経営していたペットショップの従業員4人に性的暴行を加えるなどしたとして、強制性交等致傷罪などに問われた福岡県糸島市の本多道雄被告(66)の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は25日、求刑通り有期刑の上限の懲役30年を言い渡した。今泉裕登裁判長は「会社を私物化し、多数の従業員らを恐怖によって支配して服従させていた。過去に類を見ないほどの特異な悪質性がある」と批判した。本多被告側は「同意があった」と無罪を主張していた。
本多被告は従業員だった女性2人への強制わいせつ罪などにも問われ、これら事件を分離して審理する区分審理で2024年10月に有罪判決を受けており、この判決も踏まえて量刑が判断された。
判決によると、本多被告は17年3月から5年間にわたり、当時23〜34歳の従業員女性3人を脅迫して抵抗できない状態にして性交したり、別の当時23歳の従業員女性の首を絞めるなど暴行を加えて性交しようとして、全治10日間のけがをさせたりした。
今泉裁判長は、本多被告が暴力団関係者であるとうそをついて「服従できないなら家族を含め殺す」と脅したり、日本刀を被害者の首に当てたりして「要求を拒絶するのは著しく困難だった」と認定したうえで、本多被告側の「抵抗ができない状態ではなかった」などとする主張を退けた。
そのうえで、経営者という優越的な立場を背景に「欲望の赴くままに犯行に及んでおり、卑劣極まりない」と非難。強制わいせつ事件も含め、性的被害者が計6人に上ることや、不合理な弁解に終始したことなどを挙げ「無期懲役を選択することも考慮の対象になる」と強調した。一方で、法定刑に無期懲役が含まれる事件は強制性交等致傷事件の1件のみだったことから懲役30年が適当と判断した。【志村一也】
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