「何か好きなものを買いなさい」結婚20周年で夫がくれた200万円 2年後、夫の死後に判明した「贈与税の落とし穴」【税理士が解説】

0

2025年03月01日 12:00  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

結婚20周年のプレゼントで貰った200万円…これって贈与税がかかるの? ※画像はイメージです(pain au chocolat/stock.adobe.com)

Aさんは結婚20周年を迎えた日、夫のBさんから思いがけないプレゼントを受け取りました。「いつもありがとう。これで何か好きなものを買いなさい」と、200万円もの大金がAさんの口座に振り込まれたのです。長年にわたって夫を支え、家庭を守ってきたAさんにとって、その金額以上に夫が自分の労を認めてくれたことが何よりも嬉しかったのです。

【写真】「最期の日々は家族と」は嘘だった 65歳で旅立った夫、遺品のスマホに写る見知らぬ女性

以前から投資に関心があったAさんは、これを機に株式投資を始めることにしました。元手となる200万円を、慎重に吟味した企業の株に分散投資しました。初めての経験でしたが、Aさんはこつこつと勉強を続け投資の知識を深めていきました。

しかし、幸せな時間は長くは続きませんでした。投資を始めてから2年後、Bさんは不慮の事故で突然この世を去ってしまったのです。悲しみに暮れる間もなく、Aさんは相続の手続きに追われる日々を送ることになりました。

税理士に相続税の計算を依頼したところ、過去の口座の動きを調査する中で2年前にBさんからAさんへの200万円の振り込みが見つかったのです。税理士は、この200万円は贈与とみなされ贈与税の対象になると告げました。

Aさんは驚きを隠せませんでした。結婚20周年の記念に贈られたお金が、まさか贈与税の対象になるとは夢にも思っていなかったからです。Aさんは贈与税を支払わないといけないのでしょうか。三松会計事務所の三松裕司さんに話を聞きました。

ー夫婦間の資金移動でも贈与税がかかるのでしょうか?

夫婦間の資金移動であっても贈与税がかかる場合があります。通常、夫から妻へ、または妻から夫へ、生活費として通常必要と認められる範囲の金額であれば贈与とはみなされません。ただし数百万や数千万と高額であったり、基礎控除の110万円を超えるプレゼントとなると贈与とみなされて税金の支払いが発生する可能性が高いです。

このケースでいえば、金額が200万円であることとAさんがこのお金をもとに株式投資を始めていることから、生活費ではない使い方をしたとして贈与とみなされる可能性が高いです。

ただし、2021年(令和3年)7月12日裁決では、家計を管理していた妻が、夫名義の口座から移動された資金をもとにファンドや株式、投資信託等を購入した事案において、家計管理の一部と認められました。この判例のように、内容によっては贈与とみなされない場合もあるので、専門家に相談することをおすすめします。

ー夫婦間の資金移動で贈与税が課税されないためのポイントはありますか?

まずは年間の金額を基礎控除の範囲内である110万円以下にすることです。また、生活費や教育費として必要となる金額の範囲内であれば問題ありません。

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与に限り基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる特例もあります。こちらを活用するのもいいでしょう。

いずれにせよ基礎控除以上の資金移動を行う場合には、事前に専門家に相談するといいでしょう。

◆三松裕司(みまつ・ゆうじ)/税理士 大阪府茨木市にて開業。飲食店を中心に個人、法人の会計税務をサポート。経理業務の効率化を得意とし、節税だけにとらわれないお金を残すアドバイスに力をいれている。また相続税や贈与税の相談にも幅広く対応している。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

動画・画像が表示されない場合はこちら

    前日のランキングへ

    ニュース設定