愛猫の歩き方が突然おかしく…診断されたのは「免疫介在性多発性関節炎」 同じ悩みを持つ猫飼いさんとつながるためにSNSで発信

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2025年02月21日 20:00  まいどなニュース

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愛猫のSUNくん

同じ病気で悩む猫飼いさんと出会いたい。そう思い、SNSで情報を発信しているのは12歳半のSUNくんと暮らす彗星さん(@cirulluslanatus)。

【写真】渡された検査結果…両脚がボロボロになっていました

SUNくんは2024年12月に、自己免疫の異常によって複数の関節で関節炎がおこる「免疫介在性多発性関節炎」という病気である可能性が高いと診断された。この病気は現代の医学では根治が難しいが、彗星さんはできる限りSUNくんに穏やかなニャン生を送ってほしいと試行錯誤している。

動物病院で保護された子猫を迎えて

SUNくんは、近所にあるかかりつけの動物病院で保護された子だった。2012年の夏、2匹の愛猫が高齢になってきたことから飼い主さんは同時に亡くした時の寂しさを想像し、SUNくんのお迎えを決意した。

当時、SUNくんは猫風邪と真菌症を患っていたため、1カ月間隔離。体調が回復してからは、かわいらしい行動をたくさん見せてくれた。

「いつまでも子猫だと思っているようで、子猫時代に入れた棚の隙間などに頭を突っ込んで首を傾げます」

また、「ヂッ」という不思議な鳴き声をしており、廊下の隅などでこっそり猫らしく鳴く練習をしている姿も愛くるしかった。

そんな笑顔溢れる日々が一変したのは、2024年11月のこと。母親のような存在だった同居猫が亡くなり、SUNくんは体調不良に。

同居猫の葬儀を行った日、飼い主さんは帰宅後、カエルのような体勢で高さがないベッドの下に潜り込むSUNくんを発見。ベッド下から出すと歩き方がおかしかったため、病院へ駆け込んだ。

すると、整形外科を紹介され、MRIやCTなどの検査を行うことに。その結果、膝の靭帯が複数断裂していることが分かり、医師からは手術やリハビリが必要だと告げられた。

「ただ、肝臓の数値が悪かったので年明けに再診して術日を決めることになりました」

愛猫に「免疫介在性多発性関節炎」の疑いが…

手術はもちろんリスクがあり、上手くいかない可能性もあった。他にできることはないだろうか。そう思った飼い主さんは、かかりつけ医に相談し、別の整形外科へセカンドオピニオン。そこで関節液の検査をした結果、「免疫介在性多発性関節炎」である可能性が高いと診断された。

医師の助言により、予定していた手術は中止となる。

免疫介在多発性関節炎は、確定診断が難しいこともある。飼い主さんいわく、関節液の培養検査や血液検査で明らかに異変がある場合は断定されるそうだが、SUNくんの場合は検査結果では異常が見られなかった。

「こんなにも一度に両脚がボロボロになるのは、この病気以外に考えづらい、という消去法での確定診断でした」

現在、SUNくんはかろうじて歩けてはいるものの、強い痛み止めを服用しており、数歩で疲れてしまう。

「右後足は、膝関節の中央で交差している前後十字靭帯と膝の関節を支える内外側副靭帯が断裂。膝の骨がずれて削れています。左後ろ足は靭帯や半月板が損傷しており、関節内には本来ないはずの軟骨や骨のかけらが存在しています」

飼い主さんは毎月、血液検査やレントゲンで経過観察。4週間に1度、関節炎の注射も受けさせている。

SUNくんは、心臓の筋肉が厚く変形して体に十分な血液を送り出しにくくなる「肥大型心筋」や慢性鼻炎も患っているため、こまめに検査や通院をする必要があり、自宅ではネブライザー(吸入器)も行っているそうだ。

「今後、症状が進行していけば、免疫抑制剤を服用することになります。ただ、半年から1年後に病気の進行が見られなければ再度、精密検査をすることも考えています」

”今できる最大限のケア”をしながら病気と向き合う日々

向き合い方が分からない病気はできることに限りがあり、歯がゆい。だが、飼い主さんは生活環境を見直すなど、今できることに目を向ける。

部屋には滑らないカーペットを敷き、段差を撤去。ペットシーツを敷いた大きなクレートをトイレにし、排泄時の痛みを軽減している。

クレートや水飲み場、ご飯などは半径3メートル以内に設置。ご飯や水は、足に負荷がかからない体勢で食べられるようにしている。

「ストレスを軽減するため、遊びの時間を増やしています。また、心の健康に効果が期待できるというサプリも飲ませています」

現在は、オーダーメイドのサポーターを作るべく、かかりつけ医を通して、運動器疾患で悩む動物の手助けとなる製品作りを担う動物用医療用品メーカーへの相談を進めているそう。

一般的な関節炎との見分けが難しいこともある免疫介在性多発性関節炎は早期発見が難しいケースもあるが、重症化する前に気づくことが重要だと言われている。愛猫の足に異変を感じた時はすぐ、かかりつけ医や専門医に相談をしてほしい。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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