“彼女募集中”だった鹿児島のホッキョクグマ、来園2年で移動…全国で28頭、貴重なオスを送り出す動物園の思い

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2025年03月03日 11:50  まいどなニュース

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ほんわか癒し系な?ライト(2025.2 撮影)

鹿児島市平川動物公園のオスのホッキョクグマが、北海道の札幌市円山動物園へ移動することが、1月に発表されました。日本動物園水族館協会(JAZA)のホッキョクグマ管理計画に基づき、円山動物園の10歳メスと繁殖を目指すとの説明もありましたが、平川動物公園へは2年前にやってきたばかりです。同園に取材すると、寂しさはあるものの、貴重な若いオスとして、日本のホッキョクグマ界のために希望を託し送り出そうという思いがありました。

【動画】繁殖のため旅立つライト。園の人気者でした♪

ライト、11歳。2013年11月に和歌山県のアドベンチャーワールドで誕生し、2023年3月に平川動物公園へ来園しました。この当時の国内のホッキョクグマ飼育数は33頭で、現在は28頭。今回の移動で同園のホッキョクグマ飼育はなくなります。

ホッキョクグマ担当飼育員の蒲地エリナさんに話を聞きました。

—移動発表に驚きました

「複雑というか寂しい思いはあります。でも、日本では数が減っていて、繁殖に取り組まなければならないことは理解しているので、少しでも可能性がある方に行くんだと前向きに受け止めています」

—鹿児島に来てわずか2年です

「適応能力が高くて、慣れるのは早かったと思います。プールにダイブする姿がかっこよくて一番印象に残っています。投げたおもちゃを目指して飛び込むと、見ている方々も沸きました。ライトを通してホッキョクグマを好きになってもらいたい、興味を持ってもらいたいと思っていました。ライトのおかげで来園者の方々に野生のホッキョクグマの現状などを伝えるという経験もさせてもらえました」

—ライトの性格は?

「好奇心旺盛だと思います。警戒しながらも興味が勝つと言うのか、後ろ脚を残して身体を前にぐーんと伸ばす姿に、気持ちが出ていると思います」

—移動先は“大豪邸”と評判で、土も草も樹もあります

「ライトがどんな反応をするのかちょっと想像できないんですけど、たくさんいろんな刺激があって楽しんでくれるんじゃないかなと思います」

—輸送箱が設置されています

「中に馬肉と鶏ミンチを置いて、入ってもらうトレーニングをしています。ライトが『行こう』と思えるエサですね。少し警戒しましたが初日から入りました。今のところ順調です。麻酔を使う方法もありますが、『目が覚めたら箱の中にいる』よりも、移動の負担をできるだけ減らすために輸送箱に慣れてもらう方法にしました」

同園の福守朗園長は「2年半ほど空っぽだった展示場にライトが来て、たくさんの人が笑顔になりました。一時的にうちのホッキョクグマはいなくなりますが、長い目で、広い視野で、今どうするのが一番いいのか考えました」と話します。

「寂しいですが、ライトの赤ん坊が見られたら、送り出した甲斐があったと思えるでしょう。簡単なことではありませんが、移動がなければチャンスもありません。いつか、ライトの子や孫、その他の個体でも鹿児島に来てくれるかもしれません。雪の中のライトを見たいですね。気候に適応して毛の長さも変わるかもしれませんし、どう変化するか楽しみです」と期待を込めます。

鹿児島でも2月初め、雪が降りました。これから北海道に向かうライトですが、蒲地さんは「雪の日は外に出るのに時間がかかっていました。積もっているのを初めて見たんだと思います。寒いのが苦手?どうなんでしょう。でもきっと大丈夫だと思います。ホッキョクグマなので!」

蒲地さんからライトへ贈る言葉は—

「新しい環境で、いろんな人に愛されながら、元気にがんばってね」

同園は3月16日(日)にライトの「感謝激励会」を開催。最終展示は3月23日(日)の予定です。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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