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「薬局で買い物中、5歳くらいの子供がこっちを見てニヤニヤしながら『チンチョチャー』と連呼して近寄ってきた――」
男性上司「セで始まってスで終わるものなーんだ?」 バイト仲間女性の模範解答に「カッコ良すぎるだろ」「完璧な返し!」
ドイツ在住のMiki Kawamuraさん(@KawamuraNika)が、国や人種間での差別について考えさせられた体験談をX(旧Twitter)に投稿。大きな反響を呼びました。
買い物中に子供が近寄ってきて…
これは、Kawamuraさんが薬局で買い物をしていた時の出来事だったそうです。
「少し離れたところから、子供が『ちんちんちゃー』(Xのポストでは『チンチョチャー』と表記)と連呼しながらニヤニヤと近づいてきました」(Kawamuraさん)
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子供が発していたのは、現地の方々に、中国語がそのように聴こえるというところから派生した言葉。ヨーロッパの人たちにとっての、中国や日本を含めた東アジアの人種に対するステレオタイプ的な表現といえますが、子供たちがその背景を知らぬまま、じゃんけんの掛け声として使用することもあるといいます。
「言葉自体に差別的な意味合いがあるわけではないですが、人間を馬鹿にする意図で使われた時、非常に不愉快な言葉に変わります」(Kawamuraさん)
Kawamuraさんは、同様の言葉を街なかでかけられても、危険がないと判断した時は無視することもあるそうです。ですが、この時、Kawamuraさんは娘さんを連れていました。その子供は、娘さんの方にも目線をやりながら、ニヤニヤと件の単語を連呼していたといいます。それで、娘さんに危害が及ぶのではと危惧したKawamuraさんは、子供に詰め寄りました。それに対し、子供は逃げて母親の陰に隠れます。
Kawamuraさんは、母親に子供から不愉快な発言をされたことを伝えました。すると、その母親は、わが子を本気で怒っていたそうです。
「(子供は)最初、ニヤニヤとして反省する様子はなかったのですが、母親が真剣に怒ったので泣いていたように感じます。私はすぐその場を離れたので声しか聞こえなかったのですが、ふざけた子供の声から泣き声に変わったように感じました」(Kawamuraさん)
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子供を叱る母親の言葉は、ドイツ語ではなかったそう。Kawamuraさんは、この人も異国の人間として馬鹿にされることに対する不愉快な気持ちを理解しているのだ――と思いました。そして、その子供に対して、「もう少し大きくなって、他人を尊重する気持ちを持ってくれたら嬉しいなぁ」と願ったといいます。
リプ欄にもさまざまな見解
日本では、このような国や人種間の差別の場面を目の当たりにする機会は、あまりないかもしれません。ですが、西欧のように、さまざまな国の人や人種が一同に会するような地域では、よくあることのようです。
そんな世界の現実について教えてくれたKawamuraさんの投稿。Xのリプ欄にもたくさんの反響がありました。
「アジア人に対する差別意識って本当にあるんだと、日本に住んでいるだけでは分からない気持ちを味わいました」
「子供って意外と差別用語だって理解して面白がって言ってる事もあるからなぁ」
「まともなお母さんで良かった」
「自分もちゃんと注意できる親でありたいですね」
このように、Kawamuraさんに同情したり賛同したりする声も多かった一方で、海外で近しい経験をされたという方や、そのような風潮について独自の考えを述べる方も。リプ欄には、さまざまな感想・意見が見られました。
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「海外で子どもに国を聞かれて日本と答えたら『あなたは日本人じゃない。目が大きいから』と言われ、なんて返せばいいかわかりませんでした」
「(投稿と同様の体験をした場合)私だったらチッチッチと舌打ちしながら否定する身振りをして、陽気にオーバーアクションな身振りで『チャン・ドンゴン〜♪』と上書きしてやります。否定して『間違ってる?』と思わせるのと、楽しくなる様なリズムで子供の印象に残らせるのがポイントです」
「例えば日本人が中国人のマネをする時の定番『‥‥アルヨ』も差別的表現にあたるんだろうか?むしろ感覚的にはかなり親しみに近いものを感じるんだけど?あとアジア人に対する細目も『まぁ実際そうだしな。特徴だが欠点とは思ってないんだが?』くらいの感覚なんだけど、俺が変なのか?」
Kawamuraさんにさらに詳しくお話をうかがいました。
――ドイツでは、今回のような言葉をかけられることはよくあるのでしょうか?
Kawamuraさん:このようなことはよくあります。見知らぬ人にこのような態度をとるのは、だいたい子供かドランカーかドラッガーなので、運が悪かったね、で済ますことがほとんどです。ですが4年前のコロナ禍の時、ドランカーに後ろからビール瓶で殴られそうになった時は警察に通報し、在ハンブルク総領事館にも知らせました。
――今回の子供や、このような風潮に対し、今後どのようになっていって欲しい、といった希望はありますか?
Kawamuraさん:今回の子供については、大きくなっていろんな文化を学んで欲しいと思いました。風潮に関しては、そもそも移民として生活している以上、ドイツの在り方に沿うべきだとは思うので特に変化は求めていません。何かを言われた時、それが自分にとって不愉快であった時は抗議するというスタンスを取り続けようと思います。
――リプ欄にも、さまざまな意見が寄せられていましたね!
Kawamuraさん:みなさんいろんな意見をお持ちで面白いなぁと思いました。ただ、日本は他のアジアの国々とは違う、というような意見の方もいて、それはミイラ取りがミイラになっているなと思いました。無意識下で日本人がやる差別そのものだなと感じたからです。
◇ ◇
ドイツの老舗ブランドデザイン会社でパッケージデザイナーをされているというKawamuraさん。
「日本にも出しているようなブランドを多数手掛けているのですが、やはり日本とドイツではデザインに違いがありますし、ドイツのプロダクトはヨーロッパ全土で展開されるので、各国の表現の違いなどを知ることができます。また、同じパッケージデザイナーとして、新しいスキルや文化背景を学べるのも楽しいです」
ドイツでデザイナーとして働くことの魅力について、このように語られます。個人の作成物や仕事については、ご自身のInstagramでも紹介されています。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))