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2月23日(日・祝)の放送テーマは、「親子で話そう! 今どきのネットの使い方」。こども家庭庁 成育局 安全対策課の近藤裕行さんに、子どもたちに伝えたいインターネットの危険性と対策について伺いました。
(左から)杉浦太陽、近藤裕行さん、村上佳菜子
◆ネットの正しい知識を身に付けよう
春は子どもの卒業・進学・進級シーズンで、初めてスマートフォン(以下:スマホ)を持つ子が増える時期でもあります。スマホの利用率は年々増加しており、最新のデータによると、満10歳から17歳までの青少年の利用率は約83%にのぼります。さらに、スマホを利用する子どものうち、自分専用のスマホを持つ子どもも低年齢化しており、10歳で約65%です。
位置情報サービスやビデオ通話など、スマホは子どもの安全を守るために有益な一方で、ネットいじめや性被害、ゲームへの課金などのトラブルに遭うケースも少なくありません。保護者は子どもにスマホを持たせたら、被害に遭わないための知識を教えると同時に、加害者にならないための知識も教える必要があります。
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<ネットのトラブルの一例>
・勝手に写真や動画を撮影・隠し撮りするなど、肖像権の侵害にあたる行動をする。
・飲食店で迷惑動画を撮ってSNSにアップしたことで、多額の損害賠償を求められる。
・性的な部位や下着が写った写真や動画を盗撮したり、グループLINEで共有や転送、リポスト、リグラムする(撮影罪)。
子どもたちがサイバー犯罪や脅威に遭わないためにも、保護者がルールをきちんと伝えて、スマホの正しい使い方を教えることが重要です。
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近年摘発者が急増し、トラブルが相次いで報道されているのは「オンラインカジノ」です。インターネット上でお金を賭けて遊ぶオンラインカジノは、海外では合法とされていても、日本国内からアクセスしてお金を賭けることは賭博罪にあたります。また“オンラインカジノは大人がするもの”という先入観を抱きがちですが、保護者よりも子どものほうがインターネットを利用することに長けていることもあります。本人は遊んでいたつもりでも犯罪になってしまう大変危険なものです。
このほかにも、近藤さんは「SNS上やネットの掲示板に“短時間で高額報酬”などの文字を見かけたら、闇バイトだと疑ってほしいです。闇バイトは犯罪です。“世の中にそんなうまい話はない”ということを知っておいてほしいです」と呼びかけます。
保護者はインターネット上の危険性について注意喚起するとともに、子どもにスマホを持たせるときは、携帯電話事業者が提供する「フィルタリング」という機能を活用しましょう。
これは、子どもがインターネットを利用する際、薬物などの違法な情報や出会い系・アダルト系のサイトなど、不適切な情報の閲覧ができないように制限したり、年齢区分に合わないサービスやコンテンツの利用を調整するなど、保護者に代わって子どもの安全を守るためのツールです。「保護者には、フィルタリングなどを活用して、子どもの発達段階に応じてネット利用の適切な管理に努める義務が定められています」と近藤さん。
適切なネット利用を促すことは保護者の義務ですが、一方的にルールを課して子どもに守らせることは適切ではありません。大切なのは、親子で子どもの成長に合わせたルールづくりをして、ゆくゆくはスマホの使い方を子ども自らコントロールできるようにすることです。そのためにも、親子で納得のいくルールを一緒につくり、ライフイベントのときなど、子どもの成長に応じてルールを見直すことが推奨されます。
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こども家庭庁には、子どもたちから政策や省庁の取り組みに意見を伝えられる「こども若者★いけんぷらす」というサイトがあります。同サイトで “インターネットに関するルール”について子どもたちに聞いたところ、さまざまな意見が寄せられました。
例えば、小学生から幼い子どもたちに向けたアドバイスでは、「使いすぎや健康に気をつけたほうが良い」という意見がたくさん届いています。厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023 こども版」によると、寝そべりながらデジタル機器を使うと、ディスプレイとの距離が近くなってブルーライトを浴びやすくなるため、寝つきや睡眠の質の悪化につながります。
また小中高生は、テレビやゲーム、スマホのスクリーンを見る時間を“1日2時間以下”にすることが推奨されています。とはいえ、学習のためにスマホやタブレットを利用することもあるため、一概に“1日2時間以下にする”とルールを定めることは難しいかもしれませんが、スマホには利用時間を制限できる時間管理機能が設けられているため、そうした機能を上手に活用して、親子で健康づくりについても話し合ってルールを設定しましょう。
また、中学生から小学生に向けてのアドバイスとして、「親の前でスマホを使ったほうがいいと思う」や「SNSで知らない人からメッセージがきたら保護者に相談する」「課金は自由にできないようにする」など、家庭でのルールづくりや安全に使うためのアドバイスが多く寄せられています。課金に関してはルールを決めることも大切ですが、スマホの機能を活用して使用できるアプリを制限することで防ぐこともできます。
また、スマホを使用する子どもたちは「自画撮り被害」にも注意を向ける必要があります。自画撮り被害とは、だまされたり、脅されたりして子どもが自分の裸を撮影させられ、SNSなどで送信させられる被害のことを言います。
この対策について、近藤さんは「裸が含まれる可能性がある写真を送信しようとしたときに警告し、対応に役立つ情報を提示してくれる機能や、不適切な画像・動画の撮影をAIが検知して警告を出したり、保護者などに知らせてくれるサービスもあります」と説明します。
一方、高校生から中学生へのアドバイスとして、近年SNSで誹謗中傷を受け、自ら命を絶ってしまう人が増えていることからか、「誰かを不快にさせる可能性がありそうなことはしない」というものもありました。
SNSは公共の場であり、みんなが気持ちよくSNSを使うためにできることを考えていくことが大切です。SNSの使い方や困ったときの相談先などをまとめたサイト「#NoHeartNoSNS」もありますので、ぜひ親子間や友人間で共有してください。
最後に近藤さんは、「スマホなどでのネットの使い方を親子で話し合い、ルールを決めることが大切です。子どもが幼いうちは、保護者がリードしながらルールを決めることになると思いますが、年齢が上がるにつれて子どもが自分自身でルールを考え、管理することができるようになるのが理想です。そして、保護者は子どもたちが少しずつ自立していけるように手を貸し、見守っていきましょう」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「今どきのネットの使い方」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は “親子の会話を大切にスマホルールを作る”をポイントに挙げ、「保護者がルールを決めがちだけど、それではダメなんだと勉強になりました」と学びがあった様子。続いて、杉浦は“保護者もアプリ・SNS・スマホの知識を身につけよう”とスケッチブックに書き、「今どきのネットの使い方について詳しく知りたい方は、子ども家庭庁の『みんなで考えよう!賢く・便利に・安全に!今どきのネットの使い方』のリーフレットをご覧ください」とコメントしました。
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(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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2月23日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月3日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
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