「二地域居住」、復興で注目=交通費負担の課題も―専門家「継続的関わりを」・能登地震

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2025年03月01日 13:31  時事通信社

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時事通信社

石川県穴水町甲地区で毎月行われる住民の交流イベント。左から2人目が主催者の東井孝允さん(東井さん提供)
 能登半島地震発生から1日で1年2カ月を迎える中、都市と地方の双方に拠点を構える「二地域居住」で復興を目指す取り組みが広がっている。交通費などの課題もあるが、専門家は「高齢化が進む被災地では、外部の人に継続的に関わってもらって復興を目指すのが重要だ」と指摘する。

 二地域居住について、石川県は来年度、既に実践している人や希望者の人数などの把握に向けた登録システムを構築する。県内の自治体や交通事業者で構成する協議体を設立し、支援制度も取りまとめる方針だ。

 一方、住民レベルの取り組みは既に広がっている。2月22日午後、東京都内で開催されたワークショップには、同県ゆかりの10〜70代約40人が集まり、羽田―能登間の航空便の利用率を上げるアイデアを話し合った。

 主催者の一人、さいたま市の会社員東井孝允さん(42)は、同県穴水町甲地区の実家に帰省中に被災。両親を実家に残し、発生2日後には妻子とさいたま市の自宅に戻った。ただ「高齢化が進み、このままではふるさとがなくなる」と考え、翌月から地元に通い避難所の運営を手伝い始めた。

 昨年4月には、穴水町で復興団体「甲復興団」を設立。今も住民向けの交流イベントを毎月開く。「交通費が一番の問題だが、やめないことが大切。細く長くやっていきたい」と前を向く。

 外部からの受け入れ体制の整備も進む。同県珠洲市の共有オフィス運営会社「CとH」は、二地域居住者向けの滞在施設造りを進めている。伊藤紗恵代表(41)は「珠洲では宿泊施設がもともと少ない上、多くの被災建物が解体されている。滞在して活動する人々を増やすことが地域の発展につながる」と意気込む。

 復興の道筋を議論する県有識者会議のメンバー高橋博之さん(50)は「交通費の補助を受けるため、二地域居住者であると公的に証明されることが必要だ」と強調。「地域と多様に関わる『関係人口』を増やし、復興後も継続して関わってもらえるような方策が必要だ」と訴えている。 

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