
「本日、お誕生日ボーイ! 本当のお誕生日はわからないけれど、お迎えしたときの推定年齢から、決めました。この子を生んでくれた子にも保護してくださった方にも本当に感謝です。これからも、楽しいを増やして幸せにできるように頑張ります! 生まれてきてくれて、ありがとう!」。X(ツイッター)ユーザー・みかみと小次郎【公式】さん(@mika_Jimmy)は、そんなコメントとともに、愛犬のショットを投稿。そこには、元保護犬の男の子「小次郎」くんの姿がうつっています。
【写真】保護団体の施設にいたころ…2匹のきょうだいと震えていたといいます
元野犬だった小次郎くん。お迎え当時は、生後推定5カ月から6カ月の子犬でしたが、今では立派な成犬に。詳しいお話をうかがいました。
新居への引っ越しを機にお迎え
飼い主さんは、子どものころ実家でワンちゃんと暮らしていました。2021年に家を購入したとき、夫に「庭をドッグランにしてワンちゃんをお迎えしたい」と伝えたといいます。
「夫婦で話し合い、保護犬を迎えることを決めて施設のホームページなどを見ながらご縁を探しはじめました。そして、当時、目の下にクマのような模様があった小次郎に目が留まったのです。すぐに問い合わせ、会いに行くことにしました」
|
|
仕事の都合で、夫と一緒に会いに行くことができなかったため、それぞれ別の日に訪問することに。飼い主さんが会いに行ったとき、小次郎くんは2匹のきょうだいと折り重なるようにしてくっ付き、震えていたといいます。
「小次郎は、サークルの中で身を縮め、動こうとしませんでした。お世話をしている保護団体の方から人間への恐怖心、警戒心が強いこと。常にまわりの様子をうかがいながら学習している様子が見られることから、とても賢く、脱走する可能性が高いので注意が必要であると教えてもらいました」
後日、飼い主さんの夫が会いに行ったところ、また別の様子が見られたそうです。
「夫が会ったとき、小次郎は施設内を自由に歩き回っていたようです。『この子がいい』と夫の心が決まったためお迎えすることに。ふたりが休みの日に、小次郎を迎えにいきました」
2021年7月9日、生後推定5カ月から6カ月だった小次郎くんは、こうして飼い主さんの家にやって来ました。
|
|
お迎え直後にハプニング発生、予想外の展開に
こうして新たな犬生を歩みはじめた小次郎くん。当初は、クレートにこもって出てこず、慣れない環境と人間への恐怖心から粗相をすることもあったといいます。
お迎えから1カ月が経ったころ、保護団体の人が危惧していたことが現実になりました。
「私たちの不注意で、小次郎が脱走してしまったのです。幸い、散歩はできていたことから家までのルートは覚えていたため、ごはんを食べるために家の前に来るのですが、少しでも人間の気配がするとすぐに逃走。捕獲機には警戒して入らなかったため、自作したトラップを庭に設置しました。そうして15日後、私の妹や友人の協力を経てようやく連れ戻すことができたのです」
小次郎くんを連れ戻すまで生きた心地がしなかったという飼い主さん。「無事に生きて帰って来てくれて良かった」と安堵しました。そして、再発防止のため対策を講じたといいます。
「家に帰ってきてからは、私たちによく懐いてくれるようになりました。脱走して外で過ごしていたとき、不安でいっぱいだったのだと思います。家の中で遊んだり、私たちの足元に来てくれたりするようになりました」
|
|
この脱走ハプニングは、小次郎くんと飼い主さん家族の関係を深めるきっかけになったようです。
時間をかけて築いた信頼の絆
小次郎くんは、もうすぐ3歳を迎えます。警戒心が強く怖がりなところは今も同じですが、甘えん坊な一面も見られるようになりました。
「縄張り意識や独占欲を強くもっていて、ほかのワンちゃんと私が一緒に遊んだり、我が家の車にほかのワンちゃんが乗ろうとしたりすると怒ります。人間に対しても初めは警戒して吠えますが、仲良くなると『撫でて』と体をあずけてアピール。ワンちゃんも人間も、大好きな相手に対しては驚くほど心を開いてくれるようになりました。おなかを丸出しにして甘えたり、抱きついてこられたりするとうれしくてデレデレになってしまいます」
「うちに来てくれて、家族になってくれてありがとうと伝えたいです」と語る飼い主さん。小次郎くんへの愛情は、今も深まっています。
「人間と生活することで暖かい寝床やごはんを確保することはできますが、ワンちゃんにとっては不自由に感じることもいっぱいあると思います。小次郎が快適に過ごせるように工夫を重ね、寂しい思いをさせないように見守りながら楽しく過ごしていきたいです」
小次郎くんの健やかな成長と、家族とともに過ごす幸せな毎日が続きますように。これからも、小次郎くんは家族の日常をさらに輝かせていくことでしょう。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)