ウクライナから避難した(左から)アンナ・テスレンコさん、長女ディアナさん、長男ヤロスラフさん、ドミトロさん一家=9日、広島市西区 ロシアの軍事侵攻による戦火を逃れて来日し、広島市内の公立小学校に通う2人のウクライナ人きょうだいがいる。24日で侵攻から3年。当初は言葉や文化の違いに戸惑いながらも、今では「楽しい」と声をそろえ、勉強に励んでいる。
6年生の姉ディアナ・テスレンコさん(12)と3年生の弟ヤロスラフさん(9)は、2022年4月、母アンナさん(38)と共に来日した。翌月から小学校に通い始め、24年7月には父ドミトロさん(39)も合流し、現在は家族4人で暮らしている。
「最初は日本語が分からなくて大変だった」。ディアナさんは当初、給食で出る料理も見慣れないものが多く「どんな味か分からなくて、2年ぐらいあまり食べられなかった」と振り返る。学校が楽しいと感じるようになったのは、来日から1年がたったころ。日本語が分かるようになり、今では「友だちと話したり、遊んだりすることが一番楽しい」と笑顔を見せた。歴史に関心を持ち、好きな教科は社会という。
ヤロスラフさんは体育が好きで、サッカーや野球などのスポーツに興味を持ったという。算数が得意で、3年生になってからテストで100点を取ったこともある。
母アンナさんによると、家族の中ではディアナさんが日本語を一番話せるといい、ヤロスラフさんは漢字に詳しく、「私が勉強するときに助けてくれる。書き方も日本人みたい」と頼もしげ。「2人が学校生活を楽しむ姿を見るとうれしい」と目を細めた。
日本での学校生活には慣れたディアナさんだが、故郷のウクライナを恋しく思うことも。母国の友人と連絡を取り合い、「外で遊んだことを思い出すと、懐かしくなって帰りたくなる」と寂しげな表情を浮かべた。
4月から市内の公立中学校に進学するディアナさんは、勉強面で不安はあるが、「絵を描くのが好きだから、美術部に入りたい」と目を輝かせた。