鼻水・鼻づまり・頭痛などの花粉症症状に効く漢方は?

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2025年03月01日 20:50  All About

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【漢方薬剤師が解説】大量の鼻水やクシャミなど、つらい花粉症の症状。漢方薬を上手に活用すれば、症状や体質にあわせた改善が可能です。症状・体質別に、主な漢方薬をご紹介します。
年が明けて少し経ち、落ち着いてきた頃に現れる、鼻水やクシャミなどの不快症状。最初は、冬の寒さから「風邪を引いたかな?」と思うかもしれませんが、目のかゆみまで出てくると「今年もこの季節が来てしまった……」と確信します。

もはや国民病ともいえる花粉症は、スギやヒノキ、ブタクサなどの植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー性疾患です。主な症状は、鼻水・クシャミ・鼻づまり・目のかゆみ・充血などですが、重症化すると集中力の低下や睡眠障害を伴うこともあります。

スギやヒノキの花粉は、早いと1月後半から飛び始め、5月頃まで継続します。さらに、イネ(3〜10月)やブタクサ(8〜10月)など、異なる季節に飛散する花粉にも反応する体質の方は、一年中花粉症に悩まされることになります。

症状が重い方の場合、仕事に支障が出ることもあります。学生の場合は、受験シーズンと重なり、勉強やテスト本番に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。花粉症の症状にあわせた、主な漢方薬をご紹介します。

水っぽい大量の鼻水には「小青竜湯」が有効

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は花粉症による水っぽい鼻水や痰、クシャミ、鼻づまり、咳などに有効です。特に身体が冷えやすい方や、寒い日に症状が悪化する方に有効です。

一方で胃腸が弱い方や睡眠の質が悪い方にはお勧めできません。その理由として小青竜湯に含まれる麻黄(まおう)という生薬が、人によっては消化器に負担をかけたり興奮作用が出てしまったりするケースがあるからです。

水っぽい鼻水に有効で、胃腸が弱くても使える「苓甘姜味辛夏仁湯」

苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)は前出の小青竜湯と同様に、水っぽい鼻水やクシャミなどに有効です。苓甘姜味辛夏仁湯は小青竜湯とよく似た作用を持っており、小青竜湯と兄弟関係のような漢方薬といえます。

異なる点として苓甘姜味辛夏仁湯は麻黄を含んでいないので、小青竜湯を服用すると胃もたれによって食欲が下がったり、寝付きが悪くなったりする方も服用可能という点です。体を温める作用や咳を鎮める作用は、小青竜湯のほうがより優れています。

鼻水・鼻づまりに加え、頭痛があるときは「葛根湯加川芎辛夷」が有効

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は鼻閉や水っぽい鼻水にくわえて、頭痛や首肩の凝りにも有効です。この頭痛は後頭部から首の後ろあたりまで広がるタイプに有効です。

花粉症による頭痛を訴える方は意外と多いので、そのような時に役立つ漢方薬です。一方で小青竜湯と同様に麻黄を含むので胃が弱い方や眠りが浅い方にはやや不向きです。

鼻づまりとネバネバ鼻水には「辛夷清肺湯」が有効

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は炎症を鎮めたり、鼻の通りを改善する作用を持つ漢方薬です。したがって、黄色や緑色でネバネバとした鼻水とそれによる鼻閉に有効です。

ネバネバとした鼻水に有効な漢方薬は少ないため、辛夷清肺湯は貴重な選択肢です。鼻水や鼻閉の他に潤いをつける生薬も含まれているので、鼻や口の中の乾燥にも対応できます。

肌のかゆみや赤みなどの肌トラブルには「清上防風湯」が有効

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)はニキビの漢方薬として有名ですが、花粉症による肌トラブルにも有効です。外出すると肌にピリピリとしたかゆみや赤みが出たり、目にもかゆみや充血が現れるようでしたら試す価値があります。

もし肌の乾燥も強いなら清上防風湯に潤いを与える生薬を追加したような構成の荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)という漢方薬も有効です。

おわりに

しばしば挙げられる症状別に漢方薬を解説いたしました。上記以外にも花粉症に有効な漢方薬は多くあるので、興味のある方は漢方薬局などで相談するのがいいでしょう。

漢方薬の服用だけでなく、日々の生活習慣の見直しも重要です。基本となりますが花粉の侵入を防ぐマスクやメガネの着用は不可欠です。炎症を悪化させるアルコールや辛いものなどは控えめにしましょう。例えば、ビールやキムチのような組み合わせは注意が必要です。

花粉症にお困りの方は、生活習慣の見直しに加えて、漢方薬の使用もご検討ください。

吉田 健吾プロフィール

大正8年創業の漢方専門薬局を経営する管理薬剤師。城西大学薬学部卒業後に薬剤師免許を取得し、早稲田大学人間科学部医療人類学教室で医療と文化の関係性を学ぶ。一般社団法人・女性とこどもの漢方学術院理事長。漢方薬はもちろん、医療用医薬品、一般用医薬品(OTC薬)の解説から、医療制度や賢い医療機関へのかかり方まで、多くの人の健康に役立つ幅広い情報発信を行っている。
(文:吉田 健吾(薬剤師))

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