「映画 先輩はおとこのこ」梅田修一朗、関根明良、内田雄馬が見つけた「好き」の答え【インタビュー】

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2025年02月27日 17:51  アニメ!アニメ!

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(左から)関根明良、梅田修一朗、内田雄馬
『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』が絶賛公開中。昨年放送・配信され好評を博したテレビシリーズでは、かわいいものが好きで女の子の服装で高校生活を過ごす花岡まことと、後輩の蒼井咲、そして幼馴染の大我竜二の3人の繊細な心の揺れ動きを描いた本作。映画はテレビシリーズのその後を描き、3人それぞれが将来に向けた選択をしていく中で、関係性にも変化が訪れる。

そんな本作でメインキャラクターを演じる3人、梅田修一朗、関根明良、内田雄馬にインタビューを実施。役づくりや本作で描かれる「好き」という感情の複雑さなどについて話を聞いた。

[取材・文=杉本穂高 撮影=Ayumi Fujita]

■まことをかわいく演じようとはしなかった
――皆さんが演じたそれぞれのキャラクターで、テレビシリーズから映画にかけて変化を感じた部分などはありますか?

梅田:テレビシリーズのその後を描く内容なので、大きく変わったということはないですが、竜二や咲がそれぞれ自分と向き合い変わっていったので、テレビシリーズからちょっと間が空いたことで2人が前よりも頼もしく見えるかもしれないですね。

まことも最終話でお母さんと向き合いましたし、複雑な感情が交錯するシーンでしたけど、まことの成長のきっかけとして印象に残っています。

関根:序盤、咲ちゃんは明るく元気な女の子で先輩の背中を押したり、自ら突っ走っていくような感じの女の子でしたが、テレビシリーズの中盤から彼女の悩みや家庭の問題などで悩み、どんどん笑顔が少なくって…。
まこと先輩と竜二(師匠)に背中を押してもらい前を向き、笑顔を取り戻したところがテレビシリーズでの彼女の物語だったかなと。映画では彼女の特別についてや自分だけでは解決できない問題に直面します。そんなときに周りとの触れあいで成長していくんです。

咲ちゃんの周囲には優しい人がいっぱいいて、あらためて彼女がそれに気づくことができ、特別を知ることができてよかったと演じていて思いました。

内田:竜二はまことのことを好きになってしまった自分に戸惑い、自分の中にあった何かが崩れて、本当にそれでいいのかとテレビシリーズでは悩んでいました。でも、まことのことを好きだっていうのは、竜二にとってとても大事なことで、彼のアイデンティティに関わることだから、それを否定はできない。

まことの優しさでむしろ傷つくこともあったかもしれないし、竜二も傷つけたこともあったかもしれない。でもそうやって一度自分の気持ちに素直に向き合ったからこそ、本当に誰かのことを思いやることができるようになったんだと思います。だから、竜二はテレビシリーズで自分の気持ちをしっかり持った上で、誰かに想いを届けないといけないってことに気付いたんだと思っています。なので、映画ではまことと咲の2人をすごくいいかたちで見守っているんです。

――映画では3人の中で、一番清々しい気分でいるというか、言葉に迷いがないですね。

内田:そうですね。まことのことを好きというのは自分の中に残していいんだと、消す必要はないと思えたことでかなり変わったんだと思います。自分を否定しないことを覚えたという感じじゃないでしょうか。

――梅田さんは本作でまことを演じるにあたり、基本的にどういうアプローチでいこうと思われたのですか?

梅田:僕の中での演じる上でのルールというか、まこととの約束みたいなものがあって、それはかわいくしようとしないということでした。まことは男の子なので声が高いわけじゃないし、自分がなりたい姿はあっても、過剰にかわいく見せようとはしていないんです。かわいいものが好きだということを、胸を張って言えるようになるという物語ですし、かわいく演じようとはしないことがまず前提としてありました。

面白いことに、僕の身体の調子がいいと、普段よりも高い声が出るので、それだとかわいくなりすぎてしまっていると、ディレクションで言われたことがあります。だから、まことのニュートラルな、男の子だけどかわいいものが好きで、時折女の子のように感じられる魅力があるっていう部分を、僕の声と芝居で表現するというのは、僕が思っている以上に繊細な作業だったんだろうと思います。まことは声の印象もすごく大切なキャラクターだと思うので、悩むこともありましたが、やりがいのある役でしたね。

――まことというキャラクターを演じて、ご自身の芝居の幅が広がった実感はありますか?

梅田:そうですね。芝居の幅も広がりましたし、まことのようなキャラクターにはなかなか出会えないと思うし、現代を生きる人にとっても共感を得られる部分のあるキャラクターだと思います。普段意識しない部分に気付けるようになりましたし、人間として価値観が広がりました。

――関根さんの演じた咲は明るい女の子ですけど、複雑な家庭環境を抱えています。その明るさと複雑な家庭環境のギャップはどう表現しましたか。

関根:悲しみや苦しさは、普段の咲ちゃんにはにじませないよう気をつけていました。
彼女の明るさは嘘じゃないと思うんです。もちろん辛さや悲しみを押し隠すシーンは例外なのですが、彼女は本当に明るく優しい気遣い屋さんで、それは仮面でも建前ではないと感じています。複雑な家庭環境を抱えているけれど、普段の咲ちゃんを演じる上ではそこに囚われすぎないように心がけていました。

――内田さんの竜二は、どんな点にこだわりを持って演じられましたか?

