長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆コスタノヴァは勝ちタイムも優秀
フェブラリーSは、一昨年のレモンポップ、昨年のペプチドナイルと2年続けてここがGI初勝利となっていた。
特に昨年は、前半からレース史上3度目となる3ハロン33秒台の超ハイペースになり、1000米通過が57秒9、先行勢には厳しい流れだった。
11番人気のペプチドナイルは先団につけながらも4角では素晴らしい手応え。早目に抜け出しながらもそのまま押し切ってしまったのだから、強かった。自分のリズムさえ保っていればこういうきつい流れでも乗り越えられることを実証して見せた。
内枠でもまれて不完全燃焼に終わった前走の反省からスムーズに走らせることに専念したのが、この金星につながったのだが、昨年はレモンポップ、ウシュバテソーロといった強豪が、1着賞金世界トップのサウジCに遠征した他、フェブラリーSの有力な前哨戦、根岸S、東海Sの勝ち馬エンペラーワケア、ウィリアムバローズがここを見送っていたことも、レースの行方に影響していたと思えた。
今年もサウジからドバイを目標にする強豪は例年どおり多くいるが、王者不在の混戦ムードではあっても、この一年のGI開幕戦にふさわしい顔ぶれと言っていいだろう。
新ダート王の座をめざす決め手をどこに見いだすかだが、今年はズバリ、東京ダート1600米のコース実績にしぼってみた。
この10年で4頭も勝っている根岸Sの勝ち馬だが、今年のコスタノヴァは、東京は5戦5勝で、マイルに限定しても3戦3勝と距離が延びても全く問題ない。
根岸Sは速いタイムが出やすい馬場ながら、ハイペースで後方待機に向く展開で、上がりタイムの速いものが1〜3着を占めていた。
その中でコスタノヴァの勝ちタイム1分22秒6は、本番のフェブラリーSの勝利に結びつくタイムで、GI初出走、初勝利の有力馬にしておく。
GI初挑戦組は他にも目をかけたいものがいる。
ダートで9戦7勝、2着2回と底を見せていないエンペラーワケアだ。
短距離で圧倒的強さを発揮していたが、前走武蔵野Sでタイムを要する馬場の中、3角5番手で前傾のハイペースをしのぎ、強さを見せた。
東京で根岸Sと武蔵野Sの重賞2勝なら満を持しての出走に期待したい。
史上3頭目のフェブラリーS連覇を狙うペプチドナイルは、波乱の立役者になってからは、勝てなくとも一線級相手に健闘は続けている。直線が長い東京のワンターンのマイルは戦いやすいが、年齢的に押さえにしておく。
これなら、プロキオンS(旧東海S)組から、2着馬のサンライズジパングを上位に取り上げたい。
パサパサの良馬場で単騎で楽に逃げたサンデーファンデーが勝ったが、サンライズジパングはスタートが悪く流れに乗れていなかった。それでも外から伸びて水準以上のタイムをマークしていて、4歳世代では出色の一頭と思っている。
「新王者 次は世界で 夢かなえ」