「初回無料」「海外では合法」甘い文句で賭博に誘う…実は身近にある“オンラインカジノ”の注意点

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2025年02月25日 21:21  All About

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【弁護士が解説】吉本興業に所属しているお笑い芸人がオンラインカジノで賭博をした疑いがあるとして、警視庁から任意の事情聴取を受けていると報道されました。オンラインカジノや賭博とは何か、どのような罰則があるのか、注意点などを解説します。
吉本興業に所属しているお笑い芸人がオンラインカジノで賭博(とばく)をした疑いがあるとして、警視庁から任意の事情聴取を受けていると報道されました。令和ロマンの高比良くるま(※高ははしごだか)さんは報道を事実と認め謝罪動画をアップし、後日、当面の間芸能活動を自粛すると発表しました。

そもそもオンラインカジノとは何か、どのような罰則があるのか、弁護士である筆者が解説します。

賭博とは

賭博とは、勝敗が偶然の事情によって決まることに関して、財物や財産上の利益の得喪を争う行為とされています。

偶然で勝敗が左右されるものについては、多少なりとも偶然の要素があれば、これに該当すると判断されます。例を挙げれば、その人の能力が関係し偶然の要素が少ない将棋や囲碁といったものでも該当します。

財物や財産上の利益の得喪を争う行為とは、何かを賭けたことで、利益を得た者や損した者が発生する行為を指します。

この賭博行為に及ぶと「賭博罪」が成立し、刑罰が定められています。刑法185条において、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と規定されています。

なお、この「一時の娯楽に供する物」とはその場で消費できる食べ物や飲み物など少額のものが当たります。

オンラインカジノとは

近年問題になっている「オンラインカジノ」は、スマートフォンやパソコンなどの通信機器を通じてオンライン上でゲームを行い、その結果に対して現金や暗号資産、電子マネーなどを賭けるものです。

多くのオンラインカジノでは、ポイントを購入し、そのポイントを賭けて、勝敗を決め、勝った分を換金できるようになっています。当然、オンラインカジノも偶然で勝敗が左右され、得喪を争う行為ですので、賭博行為に当たります。

また、事業者によっては海外にサーバーを設置しているケースもありますが、日本国内からこのオンラインカジノにアクセスする行為を踏まえて“日本の法律”が適用されます。

オンラインカジノを常習的に利用していた場合には、賭博罪よりも罪が重い常習賭博罪(刑法186条1項)が成立することがあります。刑罰は「三年以下の懲役」とされています。常習性は、賭博の種類、賭けた金額、賭博罪の前科などの複合的な事情で判断されます。

実は私たちのすぐそばにある

「オンラインカジノ」という名称で誤解されやすいのですが、一般的にカジノで想像するカードやスロットなどのゲームだけでなく、パズルゲームや格闘技、スポーツなどの勝敗を予想するものもあります。

近年、このオンラインカジノに勧誘する文言も巧妙になっており、「初回無料」といった文言で勧誘し、サイト上で「日本の法律は適用されない」「海外では合法」といった文言でユーザーを安心させて賭博行為を促すケースが散見されます。また、オンラインカジノへとつながるネット広告もとても多いのが現状です。

さらに筆者が「オンラインカジノ」で検索したところ、容易にオンラインカジノサイトにアクセスできました。このように日常生活のすぐそばに、容易に賭博行為をすることができる環境にあると言えるでしょう。

しかし、賭博行為を日本国内で行っていれば、日本の刑法が適用されますからこのようなサイトを利用することは犯罪に当たります。どのような文言があったとしても賭博行為は違法です。甘い文言にだまされず、換金行為がないか一度確認するようにしましょう。

鬼沢 健士プロフィール

慶應義塾大学卒業。平成24年、茨城県取手市「じょうばん法律事務所」を開設。主に労働者側の労働事件(不当解雇など)やインターネット詐欺被害救済(サクラサイト、支援金詐欺など)を取り扱う。All About 暮らしの法律ガイト。
(文:鬼沢 健士(弁護士))

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