兵庫・竹内元県議に対する誹謗中傷の拡散 きっかけのひとつの“文書”は誰が作成し、誰が立花孝志氏に渡したのか 証言をもとに検証【報道特集】

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2025年02月22日 20:31  TBS NEWS DIG

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兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を追及していた竹内英明元県議。誹謗中傷を受けた末、1月亡くなりました。その中傷を拡散したのがNHK党の立花孝志氏です。中傷の根拠とされる文書や音声はなぜ立花氏に渡ったのか?検証しました。

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「立花孝志氏に音声データを渡した」名乗り出た人物

兵庫県の竹内英明元県議。斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を追及するなか誹謗中傷を受け、先月、亡くなった。自殺とみられている。

その知事の疑惑を告発した元県民局長も2024年7月に自ら命を絶っている。
この2人に対する誹謗中傷を拡散したのが立花孝志氏だ。

立花孝志氏(2024年11月15日)
「竹内県議がようさんデマ流しとるわ。証拠出せ証拠。音声とか録音」

立花氏(2024年10月29日 / YouTubeより)
「元県民局長といわれる人です。こいつは本当悪い奴で」

立花氏はこうした発言の根拠を複数の県議からの情報提供だったとしている。非公開の百条委員会で元県民局長のプライベートに触れた音声などだ。

立花氏(2024年10月31日 / YouTubeより)
「これが、僕が今日、秘密の場所のカラオケボックスでもらった音声です」

音声
「過去10年間に渡ります、複数の女性との…。」

今週、この音声データを立花氏に提供したと名乗り出た人物がいる。百条委員会の理事(当時)で「維新の会」の増山誠県議だ。

知事選では、斎藤氏を支持し街頭演説にも足を運んできた。

増山誠県議(Xより)
「斎藤元彦さんに当選確実が出ました!やりました!」

2月19日、増山県議はYouTubeの配信番組に自ら出演を打診。立花氏に音声データを渡した事を明かした。

(YouTube番組『ReHac』生配信より)
司会「ぶっちゃけ、誰が流出させたんですか」
増山県議「端的に申し上げますと」
司会「端的に言ってください、全部言ってください」
増山県議「端的に申し上げますと10月25日の片山元副知事の発言を録音して、立花氏に渡したのは私です」

2024年9月。増山県議は、報道特集の取材にこう述べていた。

増山県議
「県民局長の方の本当のプライベートな情報は一切出す必要がないし、我々はそんなものを元々必要としていないんです」
「開示してくれとも思ってないので」

だが、このひと月後。非公開で行われた議会の様子を、密かに録音。「外部に漏らしてはならない」との規則を無視し、立花氏に情報を提供していたのだ。

デマ拡散も、投開票日から2週間後に訂正

兵庫県知事選挙が告示された10月31日。
立花氏は政見放送で、亡くなった元県民局長に関するデマを突然口にした。

立花氏(2024知事選政見放送 / 10月31日収録)
「不倫ですよ!10人ですよ!10年間ですよ」

元県民局長の不倫相手が10人もいるという根拠のないデマ。
告示の日は立花氏が増山県議と会い、問題の音声データを提供された日だ。

立花氏(2024年10月31日 / YouTubeより)
「これが、僕が今日、秘密の場所のカラオケボックスでもらった音声です」

音声
「過去10年間に渡ります、複数の女性との…。」

この日までは、立花氏の発言は「不倫」にとどまっていた。

ところが、翌日の11月1日誰かからの情報提供で、元県民局長は「不同意性交をしていた」と表現が変わる。

立花氏(11月2日 / YouTubeライブより)
「不同意性交していた可能性が極めて高いんですよ」

立花氏(11月3日)
「(11月1日の電話について)連絡が来たんですよ。『立花さん、10年で10人、県庁の職員ばかりですよ』と来たんですよ。どう考えても犯罪でしょって。不同意性交罪とか」

そして立花氏はその情報提供者は、カラオケボックスで会った人物と同一人物だと話した。

立花氏(11月5日 / YouTubeライブより)
「カラオケ店の人から電話がありまして。おそらく権力をつかった本物のセクハラですよね。不同意性交じゃないかと疑惑がある」

カラオケボックスで会った人物。つまり、情報提供者は増山県議ではないのか。

これはX上で、斎藤氏の支持を示す「#さいとう元知事頑張れ」を含む投稿の数だ。
立花氏による元県民局長への中傷が「10人と不倫」「不同意性交をした」と過激になるにつれ、拡散されたことがわかる。

立花氏が、不同意性交がなかったと訂正したのは投開票日から2週間後だった。立花氏に“不同意性交”とのデマ情報を伝えたのは、増山県議なのかー。本人に聞いた。

村瀬健介キャスター(2月21日)
「元県民局長の不同意性交についての情報を『増山さんが情報提供した』と立花氏が説明していますけれども、その点はどう説明されますか」

増山県議
「・・・・・」

村瀬キャスター
「不同意性交だという情報を立花さんに提供した事実はありますか?増山さん?」

増山県議
「23日(維新の会見)にお話させていただきます」

文書は、誰が作成し、誰が立花氏に渡したのか

さらに立花氏は亡くなった竹内元県議も誹謗中傷した。そのきっかけのひとつとなったのがこの文書だ。 

「元県民局長の自殺を知事の責任に見えるように印象操作」
「黒幕、主犯格は竹内」

この文書は、誰が作成し、誰が立花氏に渡したのか。

立花氏のYouTubeより
「実は片山(元)副知事にお会いするということでホテルに行ったのに、代理人の県議会議員からもらったこの書類が、片山副知事からもらったかどうかについての確認は取れなかったんですが」

