泉佐野市役所=大阪府泉佐野市 ふるさと納税制度による多額の寄付収入を理由に特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が国に決定取り消しを求めた訴訟の上告審判決が27日、最高裁第1小法廷であった。岡正晶裁判長は、同交付税額の決定取り消し請求は裁判対象になると判断。請求を却下した二審大阪高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
5人の裁判官全員一致の意見。特別交付税の減額取り消しを巡る最高裁の判断は初。今後、大阪高裁で国の減額決定に違法性があるかなどが審理される見通しだ。
岡裁判長は、地方自治体による交付税減額の取り消し訴訟について「具体的な権利義務に関する紛争で、法令の適用によって解決できる」と指摘し、裁判対象になるとした。
一審大阪地裁は21年、裁判対象になるとの中間判決を出した上で、22年の判決で「地方交付税法は寄付金収入を減額要因と定めていない」とし、国の決定を取り消した。一方、高裁は23年、行政内部の紛争は裁判の対象にはならないとして一審判決を取り消し、訴えを却下した。
泉佐野市のふるさと納税による寄付金収入は18年度に約497億円に上り、全国の地方自治体で最高額だった。総務省が特別交付税額を算定する際に寄付金収入を考慮する省令改正を実施した結果、同市の19年度の交付税額は前年度比約4億4000万円減の約5300万円にとどまった。
判決を受け、泉佐野市の千代松大耕市長は「画期的で、『地方自治の勝利』とも言える」などとするコメントを出した。