「させていただく」は間違った日本語表現? 『ドラゴンボールZ』のワンシーンを例に、違和感の原因とついつい使ってしまう理由を解説

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2025年02月27日 15:00  ニコニコニュース

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 今回紹介するのは、ニコニコ動画に投稿された『「させていただく」だけは、何があってもこの身に代えても絶対マジで滅ぼしたい【ことば考察】』というニッポンさんの動画です。

 投稿者メッセージ(動画説明文より)

“日本三大嫌われ言葉”の一つ「させていただく」が、なぜ嫌われているのかを考える動画です。

 投稿者のニッポンさんは日本語に関する考察動画や、合成音声ソフトを活用したコント動画などを投稿しています。

 今回の動画では「させていただく」という表現について考察していきます。

 「〜〜させていただきます」という表現は、2020年に行われた文化庁の調査ではほぼ半数が「気になる」と答えています。

 「させていただく」を詳しく見ていくと、「させて」と「いただく」の2つの言葉が合体しています。

 「させて」が相手からの許可、「いただく」が恩恵を意味するので「相手に許可をもらい、ありがたいことに○○をいただく」という意味になるそうです。

 「させていただく」は謙譲語であり、「自分が相手にする行為」に使います。

 動画では謙譲語の例として『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!! 熱戦・烈戦・超激戦』のセリフが挙げられています。

 パラガスの部下である一般的サイヤ人が、ベジータに対して報告する際に言った「申し上げます」というセリフが謙譲語の例です。

 報告する相手は新惑星ベジータの王であるベジータなので、目上の存在です。
 これから自分が行う動作である「言う」を謙譲語にして「申し上げる」と言っています。

 さて、2つの言葉が混ざっているとはいえ、謙譲語である「させていただく」がなぜ違和感を与えてしまうのでしょうか。

 動画では違和感の原因を「関与」と「許可」の2つのポイントに注目して整理しています。

 例えば、美術館の入り口で係員から「チケットを確認させていただきます」と言われた場合、違和感を覚えるでしょうか?

 違和感を覚えるという方は「確認いたします」でいいと思ったかも知れません。

 チケット確認は係員がしなければならないことでチケットを見せる側の許可は不要、と考えれば「させていただく」のは不適切にも思えます。

 「させていただく」は許可のニュアンスのせいで余計な解釈のステップが生じるため、気になってしまうのではないかと動画では考察されています。

 また「させていただく」を使われた側は、何かしらの許可を出すように頼まれている印象を持ち、心理的な負担になるとも分析しています。

 加えて、実際には「させていただく」に許可を求める意味はなく、選択肢がないこと違和感を覚える原因ではないかとのこと。

 では、逆に気にならない人はなぜ「させていただく」を使うのか。

 それは「丁寧語」として使っているからではないか、と考えられるそうです。

 謙譲語と丁寧語の違いについても『ドラゴンボールZ 燃えつきろ!! 熱戦・烈戦・超激戦』で解説されています。

 謙譲語は動作の相手が必要なのに対し、丁寧語は自分の動作だけで成り立つといいます。

 言い換えれば「丁寧語は相手に触れなくていい」ため、使いやすい言葉なのだそうです。

 「させていただく」が使いやすい言葉になった理由として、動画では「敬意低減の法則」が挙げられています。

 頻繁に使われる言葉は敬意を表す強さが減っていき、敬意を示すためには使えない言葉になってしまうという法則があるそうです。

 例えば、「お前」や「貴様」は高貴な身分の相手を敬って使う言葉でしたが、現在ではまったく経緯を含まない言葉になってしまいました。

 さらに敬意低減を加速させるのが「謎マナー」だと言います。

 例えば「“了解”という言葉は使わないのがビジネスマナー」と誰かが突然言い出すと「了解です」が使いにくくなるように、言葉の敬意は操作されてしまいます。

 こうして言葉の持つ敬意が変化してしまうことに加えて、互いの立場や距離感が曖昧なことも丁寧語としての「させていただく」が多用される理由だと考察されています。

 身分制度や上下関係が分からない間柄では、とりあえず失礼が無いようにとお互いに敬語を使うことが増えます。

 サイヤ人のように明確な立場の差がある文化では誰がどんな敬語を使うか明確なのに対して、我々が生きる社会はどの程度の敬語を使うかが難しいのだそうです。

 では、とにかく敬意を盛れば失礼ではないのか、というとそうも言えないとのこと。

 丁寧すぎる言い回しは相手に疎外感を与えてしまうため、上手く調整する必要があります。

 その結果、敬意を盛りつつも疎外感を与えない「ギリギリの攻防」が繰り広げられます。

 そういった距離感を調整しなければならない会話の中で、なぜ「させていただく」が広く使われるのでしょうか。

 ニッポンさんは原因を「させていただくは、へりくだり界の救世主」だからだ、と考察しています。

 謙譲語の中には語彙がない動作があるそうで、そういった行動を謙譲語にしようとすると「させていただく」を使わざるを得ないのだそうです。

 適切な言い換えが分からなくても、とりあえず付ければ謙譲語になり、丁寧語的にも使える便利な言葉が「させていただく」なのだそうです。

 「させていただく」は気になる言い回しではあるもの、大事なのは「敬意を示したいという“気持ち”」である、とニッポンさんは解説を結びます。

 興味がわいた方は、ぜひ下記のリンクから動画でもお楽しみください。

 視聴者のコメント

「なにげに」「さりげに」兄弟も滅ぼしてくれ
流石に多用しすぎだろw
嫌いだけどみんな使うからついつられて使ってしまう
歌ってみた動画の「〇〇を歌わせていただきました」とか
違和感を感じつつも使っている言葉だな

▼動画はこちらから視聴できます▼

『「させていただく」だけは、何があってもこの身に代えても絶対マジで滅ぼしたい【ことば考察】』
https://www.nicovideo.jp/watch/sm44651610

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