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ふるさと納税で多額の寄付を集めたことを理由に特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が減額決定の取り消しを国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は27日、市の訴えは裁判の対象にならないとした2審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。
差し戻し審では、減額決定の是非が審理されるとみられる。
市は2018年度、ふるさと納税の返礼品にギフト券を上乗せするキャンペーンを展開し、全国の自治体でトップとなる約498億円の寄付金を集めた。
ふるさと納税を巡っては自治体間で競争が過熱し、総務省は19年12月、寄付額が特に多い自治体への特別交付税を減額するよう省令を改正した。
泉佐野市の19年度の特別交付税は、前年度から約4億4000万円減って、約5300万円となった。
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市は不服を訴えて提訴したが、自治体が交付税の減額を不服として国に訴訟を起こせるか、法律上の規定がなく、裁判の対象になるかが争点になった。
1審・大阪地裁判決(22年3月)は、市の訴えが「具体的な権利の保護救済を目的としている」として裁判の対象となると認めた。
その上で、自治体に交付する税について定めた地方交付税法は特別交付税を減額する要因としてふるさと納税の寄付額を考慮することを定めていないとし、国の減額決定を取り消した。
一方、2審・大阪高裁判決(23年5月)は、自治体と国が争う場合、原則として行政機関内で調整し、国会審議など民主的なプロセスで解決すべきだと指摘。裁判の対象ではないとして、減額決定の違法性を判断せず、市側の訴えを却下していた。【巽賢司】
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