建て替えのため一時閉場する帝国劇場=28日午後、東京都千代田区 「ミュージカルの殿堂」として親しまれた東京都千代田区の帝国劇場(帝劇)が28日、建て替え前の最後の公演を行った。劇場の入るビルは再開発され、2030年度の新開場を予定するが、59年の歴史を紡いだ現劇場は見納めとなる。
劇場は1966年に建てられた2代目で、再演を除いて372作品が上演された。特に「ラ・マンチャの男」など海外ミュージカルの大作は高い人気を誇り、繰り返し舞台を彩った。
最終日は、帝劇のミュージカル史を人気曲と共に振り返るコンサート公演の千秋楽。進行役の井上芳雄さん(45)は「帝劇は59年間たくさんの夢を僕たちに見せてくれた。帝劇が大好きです」と目に涙を浮かべて語った。
終演後のカーテンコールには北大路欣也さん(82)や佐久間良子さん(86)、堂本光一さん(46)らが駆け付け、俳優約50人が、87年に帝劇で日本初演された名作「レ・ミゼラブル」の劇中歌「民衆の歌」を観客と合唱。場内は万雷の拍手に包まれた。
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帝国劇場で建て替え前の最後の公演が行われ、カーテンコールでミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌「民衆の歌」を歌唱する出演者ら=28日午後、東京都千代田区