画像提供:マイナビニュース既婚者マッチングサイト「Healmate(ヒールメイト)」を運営するレゾンデートルは、ロマンチックイデオロギーを切り口にした「恋愛感情と結婚」に関するアンケート調査を実施した。調査期間は2024年12月19日~30日で、調査対象は全国の20~59歳の男女4,000人(男性2,000人/女性2,000人、各年代とも500名の均等なサンプル)であった。なお調査は、セルフ型アンケートツールFreeasyを利用し、インターネット上で行われた。
ロマンチックラブイデオロギーとは、「恋愛で結ばれた者同士が結婚して家族を作るのが当然だし、そうあるべき」という考え方のこと。日本では離婚率が高止まりしている状況であり、多くの調査ではセックスレス夫婦が5割を超えると推計されているという。有名人の不倫報道が連日ニュースを騒がせ、若者の結婚離れ、恋愛離れも進む状況で、「恋愛と結婚は切り離すべきでは?」と主張する人も目に付くようになったという。
そこで本調査では、ロマンチックイデオロギーを切り口にした「恋愛感情と結婚」に関するアンケート調査を実施した。テーマは、「令和の人々の恋愛結婚に対する意識」であるという。
最新の「第16回出生動向基本調査」(2021年調査、2023年発表)をみると、恋愛結婚の割合が急落していることがわかる。お見合い結婚も微増しているが、代わりに伸びているのがインターネットの出会いで、15%である。「恋愛結婚」重視のトレンドが少し変わりつつあると言えるとのこと。ただし、同調査の質問紙は、「知り合ったきっかけ」で「お見合い」「結婚相談所」「インターネット」以外(例えば「職場」「学校」など)を選ぶと、それらをすべて「恋愛結婚」にカウントするため、少し割り引いて考える必要はあるという。
このような前提を踏まえ、本調査では、「結婚するなら“恋愛結婚”が良いと思うか」を聞いたところ、「恋愛結婚が良い」が36.2%、「どちらかと言えば恋愛結婚が良い」が30.9%と、合わせて約7割(67.1%)が「恋愛結婚」に肯定的という結果になった。なお、回答者には独身も既婚も含むという(独身:2,151人、既婚:1,849人)。
次に、性別・婚姻状況・年代などの属性別に回答を比較し、傾向に違いがないか調査する。
まずは、男女差を比較。すると、「恋愛結婚が良い」「どちらかと言えば恋愛結婚が良い」を合わせると、男性は66.9%、女性は67.1%で、ほとんど男女差がないという結果に。「恋愛結婚が良い」という認識には、男女間の齟齬はないことがうかがえる。
次に独身者と既婚者で比較すると、既婚者の方が「恋愛結婚が良い」と回答した割合が10ポイントも高い結果になった。
同社の過去の調査結果では、「夫婦仲が良い」と回答する人が多かったことを考えると、恋愛結婚の結果、現在の結婚に満足している人が多いことがうかがえる。なかには「現状に不満はあるが恋愛結婚だったから我慢できる」というケースも考えられるという。
一方、独身者の場合は、「結婚願望はあるが恋愛にたどり着くのが難しい」「恋愛結婚に失敗した」などの人が含まれるため、肯定的ではない人が多いと考えられるという。
さらに、性別で分けてみると、既婚男性が恋愛結婚を肯定的に評価していることがわかる。日本人の結婚の大半が恋愛結婚であり、既婚男性は自分の結婚に満足している一方、配偶者である既婚女性はそれほどでもないと言えそうだという
なお、年齢別にみると、20代女性は恋愛結婚に肯定的な傾向が強く、独身と既婚の間に差はないという。独身女性の41.3%、既婚女性の40.8%が「恋愛結婚が良い」と回答しており、「どちらかと言えば恋愛結婚が良い」を含めると65%前後になるとのこと。
一方、20代男性の場合は、既婚男性の49.2%が「恋愛結婚が良い」と回答するのに対し、独身男性は同じ回答が28.7%であった。「どちらかと言えば恋愛結婚が良い」を含めると、既婚男性は65%を超えますが、独身男性は6割を切るという。若年男性の草食化、恋愛への消極傾向を反映していると言えるとのこと。
続いて、収入の違いで比較。アンケートツールの都合上、世帯年収での比較になるため、個人の年収とは直結しないとのこと。
男性は、年収400万円未満で恋愛結婚を肯定する割合が低くなっているが、恋愛に対する消極さや余裕のなさの現れかもしれないという。一方、1,500万円以上の高所得層が恋愛結婚に肯定的であることがわかった。
一方、女性はおおむね年収に応じて恋愛結婚を肯定的にとらえる割合が高くなっていることがわかった。しかし、1,500万円以上の高所得層に限り低くなる結果に。高収入の女性は恋愛感情に重きをおかないことが考えられるという。
最後に、これまでの恋愛経験が恋愛結婚への意識に関連するかを調査したところ、恋愛経験が豊富なほど、恋愛結婚を肯定的にとらえている様子がうかがえた。
「結婚するのに恋愛感情が必要と思うか」を聞いたところ、おおむね「結婚するなら恋愛結婚が良いと思うか」への回答と傾向は同じであったが、女性の方が「必要ではない」ととらえる割合が高い結果となった。
○今回のまとめと今後の展開
感情よりも合理的な思考に重きが置かれ、若者の間では恋愛に消極的な姿勢が拡大する昨今。しかし、恋愛結婚に対する肯定的な評価はいまだ揺らいでいないように見受けられるという。恋愛と結婚を結びつけるロマンチックラブイデオロギーは、令和の現在も健在と言えるとのこと。
しかし問題は、結婚後の「恋愛感情」の行き先であるという。ロマンチックラブイデオロギーは、「結婚したら生涯パートナーを愛し、他の異性と性関係を結ばない」という規範がセットとなっている。このため、ロマンチックラブイデオロギーが広がる前の時代は、男性が妾や愛人を持つことが当たり前であったが、今では、妻以外と恋愛関係や性関係を結ぶことは悪とみなされるようになった。
しかしここ数年、配偶者の許可を得て他の異性との恋愛や性関係を自由化するオープンマリッジを選択する夫婦が注目されるなど、現在の結婚の在り方を問い直す動きも出ている。1990年代によく議論されたロマンチックラブイデオロギーが、令和の現代に再び注目を集めるようになったのには、そのような背景が考えられるとのこと。( Yume)