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就任1か月を迎えたトランプ大統領。連日出される大統領令に世界が翻弄される中、日本にも大きく関わる新たな動きがありました。
【画像で見る】アメリカに輸出 メキシコで生産される日本車の台数
「自動車関税25%」日本に適用なら日本経済へ影響もトランプ大統領が打ち出した「自動車関税25%」。現在は2.5%に抑えられているので、一気に10倍になります。もしこれが日本に適用されたらどうなるのでしょうか。
例えば、400万円の車をアメリカに輸出する場合、関税2.5%なら10万円ですが、25%なら100万円に増え、そのまま価格に転嫁すると割高となり、日本車はアメリカで売りづらくなります。
日本からアメリカへの輸出品の中で、自動車の輸出額は全体の3割近くを占める6兆円で1位、2位も自動車関連部品です。これらが関税25%の対象になると、日本経済への影響は避けられません。
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実際に日本の車は関税25%の対象とされてしまうのでしょうか。
トランプ大統領が日本に対して問題視しているのが、アメリカの車が売れないことです。日本で販売された新車の台数は303万台ですが、アメリカからの輸入車は2万台足らずです。
そこで「非関税障壁」と呼ばれる規制や制度の問題が槍玉にあがっているのです。「非関税障壁」とは、一般的に関税以外の要因で輸入品の流通が制限されることです。
アメリカの車を日本に輸入する場合、関税はゼロですが、アメリカ政府は日本の安全基準や補助金の制度などが「非関税障壁」になっていると主張しているのです。
しかし、実際の状況について自動車評論家の国沢光宏さんは「日本側の非関税障壁はないに等しい。アメリカの車が売れない理由は大型で燃費が悪いため、日本の道路事情や日本人の好みに合わないから。追加関税をかけるための言いがかりのようなものだ」と指摘します。
日本政府は武藤容治経済産業大臣の訪米を調整していて、日本を自動車関税25%の対象から除外するよう求めるものとみられます。
日本の自動車メーカーの懸念はアメリカに直接輸出する車に限りません。アメリカ向けの車の多くをメキシコの工場でも生産しているのです。
例えば、トヨタでは日本の工場で生産してアメリカへ輸出する車が54万台ですが、メキシコの工場から輸出する車も約23万台あり、これはメキシコで生産した車の9割に当たります。メキシコに25%の関税がかけられると、その影響も小さくないのです。
トランプ大統領が狙うのは、高い関税で脅しをかけ生産拠点をアメリカへと移転させることです。
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もし、日本の自動車メーカーが工場をアメリカに移転させるとなると、部品の多くを北米で調達しなければならないという規則もあります。
そうすると、日本の多くの部品メーカーにも影響が避けられません。下請け企業の裾野が広い自動車産業を守るため、“トランプ関税”を回避する道はあるのでしょうか。