注目のトライアルを前にしてクラシックで有望とされる「3歳牝馬ランキング」

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2025年02月28日 10:21  webスポルティーバ

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3歳牝馬ランキング(前編)

 今年の3歳牝馬戦線は、浮き沈みが激しい。

 昨年末に行なわれた2歳女王決定戦、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月8日/京都・芝1600m)を見ても、1番人気のブラウンラチェット(牝3歳/父キズナ)をはじめ、重賞勝ち馬3頭(※外国調教馬は除く)は、いずれもふた桁着順に敗れている。

 こうした傾向は年が明けても続いていて、新馬戦で圧巻の走り見せた素質馬や、早々に2勝目を挙げた注目馬などが、その先のオープン、重賞では案外な結果に終わっているケースが多く見られる。

 そうなると、この春のクラシックもどうなるかわからない。断然の実績を誇っていても、ちょっとしたことで馬群に沈んでしまう可能性が十分にあるからだ。

 ともあれ、そういった状況において、阪神JFを見事に制して2歳女王に輝いたのは、アルマヴェローチェ(牝3歳/父ハービンジャー)。1勝馬ではあったが、前走のGIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)では牡馬相手に2着と奮闘しており、重賞実績馬が苦戦を強いられた一方で、しっかりと結果を出した。

 年が明けてからは、牝馬限定の重賞とリステッド競走がそれぞれ2レース行なわれた。重賞のGIIIフェアリーS(1月12日/中山・芝1600m)はエリカエクスプレス(牝3歳/父エピファネイア)が、GIIIクイーンC(2月15日/東京・芝1600m)はエンブロイダリー(牝3歳/父アドマイヤマーズ)が制覇。リステッド競走の紅梅S(1月18日/中京・芝1400m)はナムラクララ(牝3歳/父アドマイヤマーズ)が、エルフィンS(2月10日/京都・芝1600m)はヴーレヴー(牝3歳/父サトノクラウン)が勝利を飾った。

 こうして新たな新星も名乗りを挙げるなか、今春のクラシック、GI桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)、GIオークス(5月25日/東京・芝2400m)に向けて、最も重要視されるトライアルレースがこれから行なわれる。GIIチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)と、GIIフィリーズレビュー(3月8日/阪神・芝1400m)、そしてリステッド競走のアネモネS(3月15日/中山・芝1600m)である。

 今回はこれら注目の前哨戦を前にして、現時点での3歳牝馬の『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 昨年12月、阪神JF前のランキングとは、大きな変動があった。なんと、5頭中4頭が圏外からのランクインとなった。

 まず5位は、前回ランク入りしていた唯一の馬だ。ダントツの1位だったブラウンラチェットである。阪神JFで16着と大敗を喫して大きく評価を落としたが、力があるのは確か。桜花賞での巻き返しがあるのか、注目される。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「阪神JFでは、前走のGIIIアルテミスS(10月26日/東京・芝1600m)の時と比較して、馬体重が12kg減。それが影響したのか、道中の行きっぷりが今ひとつでした。特殊な展開もあって、4コーナーではもう手応えがありませんでした。

 しかし、アルテミスSで見せた能力は本物。クラシック本番では見直して、勝ち負けを演じることを期待しています」

 4位には、エンブロイダリーがランクイン。クラシックとの関連が深いクイーンCを制して、一気に評価を上げた。

土屋真光氏(フリーライター)
「ここまで5戦3勝。1400m、1600m、1800mと異なる距離で勝利を挙げているうえ、クイーンCではレースレコードでの快勝と、能力の高さを感じさせます。

 唯一連対を外したのが、右回りの1勝クラス・サフラン賞(5着。9月29日/中山・芝1600m)。桜花賞へ向けて、その点が不安視されているようですが、同レースは先行有利の馬場で、スタートでやや後手を踏んだことが響きました。それでいて、勝ち馬とはコンマ1秒差。右回りが不得手、ということはないと思います。

 それよりも、父がダイワメジャー産駒のアドマイヤマーズ、母の父がクロフネ。2400m戦のオークスに向けては、越えなければいけない壁が出てきそう。ですが、桜花賞やGINHKマイルC(5月11日/東京・芝1600m)では、間違いなく上位争いに加わってくるでしょう」

 3位は、ビップデイジー(牝3歳/父サトノダイヤモンド)。阪神JFで8番人気ながら2着と激走。その結果によって、ポイントを急激に伸ばしてランクインを果たした。ここまで3戦2勝、2着1回と、まだ底を見せていないのも魅力だ。

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「2月16日終了時点の本賞金は4390万円で、JRAに所属する現3歳世代の牝馬としては単独5位。ちなみに、一走あたりの賞金は1463万円で単独3位でした。少ないレース数で多くの賞金を稼いでいる、伸びしろのありそうな実績馬です。

 母ローズベリルは現役時代にJRAで2勝をマーク。近親に2017年のGI皐月賞(中山・芝2000m)で3着となったダンビュライトがいます。

 2017年以降のJRA3歳春のクラシック競走(桜花賞、皐月賞、オークス、日本ダービー)における、阪神JFで2着以内となった経験がある馬の成績は、計29戦して3着以内17回、3着内率58.6%。春のクラシックでの活躍が、かなり期待できるデータがあります。2歳女王のアルマヴェローチェや新興勢力に注目が集まるようであれば、絶好の狙い目かもしれません」

本誌競馬班
「1勝クラスの紫菊賞(10月12日/京都・芝1800m)では牡馬相手に快勝し、阪神JFでも2着と健闘。阪神JFではアルマヴェローチェと最後まで競り合って、高い能力を秘めていることは確かだと思います」

(つづく)◆3歳牝馬ランキング1位と2位は?>>

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