米連邦議会議事堂=ワシントン(EPA時事) 【ワシントン時事】米下院は25日、トランプ大統領の看板政策である大型減税を含んだ法案の概要を賛成多数で可決した。減税規模は2034年度までで総額4兆5000億ドル(約670兆円)。経済成長の拡大を目指す公約の実現に向け、一歩前進した。
法案には2兆ドルの歳出削減が盛り込まれ、目標に達しなければ、減税規模も圧縮される条件も付けられた。規制緩和やエネルギー増産を進めることで経済成長を促進し、税収を増やす方針。
一方で、連邦政府の借入限度額である「債務上限」も現行の約36兆ドルから4兆ドル引き上げられる。連邦債務残高は既に法定上限に達している。財務省が会計上の特別措置を駆使してやり繰りしているが、対応しきれなくなれば、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れがある。
法案を巡っては、前提となった経済成長見通しの甘さや、財政赤字膨張への懸念から、与党共和党内でも反発が強かったが、下院での共和党の「造反」は1票と最小限にとどめることができた。今後、各委員会が削減項目などの詳細を詰めるが、審議は難航が予想されており、迅速に可決できるかが焦点だ。
野党民主党は「米史上最大のメディケイド(低所得者向け医療保険)削減が含まれる」(ジェフリーズ下院院内総務)として法案に反対した。
米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は法案について、「2兆8000億ドルの財政赤字増へ道を開いた可能性がある」と懸念を表明した。