【柔道】「試合ないので正直…」丸山城志郎引退会見で明かした、話したことない阿部一二三への本音

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2025年02月25日 18:42  日刊スポーツ

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引退会見を行った柔道の丸山城志郎

柔道男子66キロ級の世界選手権2連覇王者、丸山城志郎(31=ミキハウス)が25日、大阪府内で引退会見を行った。


17日に現役引退を発表していた丸山は、天理大の穴井隆将監督(40)とともに登壇。「五輪出場、優勝はかなえられなかったが、それに向けてやってきたことには一切後悔がないので、達成感が大きい」と、すがすがしい表情で語った。


引退を真剣に考えたのは今年2月のグランドスラム(GS)パリ大会だった。「絶対にこいつには負けたくないという気持ちがなくなった」。気持ちの低下を感じながらの戦いが、決心につながった。


24年パリオリンピック(五輪)で2連覇した阿部一二三(27=パーク24)の宿命のライバルとして戦い続けた競技生活にも「もう引退するので。試合はもうないので、正直に」と思いを口にした。


移動の車中で一緒になっても一言も発さない。1度も会話したことがない宿敵だったが、初めて個人的な思いを打ち明けた。


「本当に、強い選手でした。けれど、僕をここまで強くさせてくれた選手でもある。彼のおかげで、僕の柔道人生はこんなに華やかになった。彼のおかげで、いろんな負けを知ったし、いろいろな意味で成長できた。本当に彼には『ありがとう』と正直に言いたい」


選手生活での一番の思い出にも、日本柔道史上“最長”24分間の激闘で「令和の巌流島」と称された20年12月の東京五輪代表決定戦を挙げ、ライバルの存在に感謝した。


一方で、阿部がいなければ、という思いも正直に語った。「何で同じ世代で生まれてきたのか。(阿部が)いなかったらなと思うこともあった。いなかったら俺が五輪に出て優勝していただろうなと思った。でも彼がいなかったらここまで強くなれなかった。感謝している。だけど『いなかったら良かったな』と思うのも、正直な気持ち(笑い)」と。


苦悩の多い柔道人生は、自身にしか得られないものも多くあった。


「なるようになると言う人が多いが、なるようにならないのが人生だと思う。でも人一倍努力して、逃げずにやり抜いた者だけが勝ち取れるものがある。それを学んだのが柔道」


今後は学んできた経験を生かし、指導者の道へと進む。ミキハウスに在籍しながらカテゴリーを問わず国内外で指導していく考え。内股を極めた男、技のスペシャリストは「技で一本を取る、相手を仕留める柔道を伝えていきたい」と次のステージに意欲を見せた。【永田淳】

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