内田:竜二はこの世代の等身大の感性を持っているキャラクターで、思っていることや抑えきれなくて出てしまう感情をはっきり言うので、そこは素直に演じていこうと、あまり作りすぎないことを大事にしました。

竜二はまことを好きになったことで戸惑いを覚えますが、それは多分竜二にとって、自分が自分であるために大事なことなんです。その戸惑いには、自分が大切だと思う人たちに、辛い思いをしてほしくないという気持ちがあったと思うんですね。だから、竜二を見ていてかわいそうな人にはしたくない、彼自身が“これでいい”と思って行動しているように見えるようにしたいなと。竜二はシンプルに相手のことを想って行動しているんです。そういう部分は大事にしようと思いました。

■“好き”という感情にはかたちがない
――本作は“好き”という感情には恋心のみならず、いろいろな“好き”があるんだということを描いていると思うんですが、人として“好き”という感情と、愛・恋としての“好き”に明確な違いはあると思いますか?

梅田:それは本当に難しいですよね。どうなんでしょうね。

内田:でも、それで言ったら、僕は2人のこと好きですよ。

梅田:あ、ありがとうございます。

内田:なんでドギマギするかな(笑)。

梅田:でも、雄馬さんは言葉にせずとも、そういう気持ちをいつも伝えてくれてましたね。温かい感情をいつも大事にされる方なんだなって、毎回アフレコのときに感じていました。現場の太陽みたいな人でした。

関根:そうですね! 竜二の立場と同じで、内田さんはとても頼りに存在でしたし、梅田さんもまこと先輩のようにいつも現場を優しい空気にして下さっていて。映画の収録のとき、テレビシリーズからやや間が空いたので、久しぶりに咲ちゃんを演じる事への緊張がありましたが、内田さんと梅田さん3人での収録が始まった瞬間、あ!大丈夫だ!って思えたり(笑)。

梅田:そういう意味での“好き”に溢れた現場だったと思います。僕らが雄馬さんと関根さんと一緒に何か頑張りたいって思う“好き”と、恋愛的な“好き”には重なる部分はあると思うんです。好きな人に会ってドキドキする感情は、その人自身にしか説明できないものだと思うので上手く言えないですが、似てる部分はあるんだと思います。

内田:定義したり線引きするのは難しいですよね。まことが竜二に思い描く“好き”や、竜二がまことに向ける“好き”は違うと思うし、同じ言葉でもその内容は千差万別だというのが前提だと思うんですよね。だからこそ、大切な人とはお互いに“好き”のかたちがどういうものなのかコミュニケーションしないとわからないってことなんじゃないかと思います。

関根:例えばクリスマスのあのシーン時、まこと先輩が師匠(竜二)と一緒に過ごしていたら、2人の“好き”は愛になったのかもしれない。
気持ちがどんなきっかけで変化していくかは誰にもわからないなぁと。この作品の3人は、それぞれがそれぞれに好きと特別があるからこそ、ifの世界での3人をたくさん想像してしまうくらい、どんな化学変化がおこるかわからない関係性だなと思います。

内田:そうだね。相手がどう受け取るかということもあるし、この作品は気持の矢印が複雑だから。

梅田:このインタビュー中には答えが出ない、それこそ哲学者が向き合ってきたものかもしれないですね。『先輩はおとこのこ』はそれに挑んでいる作品なんだなぁ。

内田:でも、答えは出ないからこそ、芝居するのは楽しいですよ。こういうことを考えて、ひとつの答えをキャラクターを通して出していく、それが作品作りだと思うので。「“好き”って何だろう?」って考えたことのある人は、この作品を見たら絶対に面白いと感じると思うんです。



『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』は、全国劇場にて公開中。

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『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』作品情報
公開日 2025年2月14日(金)

スタッフ
原作:『先輩はおとこのこ』ぽむ(「LINEマンガ」連載)
監督:柳 伸亮
シリーズ構成:冨田頼子
キャラクターデザイン:新海翔斗
プロップデザイン:北山景子
美術監督:安田ゆかり(オリーブ)
美術設定:秋山健太郎(スタジオ Pablo)
色彩設計:鈴木ようこ
撮影監督:上條智也
編集:新沼奈美(グラフィニカ)
3D/CG:齋藤威志(WIRED)
音響監督:本山 哲
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:橋本由香利
アニメーション制作:project No.9

キャスト
花岡まこと:梅田修一朗
蒼井 咲:関根明良
大我竜二:内田雄馬
ほか
(C)pom・JOYNET/LINE Digital Frontier・「先輩はおとこのこ」製作委員会

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