岩手県大船渡市の山林火災は、2月28日には焼失面積が約1200ヘクタールに広がり、国内では平成以降で最大の規模になった。被害拡大をもたらしている極端な乾燥状態や強風の背景には何があるのか。
林野庁によると、近年(2018〜22年)の林野火災による焼失面積は全国で年平均657ヘクタール。今回の大船渡の焼失面積は、既に日本全体の年平均の2倍近くに上り、平成以降でこれまで最大だった1992年の北海道釧路市での焼失面積(1030ヘクタール)を超えた。
気象庁によると、2月13〜24日にかけて、西高東低の冬型の気圧配置が続いた。この間、水蒸気を含んだ北西の風が日本列島に流れ込み、日本海側に雪を降らせた後、太平洋側には乾いた風が吹き付けた。
気象庁天気相談所の池田徹所長によると、冬型の気圧配置が10日以上続くケースは珍しく、乾燥状態が長く続いたことで「木などの可燃物までもが乾燥したのではないか」と話す。
日本大の串田圭司教授(地球環境学)は、日本の東側の海面水温の高さが今回のような乾いた強風の発生につながっていると指摘する。
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西高東低の気圧配置では、日本付近で北寄りの風が吹く。串田さんは「海面水温が例年よりも高く、海側の上昇気流が強くなったことが大気の循環を促している。その結果、北風が例年よりも強く吹いてきている」と説明する。
気象庁によると、日本近海では記録的に高い海面水温が続いており、2月下旬の三陸沖の海面水温は平年より3度程度高いという。
地球温暖化で海面水温は上昇傾向にあり、今後もこうした乾燥状態をもたらす可能性がある。また、陸での雨の降り方が極端になり、無降水日が増えると予測されている。串田さんは「温暖化によって極端な乾燥が起きやすくなり、火災が発生したときにより燃え広がりやすい状態となる」と警鐘を鳴らす。【大野友嘉子、山口智】
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