WEC、性能調整の計算方法を変更。直近3戦のデータを使用、“三味線防止”のためル・マンのみ例外に

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2025年02月27日 22:50  AUTOSPORT web

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カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで開幕する2025年のWEC世界耐久選手権
 FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブは、WEC世界耐久選手権のシーズンで用いられBoP(性能調整)の計算方法が変更されたことを明らかにした。

■オフの間の8回以上にわたる会議の成果

 昨年、ハイパーカーとLMGT3クラスのBoPの決定方法が全面的に刷新されことに続き、ルール作成者は今週カタールで始まる新しいシーズンにおけるシステムの変更を認めた。

 もっとも重要な哲学の変更は、主催者が現在、すべてのメーカーを特定の非公開のパフォーマンス・ウィンドウ内に収めるのではなく、いわゆる「100パーセントの(完全なる)収束」を目標としていることだ。

 ACO競技ディレクターのティエリー・ブーベとFIAテクニカル・エンジニアリング・ディレクターのトーマス・シュバウシェは、ハイパーカーでは、ピークパフォーマンスとスティント全体のパフォーマンスの両方を含めるために、BoPを計算する際に各車のベスト10ラップと、その車両のベストラップの60パーセントの双方が考慮されると説明している。

 LMGT3クラスでは、ベストラップの60%のみが考慮されるため、実質的にはシルバーおよびブロンズ格付けのドライバーのラップタイムが考慮されることになる。

 以前は、ルール作成者は各車の20%のベストラップを採用していた。

 ブーベは、この変更の主な理由は、ハイパーカークラスを構成するLMHおよびLMDhプラットフォームをさらに均等化するためだと述べている。彼は、タイヤの摩耗によるパフォーマンスの低下(2024年のシステムではBoPの計算から明確に除外されていた)が均等化されることになると認めた。

 ルール作成者が「クリーンラップ」と呼ぶ、つまりトウなしのラップの最高速の数値も、BoPを定義するために考慮される。

 さらにBoPは、完全に独立したBoPを維持するル・マン24時間レースを除き、直近3回のWECイベントのローリング・アベレージに基づいて計算されると説明されている。

 したがって、今季開幕戦カタール1812kmのBoPは、昨年のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ、富士、バーレーンのデータを使用して算出されたものだ。

 ブーベは、昨年の開幕戦カタールラウンドのBoPを基準値として使用するのは公平ではないと説明している。それを使用する場合、2024年シーズン中に一部のメーカーが行った改善が考慮に入らないためだ。

 なお第4戦ル・マン24時間では、いわゆる“三味線”の横行を防ぐため、(過去3レースではなく)シミュレーションデータのみが使用される。

 カタールでデビューする新型アストンマーティン・ヴァルキリーのBoPは、直近の3回のWECレースのそれぞれで最速だった車両のデータを使用して計算されている。

 ただし、シーズンが進むにつれて、これはヴァルキリーの実際のラップタイムデータに置き換えられていく。つまり第5戦サンパウロでは、英国のメーカーは初めてその車両自体のパフォーマンスから導き出されたBoPを手に入れることになる。

 この新システムは、メーカーが参加する一連のテクニカル・ワーキング・グループによる成果であり、昨年のバーレーンでの決勝以来、改訂された方法を確立するために8回以上の会議が行われてきた。

「100パーセントの収束」が目標とされているが、ブーベは、同じメーカーの車両の間での平均速度差を反映して、約0.3〜0.4パーセントの「自然な」パフォーマンス・ウィンドウは引き続き存在すると述べている。

 改訂されたシステムのもうひとつの特徴は、透明性を高めるために、ルール作成者がマニュファクチャラーに対して、各車のBoPを計算するために使用するデータを提供していることだ。

 ブーベは、これによりメーカーが「より自由に振る舞える」ようになることを認めたが、ライバルがシステムを悪用しようとした場合はルールが変更される可能性があることを示唆した。

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