パーソナルAIスーパーコンピューターを発表する米エヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)=1月6日、ネバダ州ラスベガス(AFP時事) 【シリコンバレー時事】生成AI(人工知能)向け半導体で脚光を浴びる米エヌビディアが26日発表した2024年11月〜25年1月期決算は、売上高、純利益ともに四半期として過去最高だった。25年2〜4月期の売上高見通しも市場予想を上回った。「格安」をアピールする中国AIの台頭で先端半導体の需要鈍化が懸念されたが、先行きも強気の姿勢を貫いた。
24年11月〜25年1月期は、売上高が前年同期比78%増の393億ドル(約5兆9000億円)、純利益が80%増の220億9100万ドルだった。売上高全体の9割を占める、AIを含むデータセンター部門が93%増収だった。
好決算には、同期に出荷が始まった次世代半導体「ブラックウェル」が貢献した。フアン最高経営責任者(CEO)は決算会見で「驚異的な需要だ」と形容。25年2〜4月期売上高は、前年同期比65%増の430億ドル前後と見込んだ。
エヌビディアは1月下旬、中国新興企業「ディープシーク(深度求索)」の生成AIがにわかに注目されると、わずか1日で5900億ドル超の時価総額を失った。ディープシークは性能が劣る半導体を使い、学習コストを低く抑えて高性能なAIを実現したと主張。先端半導体の需要の先行きに不安が広がった。
フアン氏は、AIが回答を導く推論のモデルは、さらに多くの計算量を求められる可能性があると強調。推論能力を大きく向上させたブラックウェルはこうしたニーズを捉えていると述べ、悲観論を一蹴した。
一方で、業績リスクは規制動向に潜んでいる。バイデン前大統領が退任直前に講じた、中国などライバル国に先端半導体が渡るのを阻止する輸出規制はトランプ政権下でも継続。米ブルームバーグ通信は、現政権がさらなる規制強化を検討していると報じており、業績の圧迫要因となる恐れがある。