老朽化マンションの管理不全 自治体が維持管理に優れた物件に「お墨付き」

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2025年02月22日 07:10  まいどなニュース

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マンションが林立する大津市中心部。今後、築30年以上の物件の急増が見込まれている

 老朽化などに伴うマンションの管理不全が全国的な課題となる中、維持管理に優れた物件を自治体が認定する「管理計画認定制度」の利用が大津市で広がっている。バブル期以降にマンション開発が盛んとなった市内では、築30年以上の物件が今後10年間で急増する見通し。各物件が計画的に大規模修繕などを進める必要があり、専門家は「認定制度を通じて住民が修繕計画に関心を持つと共に、管理状況の情報公開を徹底すべきだ」と指摘する。

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 同制度は管理組合の運営状況や長期修繕計画が一定の水準を満たしている分譲マンションに対し、自治体がお墨付きを与える仕組み。認定物件は市場価値や信頼性の向上が期待できるほか、固定資産税の減額といった利点もある。滋賀県野洲市では廃虚化した空き家マンションが2020年に行政代執行で解体されるなど、全国で管理不全事例が相次ぐ中、国が法改正を経て22年に制度を始動させた。

 大津市では23年に高層マンション「ファーストタワー大津MARY」(皇子が丘2丁目)が第1号として管理計画を申請し、県内で初の認定を受けた。以降も順調に増加し、今年11月末時点の市の認定件数は12件に上る。全国でも先進的な取り組みとして、一部物件については管理規約や修繕計画まで市のホームページで情報公開している。

 市内物件の申請を支援してきたマンション管理士・行政書士の柴田礼輔さんによると、マンションの修繕や資金計画に無関心な住民は多く、大規模修繕の際に費用が不足して借り入れが必要となる物件もあるという。新築マンションは購入当初には修繕積立金が低価格に設定され、段階的に増額される方式が多数を占めるが、値上げ時に一部住民が断固反対するケースも。柴田さんは「トラブルや管理不全に陥らないよう、まずは住民が物件のことをよく知るべき。適切な管理で物件価値を維持できれば、相続や住み替えも進みやすい」と指摘する。

 大津市では1980年代後半頃からマンション開発が盛んとなり、総戸数は2024年3月時点で約2万3千戸に上る。このうち築30年以上は3割弱の約6200戸だが、今後10年で2・3倍の1万4千戸にまで急増する見通し。市住宅政策課は「修繕計画や管理規約自体が無いという物件も一部あるなど、区分所有者の知識不足や関心の低さが課題。維持管理の重要性を伝え、認定物件を増やしていきたい」としている。

(まいどなニュース/京都新聞)

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