよ
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「大手の保険会社の主力商品は主契約の保険にさまざまな特約を追加したパッケージ型と呼ばれるもの。たしかに保険をひとつの会社にまとめることで管理が簡単で連絡などもしやすいメリットがあります。その半面、いくつもの損をしている可能性も。いちばんのデメリットは最初から多く保険がついているため、そこには不要な保障まで含まれていることがあり、ムダな保険料を支払わされていることが多いのです。
また保障内容が複雑になりすぎると、自分がどんな保障に加入しているのか忘れてしまい、請求漏れの原因にもなりがち。さらに主契約を解約すると特約も同時に解約され、必要と思っても、特約だけを残すことはできません。こうしたデメリットをよく考えて契約してください」
【実例2】保険料が一生上がらないので安心ですよ
「このセールストークが使われるのは終身払いの保険です。つまり一生涯、保険料を払い続ける保険商品なのです。終身払いの終身保険は一見、月々の保険料が安めに見え、50代には安心と思いがちです。しかし、長期間払い続ければ、その総額は最終的に受け取る死亡保険金より多くなるケースもあります。とくにこれからは長寿の時代ですから“保険料が一生上がらない”保険が必ずしもお得ではなくなっています。
保険を選ぶ際には、払い込み保険料の総額をしっかり考慮して選ぶことが肝心です」
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【実例3】お孫さんを保険金の受取人にできますよ
「死亡保険の受取人を孫にすることは可能ですが、孫がかわいいというだけで受取人にすると後で後悔することになります。死亡保険のメリットは、法定相続人ならば、死亡保険金の非課税枠が使えることになります。しかし孫の場合は、法定相続人ではないので、相続税の税制優遇は使えません。また契約の仕方によっては、相続税の対象ではなく贈与税の対象になってしまうこともあります。お孫さんのために、とささやかれても、安易に契約してしまうことは大きな損につながることがあるので注意が必要です」
【実例4】1年前に契約した保険、今解約すると損しますよ
「掛け捨ての保険のほとんどは、解約返戻金がないのでいつ解約しても損はありません。一方で解約返戻金がある保険は支払った保険料より返戻金のほうが少なくなるので確かに途中解約すると損にはなりますが、もし1年前に加入してしまったものの不要な保険だと気づいたときは少しの損は覚悟しても解約したほうがよい選択といえるでしょう。営業員は、契約後1年以内に解約されると自分にペナルティが発生するケースも多く、解約を避けたいという気持ちが働いていると思われます」
【実例5】この保険は“お祝い金”がでるのでお得ですよ
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「医療保険などには“健康祝い金”をえる特約がついた商品があります。たとえば3年間健康でいれば3万円ほどの祝い金が出るといった仕組みです。一見、お得に感じますが、実際にはそれだけ割高になっている特約保険料として支払ったお金が戻ってくるだけのこと。病気になって給付金を受け取ると、そのときの祝い金はなくなりますので、受け取る給付金の金額次第では、給付金を受け取らず祝い金を貰ったほうが得という本末転倒なケースまで発生しています。とくに何かと病気にかかりやすい50代以上の人にとって祝い金特約にはあまり意味がありません。目先のお得感に惑わせられないで」
【実例6】掛け捨ての保険はもったいないですよ
「解約したときには解約返戻金が戻ってくるしくみの終身保険。老後資金の足しにしようと考える50代もいると思いますが、これとは別に掛け捨ての定期保険があり、こちらは解約返戻金はありません。しかし、掛け捨てならば毎月の保険料は同等の死亡保障の場合、10分の1以下に抑えられます。お金は戻ってきませんが保障という意味ではじつは掛け捨ての定期保険のほうがお得でお勧めです」
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