新制度開始から1年の新NISA、継続意向は約9割も見えてきた今後の課題 〜新NISA利用実態データ

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2025年02月27日 13:00  ORICON NEWS

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新NISA利用実態データを発表(オリコン顧客満足度調査)(画像はイメージ)
 新制度が開始から1年が経った新NISA。その活用法や運用をめぐっては多くの有識者が発表し、様々な意見が飛び交っており、変わらず注目度は高いようだ。金融庁が2月に公表した2024年12月末時点のNISA口座数(速報値)も、2023年3月から20.5%増の2560万件とこの1年で2倍以上を記録。市場の活況ぶりが示されている。

新NISA【成長投資枠】【つみたて投資枠】運用状況 ※新NISA利用実態(オリコン顧客満足度調査)

 顧客満足度調査を実施する株式会社oricon MEでは、1月に発表した「2025 ネット証券ランキング」と併せ、ランキング調査対象者4,978名に「新NISAの利用実態」についても調査。2024年の同新NISAの運用状況や増減益、今後の継続意向などについて聞いている。

■新NISA運用率、【成長投資枠】は6割超え、【つみたて投資枠】は4割超え

 「新NISAの運用状況」については、【成長投資枠】が「最もよくネット取引をしている証券会社で運用」と「メインのネット証券以外の金融機関で運用」の合計で65.9%と6割を超え、【つみたて投資枠】は同合計で45.4%と4割を超える結果となった。

 なお「口座を開設していない」は、【成長投資枠】で24.9%、【つみたて投資枠】で37.9%と約2割〜約4割が口座開設をしていないことが判明。理由については後述するが、今後はこの層に対し、口座開設、運用開始の働きかけをいかに行っていくかが課題となりそうだ。

 年代別では、【成長投資枠】、【つみたて投資枠】共に30代が72.7%、69.6%で最多となった。

 それぞれで見ると、【成長投資枠】は、80代以外すべての年代で6割以上が「運用している」と回答。また「10・20代」の64.6%と、60代以降の運用割合を上回った。一方の【つみたて投資枠】は、「40代」までは6割以上が「運用している」と回答し、50代以降は半数を割っている。

■【成長投資枠】、【つみたて投資枠】共に年間投資上限額での運用が最多

 「投資額の利用状況」については、【成長投資枠】の利用者3,279人による年間投資額の想定は「220万円以上240万円未満」が21.2%で最も多く、次いで「1万円以上20万円未満」が11.0%、「100万円以上120万円未満」が10.9%と続いた。

 一方、【つみたて投資枠】の利用者2,256人の月平均投資額は、「9万円以上10万円未満」が24.4%と最も多く、次いで「1万円以上2万円未満」が11.6%、「3万円以上4万円未満」が9.4%と続き、どちらも新NISAの年間投資上限額(※)で運用している人の割合が多い傾向となってる。

※成長投資枠の年間投資上限額は240万円、つみたて投資枠の年間投資上限額は120万円

■NISA口座未開設の理由、制度のわかりづらさ、運用面、口座開設の手間が続く

 調査対象者4,978人のうち、「NISA口座は開設していない」と回答したネット証券利用者1,169人には「NISA口座を開設していない理由」についても質問。結果「特に理由はない」が最多の41.4%となったが、これを除くと「NISAの制度についてよくわからないから」が19.0%、「通常取引とNISA取引の二重管理が面倒だから」が14.5%、「開設手続きが面倒だから」が13.4%と続き、制度の周知と運用面での煩雑さに課題があることがうかがえる結果となった。

■投資実績、【成長投資枠】、【つみたて投資枠】共に約半数が増益と回答、元本割れの回答はいずれも10%台

 運用を開始してから現状までの「投資実績(増減益)」について、5%単位で聞いたところ、【成長投資枠】では合計47.1%が増益、14.6%が減益と回答。個別では「特に変動はない」の16.1%が最多で、次いで「5%以上〜10%未満の増益」の14.9%、「1%以上〜5%未満の増益」の14.2%となった。

 一方の【つみたて投資枠】では、「1%〜5%未満の増益」が22.1%と最も多く、「特に変動はない」が15.6%、「5%〜10%未満の増益」と続いた。合計では50.0%が増益、11.8%が減益と回答している。

 年代別で見ると、【成長投資枠】は各年代で「特に変動はない」が最多となったが、「30代」、「40代」は「増益」の回答がそれを上回り、「30代」は「1%〜5%未満の増益」と「5%以上〜10%未満の増益」が同率最多の19.2%に。40代は「5%以上〜10%未満の増益」が最も多い19.4%となった。

 【つみたて投資枠】の年代別では、10・20代〜70代までの年代で「1%〜5%未満の増益」が最も多い結果となった。

■今後の継続意向、約9割が継続意向あり 

 現在運用中の新NISAについての今後の継続意向は、【成長投資枠】では合計88.5%、【つみたて投資枠】は合計88.2%が「継続したい」と回答。いずれの投資枠も、高い継続意向がうかがえる結果となった。

 なおその理由については下記のようなコメントが寄せられている。

■継続理由 ※利用者コメント抜粋
【成長投資枠】
「実際に利益が出たからもっと資産を増やしたい(30代・女性)」
「8月の暴落で含み損を抱えているのと、枠内で売買したりして投資を楽しみたい(40代・男性)」
「試しにやってみる程度で始めたが、少し増益したのでしばらく継続して様子を見たいから(50代・女性)」
「目先の損益に拘らず継続してこそ意味のある制度と理解しているから(60代・男性)」

■【つみたて投資枠】
「難しいけれど長期的には損はしないと考えているから(30代・男性)」
「現在(投資について)勉強中のため、これからが本番だと思っているから(40代・男性)」
「S&P500に継続して積み立てたいから(50代・男性)」
「クレカ積立を利用してポイントを貯め、そのポイント分で成長投資枠に投資して運用できる(60代・男性)」
「非課税メリットを使って資産形成したい(60代・男性)」

 なお最新の「2025年 ネット証券ランキング」では、【SBI証券】と【楽天証券】が同点で総合1位を獲得。【SBI証券】は3年連続、16度目。【楽天証券】は2年連続4度目の1位となった。総合3位には【松井証券】がランクインしている。

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