イタリア・ベスビオ火山の西暦79年の噴火で犠牲となった若い男性のガラス化した脳の一部。噴火で埋まった都市ヘルクラネウムの遺跡で見つかった(ナポリ大のピエルパオロ・ペトローネ氏提供) イタリア・ベスビオ火山が西暦79年に噴火した際の遺跡からは、脳がガラス化した若い男性の遺体が見つかっており、火山灰を含むガスで脳の成分が510度を超える高温になった後、急速に冷えたとみられることが分かった。ナポリ大やローマトレ大などの研究チームが27日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
この遺跡はポンペイなどとともに火山噴出物に埋まった都市ヘルクラネウムにあり、初代ローマ皇帝アウグストゥスを崇拝する建物だった。男性の遺体は木製ベッドにうつぶせになった状態で1960年代半ばに発掘され、研究チームが2020年に頭骨にガラス化した脳が付着していることを報告した。
詳細な調査の結果、都市を埋めた火砕流よりさらに高温の火山灰を含むガスが男性を襲ったとみられ、510度を超えたと推定。その後ガスが通り過ぎて急速に冷えたため、脳の成分の分子が規則正しく並んだ結晶ではなく、乱れたまま固体になるガラス化が起きたと結論付けた。こうした例は他には見つかっていないという。
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イタリア・ベスビオ火山(上後方)の西暦79年の噴火で埋まった都市ヘルクラネウムの遺跡。脳がガラス化した若い男性の遺体が見つかった(ナポリ大のピエルパオロ・ペトローネ氏提供)
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脳がガラス化した若い男性の遺体(上が頭)。イタリア・ベスビオ火山の西暦79年の噴火で埋まった都市ヘルクラネウムの遺跡で見つかった(ナポリ大のピエルパオロ・ペトローネ氏提供)