GT-R、フェアレディZ、電動四駆! 日産ご自慢のクルマたちを氷の世界で試した

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2025年02月25日 08:20  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
日産自動車のスポーツカー「GT-R」「フェアレディZ」や電動4WDシステム搭載モデルに氷の上で乗ったらどうなるのか。同社ご自慢の性能は表情でも健在? 北海道のウトナイ湖(苫小牧市)にほど近い「エビスアイスサーキット」で開催された「氷上試乗会」に参加してきた。


パイロンで区切られた大小のコーナーとハイスピードのS字を組み合わせたコースを設定したのは、日産テストドライバーのレジェンドで「現代の名工」でもある加藤博義さん(現在はテクニカルアドバイザー)と、その愛弟子で車両技術開発本部操安/制動グループテクニカルマイスターの渡辺大介さんだ。


用意された車両は、電動モデルが「e-POWER 4WD」を搭載する「オーラ NISMO チューンド e-POWER 4WD」と最新のe-4ORCEを搭載する「エクストレイル AUTECH e-4ORCE アドバンスドパッケージ」、スポーツモデルが「フェアレディZ バージョンST」(6MT)と「GT-R プレミアムエディション Tスペック」(2024モデル)の計4台。走行時間は各10分間だ。


電動四駆は氷上でも安心なのか



最初に乗ったのは、e-POWER 4WDを搭載する赤の「オーラ」。ドライブモードセレクターで「ノーマル」、トランスミッションは「B」モードを選んでコースインする。軽いボディに電動4WDを積むオーラと氷の相性のよさは、これまでの試乗会でも確認済み。ブレーキングなどでのペダル踏み替えが不要な「ワンペダル走行」は車速のコントロールがしやすく、発進時もコーナリング時も、あまり気を使うことなくしっかりとコースをトレースすることができた。


次に乗ったのは、e-4ORCEを搭載する青の「エクストレイル」だ。円形ダイヤルを回して「SNOW」モード(e-4ORCE化によって新たに追加)を選び、シフトは「B」モードに入れる。


オーラより重く車高の高い(つまり重心が高い)SUVなので少し気を遣いながらスタートしたのだが、ここでe-4ORCEが実力をいかんなく発揮。前後モーターと左右ブレーキをひとつのコンピューターで統合制御することで、四輪全てのグリップ限界を瞬時に算出しながらそれぞれの駆動力をコントロールするシステムがクルマの挙動をしっかりと制御してくれた。ボディはピッチングもローリングもほんのわずかに顔を出す程度。並行移動するようなイメージでアクセルを踏んだだけ加速し、ステアリングを切っただけ曲がる。「なかなかやるな」という印象だ。オーバースピードにならない限りは、こうした氷上路面で最も安心感が高いシステムであることがわかった。

そもそも走れる? スポーツカーで氷の世界へ



ここからは、“お楽しみタイム”と呼んでいいのかどうかわからないけれど、日産が誇るスポーツモデル2台に乗ることに。



湾岸ブルーの「フェアレディZ」は、氷の上では難敵となるFR(フロントエンジン、後輪駆動)のバージョンST 6速MTモデルだ。2〜3速を使いながら走るのだが、すぐにリアが大きく滑り出すので、電動4WDモデルに比べるとスピードは全くもって遅い。途中のタイトコーナーを抜けた先では、クルリと1回転してしまった。


5分ほど悪戦苦闘した後は、日産広報からの勧めもあってシートをテクニカルマイスターの渡辺さんに委ねてみた。ステアリングの右奥にあるVDCスイッチをオフにして走り出すと、全く異なるスピードのまま車体を横に向け、鼻先がイン側のパイロンのすぐそばをかすめながら抜けていく。聞けば「アクセルペダルはコーナー手前ではじわり、車体が横を向いた後は強めに踏みつつ、ステアリングと連動しながらコントロールしている」とのこと。もう見事としか言いようがない。


最後に乗った「GT-R」は、日産自慢の「VR38DETTエンジン」(最高出力570PS)を搭載するプレミアムエディション Tスペック(2024モデル)だった。


ダッシュセンターにある「トランスミッション」「ショックアブソーバー」「VDC-R」のセットアップスイッチをとりあえずノーマルにしたまま走ってみたのだが、さすがに「アテーサE-TS」を搭載した4WDだけあってZより速いスピードで周回できる。次にミッションを「SAVE」モード、VDC-RをOFFにして走ってみると、80〜90km/hまでスピードを上げられる高速S字ではちょっとお尻を振り出しながら、「当て舵」を入れて駆け抜けることができた。とても楽しい。上手な人になると、次の右コーナーを四輪ドリフトしながら通過しているではないか。


試乗を終えて先の渡辺さんに話を聞くと、「今日はお天気がいいので、女神湖なんかだと水が浮いてきて始末が悪いんですけど、ここは気温が低いので、まだグリップが取れる状態です。こうした場所での走行を体験しつつ一般道でも乗ってもらうと、日産の電動車は結構いいのかな、と思っていただけるはずです」とのこと。



また、レジェンドの加藤さんは「“技術の日産”というのはコマーシャルなんかでよく使っていて、周りの人から言っていただくのはウェルカムなんですけど、それを自分たちで言うのは、実は大嫌いなんです(もう現役でないので、と断った上で)。これは、どこのメーカーさんでもしっかりとやっていること。言葉としては、ちょっと古臭いですね」と話していた。



後輩の渡辺さんからみた加藤さんは、「僕らドライバーって、運転の技能は結構高いと思っているのですが、技術力についてはまだ足りないところがあります。加藤さんはどちらもすごくてバランスが取れていて、しかもきちんとそれをアウトプットすることができる人」とのことだった。



日産はこうした「ヒト」と数多くの「ヘリテージ」を持つ会社であるはず。それらをいかした新しいクルマをもっと出したらいいのにな、と思いつつ試乗会を終えた。



原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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