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(左から)川瀬良子、服部勉教授
◆“庭園の楽しみ方”を解説!
服部教授いわく、日本の庭園は大きく分けて“2つのタイプ”があるそうで、「一番分かりやすいのは、お寺のお庭を部屋から座って眺める鑑賞式の庭園。これは、絵画や写真のように美しく作らなくてはならない。これが1つのパターン」と説明します。
もう1つのパターンは“歩く庭”いわゆる回遊式の庭園と言い、「ひとつの場所からじっくりと鑑賞するのではなく、園内を歩くことで見える景色も変わっていくという、今でいうテレビや映画と一緒ですよね。場合によっては船に乗って移り変わる庭園の風景を楽しむこともできます」と紹介します。
その回遊式の庭園の楽しみ方として、「大きな池があって、その周りを歩くと思いますが、ほとんどの庭園は平坦に作られていないんですよね。例えば、築山(人工的に作られた山)に登ってちょっと高いところから眺めたり、広い場所に移動して(庭園を)見渡してみたりする面白さがあります。庭園の明暗のバランスも見どころなので、うっそうとした樹林があるか、落葉樹や広葉樹で明るくしているとか。あとは“見せ方”ですね。(庭園の)ずっと先まで見通せる形で奥行きを感じさせるとか、曲線を描いた園路を設けて、その先が見えないようするとか。“次はどうなっているのかな?”っていう期待感を持たせる仕掛けが庭園には随所にあります」と熱弁します。
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続いては“庭園と農業の関係”について。“庭園”と“農業”と聞くとまったく関係がないように思えますが、「江戸時代には、庭園内に畑や田んぼが作られていたんです。京都市の桂離宮(かつらりきゅう)や修学院離宮(しゅがくいんりきゅう)には、いまだに田んぼがあります」と言います。
庭園に田畑がある理由として、「そこで耕作をしている人々の姿ですね。苗を植える人、草抜きをしている人など、景色のひとつの要素として作業をしている人も眺めるんです。」と解説します。
こうしたタイプの庭園は、日本だけではなく海外でも見られるそうで「フランスのヴェルサイユ庭園にも、そういう畑が作られています。マリー・アントワネットは、ヴェルサイユ宮殿のなかに美しい村(王妃の村里)を作りました。というのも(宮殿から)なかなか外に出ることができなかったのと、来訪者でにぎわう宮殿の喧騒から逃れるために、宮殿の敷地の外れに鶏小屋、畑を作って農村を再現することで、のどかな自然を楽しんでいたとのことです」と説明します。
さらには、日本にも大名庭園のなかに“まち”をそのまま再現したものがあるそうで、「尾張藩徳川家は、東海道五十三次の小田原の宿場町を下屋敷の戸山荘に原寸大で再現しました。そこでは来訪者が買い物に来たり、将軍自身も楽んでいたそうです。ここは薬屋さん、ここは八百屋さんといった具合に本物の野菜やそっくりな偽物が置いてあって、“みんな自由に遊びなさい”と、まさにテーマパークですよね」と服部教授。
加えて、そこまでの規模ではないものの、東京でも浜離宮恩賜庭園(はまりきゅうおんしていえん)には、農家のような茅葺き屋根(かやぶきやね)のお茶屋が作られており、「日本もヨーロッパも18世紀の後半から19世紀の頭にかけて(そのような庭園が)生まれてきているんです。ですから、庭園と農業は関係が“ありあり”なんです!」と声を大にします。
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2週に渡る服部教授とのトークを振り返り、川瀬は「服部先生の話を聞いていると、この目線を持って全国の庭園に足を運んでみたいなと思いました! もう少し暖かくなったら地域の庭園をはじめ、神社やお寺とかにも足を運んで(庭園が持つ)ストーリーを感じながら歩いてみると、楽しみ方が変わってくるんじゃないでしょうか。春が楽しくなってきました!」とコメントしていました。
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2月25日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年3月5日(水) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:あぐりずむ
放送日時:毎週月曜〜木曜 15:50〜16:00
パーソナリティ:川瀬良子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/agrizm/
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