立花氏は、片山元副知事と会うつもりで出かけた。だが、その場に片山氏はおらず、文書は岸口実県議から受け取ったという。

さらに2月7日。

立花氏
「岸口議員から(文書を)いただきました。2024年の11月1日の大体5時前後と記憶しています。神戸市内、ホテルオークラの一室で(文書を)もらいました」

その場には、1人の民間人がいたという。

立花氏
「この人は一般人なのでAさんといいます」

会合をセットした一般人Aさんが取材に応じる 証言をもとに検証

これは、そのAさんが立花氏と会った際に撮った写真だ。Aさんが取材に応じた。

岸口県議とは長年の付き合いだというAさん。文書を立花氏に託したのは誰なのか。証言をもとに検証する。

兵庫県知事選挙告示日の2024年10月31日、Aさんは知人から相談を受けたという。

知人
「片山元副知事が立花さんに会いたがっているので、つないでくれないかな」

Aさんは立花氏と面識がないため、立花氏を知る「ごぼうの党」の奥野卓志代表に相談したという。

ごぼうの党 奥野卓志代表
「片山(元)副知事が立花さんに会いたいということで『わかりました』ということで、LINE電話で。出られなくてLINEで書いて、立花さんに連絡しました。で直接つないでという経緯ですね」

奥野氏は立花氏に連絡。Aさんと立花氏とをつないだ。Aさんは神戸市のホテルオークラで立花氏に片山元副知事と会ってくれるよう約束を取り付けた。

だが、その日の夜、知人からこんな連絡が入ったという。

知人
「片山さんが風邪で行けなくなった。別の者が代わりに文書を持っていくよ」

Aさんは片山元副知事が来られなくなると聞き、片山氏と交流がある岸口県議を誘ったという。

そして、翌日の11月1日、午後3時。Aさんと岸口県議が待ち合わせ場所に行くと見知らぬ男性が文書を持って来たという。

A氏
「立花さんと会う直前、私の知らない男性が来て文書を渡していきました。岸口さんはその文書の中身を確認していましたが、私は見てもいません」

約1時間後、立花氏がホテルに到着。

文書の受け渡しが行われた部屋とは 約40分間の会話

村瀬キャスター
「この部屋がですね、まさにその文書の受け渡しが行われた場所です。こちらに入って右手奥に岸口副委員長が座っていました。そしてその向かい側に立花さん」

奥の右側に岸口県議が座り、向かいに立花氏が座った。立花氏と親しい地方議員(四街道市議 宮城氏)が同席。Aさんはあいさつしただけで離席したという。

村瀬キャスター
「岸口副委員長と立花氏は、この場所で約40分間にわたって会話を続けたということなんです」

2月14日、岸口県議に、文書を立花氏に渡したか聞いたのだが。

村瀬キャスター
「文書を渡していないと誰が渡したんでしょうか。同席した民間人が渡したことを示唆したというふうになってますね。そのことが事実でないことは、岸口さんわかってらっしゃるんじゃないですか」

日本維新の会 岸口実 兵庫県議
「いえ、そんなことないですよ」

村瀬キャスター 
「同席した方が渡したと」

岸口県議
「はい」

立花氏に文書を渡したのは誰か。岸口県議“記憶が定かではない”

だが、2月19日には。

岸口県議
「私自身が大変申し訳ないことでありますけれども、物理的にどちらが渡した云々ということはもうそんなことではなくてですね、もう本当にその場に同席をしておりましたし、もう私がお渡しをしたというふうに、捉えるということはもうそれは否定しません」

岸口県議は文書を立花氏に渡す前に見たというが…。

岸口県議
「書いてある内容は、私が事実かどうかの判断つかないものもありましたし、そんなにこのどういうんですか。秘匿性が高いとかね。そんなことを思わない文章だったように感じたと思います。(立花氏に)中身はちゃんと確認してということは、言ってるはずですけどね」

村瀬キャスター
「立花さんに対して? 」 

岸口県議 
「はい」

事実か判断がつかない文書を立花氏に渡した結果。

立花氏
「竹内とか要は1人を狙う。これ、もういじめの原則で、いじめる時っていっぱいいじめたらダメなんですよ。誰か1人いくんですよ。こいつやめさせていったら周りの人がビビってひっくり返る」

この会合に関与した4人は、片山元副知事が立花氏に会いたいと望んだため会が設定されたと認識していた。だが岸口県議は。

村瀬キャスター
「片山さんが行くはずの会談だったっていうのは聞いていないと?」

岸口県議
「ええ。後になって今になっていろんな噂が出て、片山さんということは聞きましたけどね」

我々はその場で、Aさんに連絡、認識の食い違いについては。

岸口県議
「(会合は)片山さんが来なくなって僕が来たという趣旨のものではなかったと思ったんですけど。でもこれも水掛け論になるんでしょうけど、言ったか言ってないか言うたらなかなか思い出されへんもんね」

その日の記憶が定かではないという岸口県議。だが文書を作成した人物については片山元副知事ではないとかたくなに否定した。

村瀬キャスター
「片山さんからの文書だと、立花さんは理解されたということなんですけど」

岸口県議 
「それはそこは違うと思います」

村瀬キャスター
「違う?」  

岸口県議
「ええ」

村瀬キャスター
「そういうふうに説明されたりしていないか」

岸口県議
「いや片山さんからもらった文書だとは言わないというか、言えないと思いますけどね。それはもう本当にわからないです」

問題の文書は片山元副知事が作成し立花氏にわたすよう指示したのか。片山氏に直接、取材を試みた。

だが連絡がつかなかったため片山氏の代理人だという弁護士の事務所に取材を申し込んだところ、文書で回答があった。

「取材はお断りをしております」

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