《ジャニーズ性加害》風化させてはいけない複数の裁判とNHKが報じた「局内トイレ事件」の真実

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2025年02月27日 12:00  週刊女性PRIME

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ジャニー喜多川氏

『ジャニーズ性加害問題』がニュースで取り上げられることが少なくなってきているが、完全に決着がついたわけではない。被害者に対する補償を進めている『SMILE-UP.』社は2月14日にHPを更新し、最新の補償状況を発表した。

補償金の支払い義務をめぐって裁判

 発表によると、14日時点で1017名から補償申告があり、そのうち連絡しても返信がない235名を除いた782名のうち、554名に補償内容を通知。218名には補償を行わないことを連絡。そのうえで、被害者救済委員会から補償内容を通知した554名のうち545名に補償金の支払いは済んでいるという。補償を行わないと連絡した218名は、提出された資料の検証やSMILE社の代理人によるヒアリングなど調査の結果、旧ジャニーズ事務所への在籍および被害の事実が確認できなかったそうだ。

 そんな中、SMILE社は被害を訴えていた旧ジャニーズタレントに対し、補償金の支払い義務をめぐっていくつかの裁判を起こしている。

 昨年12月には、志賀泰伸氏、大島幸広氏、田中純弥氏、飯田恭平氏の4人に対し、補償金の支払い義務がないことなどの確認を求める裁判を東京地裁に起こした。飯田氏と田中氏はSMILE社に対し、補償金として3億ドル、約460億円の支払いを求める裁判をアメリカで起こしている。

 また、昨年10月にはNHKの報道をめぐって、補償申告している男性を提訴している。

 2023年10月、NHKはニュース番組において、2002年秋に東京・渋谷にあるNHK放送センター内のトイレで、ジャニー喜多川氏から性被害にあったとする男性の証言を報じた。さらに、同年12月に放送された『クローズアップ現代』でも、男性は同様の証言をしている。

証言に生じた“疑義”

 証言によると、男性はジャニーズJr.の番組として放送されていた『ザ少年倶楽部』への出演を希望し、2002年の秋、放送センター内で行われたダンスの練習に参加。会場に来ていた喜多川氏から声をかけられ、男性用トイレの個室で下着を脱がされ、性被害を受けたという。

 しかし、SMILE社が聞き取り調査を行うと……。

「男性が被害を受けたとしている時期にジャニー氏が日本にいなかったことなど、被害時期をはじめ、放送センターへの入館方法やトイレの間取りも不明瞭だったこと、また番組内でオーディションの告知などなかったことなど、証言に曖昧なところがあり、証言の信憑性が疑われました」(スポーツ紙記者)

 そのため、SMILE社は男性に対して損害賠償の義務がないことの確認を求めて、昨年10月、千葉地裁に提訴したのだった。

 2月10日の第1回弁論で、男性側は同社側の請求を受け入れる「認諾」を表明し、訴訟は終結した。

 だが、男性の証言を鵜呑みにして、そのまま放送したNHKの責任はないのだろうか。

「NHKはその後の取材で、被害時期など男性の証言に疑義が生じたと言っています。ただ、同局の稲葉延雄会長は2月12日の定例会見で、件の男性の証言について、その時期が2002年秋ではなく、2001年である可能性があることを認めながらも、“被害があった信憑性は変わらない”と強調しました」(全国紙社会部記者)

 時期だけではなく、ほかの疑わしい点に関してしっかり取材したのだろうか……疑問が残る。また、NHKは旧ジャニーズ事務所との関係性の検証について、第三者委員会を設置せず、報道による検証を行っている。第三者委の調査にしなかったことについて問われると稲葉会長は、「報道の現場で起こったことについては、報道自らが改善すべきだ」と、従来の主張を変えることはなかった。

発表されない「確認内容」

 2月10日に放送された『ニュース7』では裁判が終結したことを報じていたが、最後に「NHKは今後もあらゆる取材において、確認を徹底していきます」と締めくくった。これに対してSNSでは、

《当時の番組のスケジュールなんて簡単に調べられたはず》

《この声明を出すくらいなら確認した内容を発表しろ》

 と、非難の声が殺到している。

多くの視聴者が感じたのは、“NHKは性加害問題をスルーしていたほかの民放とは違いますよ”ということを強調したかったのではないか、ということです。同番組は“しっかり検証した”その上で“NHKは性加害問題に直接関係ない”、さらに、どちらかといえば自分たちも被害者なのだということを言いたいがための構成になっていたような気がします。

 問われているのは、性加害の事実を知っていて、1度も報じることがなかったテレビの責任と旧ジャニーズ事務所との関係性です。NHKも『紅白』をはじめ、大河ドラマなど旧ジャニーズタレントの出演はかなり多かったわけですから、しっかり検証するなら『第三者委員会』を設置して調査するべきです。そうなると、フジテレビの二の舞になりかねないとでも思ったのでしょうか……」(テレビ誌ライター)

 このまま、ほとぼりが冷めるのを待つつもりなのか。

 新事務所に移籍、あるいは独立した旧ジャニーズタレントは、依然にも増して活躍している。関連した報道も少なくなってきているが、この問題は決して風化させてはならない。

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