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前回からの続き。私(エリ)は夫のシンゴと3人の息子コウタ(14才)・ダイキ(10才)・ヒロト(7才)の5人家族です。コウタとシンゴは血が繋がっていません。私がコウタを妊娠中、元夫であるタカシがうつ病を発症してしまい、「これ以上責任を背負いたくない」という理由で離婚を言い渡されてしまったのです。シングルマザーとなった私を支えてくれたのが、長らく友人関係だったシンゴでした。私はシンゴと再婚し、さらに2人の子どもを授かり5人家族として幸せに暮らしていました。そんなある日、タカシから「コウタに会いたい」と連絡がきたのです。コウタはタカシの存在を知りません。断り続けていると、今度はタカシが私の実家に現れたのです! 実母によればタカシはひどく衰弱していたようですが、やはり私は「タカシにコウタを会わせない」と決意。しかし友人のカオルは「本当にそれでいいのかな?」と言うのでした。
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シンゴと息子たちがみんなで笑いながら話している光景を、私は眺めては考えます。コウタは何の疑いもなく、自分の父親はシンゴだと信じています。コウタが成人するまでは、どんなことがあっても隠し通そうと夫婦で話していました。それが家族にとって、一番良いはずだ。そう信じて疑っていなかったのです。けれど……カオルの言葉が私の心を揺さぶります。本当のことを話したら、コウタはどう思うのでしょうか。
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シンゴが本当の父親じゃないことにショックを受けて、荒れてしまうのでしょうか。それとも意外と現実をすんなり受け入れて、タカシとシンゴの両方を自分の「父親」として受け入れることができるのでしょうか。そしてもし、タカシが既に亡くなってしまっていた場合。私たちの決断は、コウタから実の父親と会う機会を奪ったことになってしまうのです。
だけどこの今の家族を壊したくない……。
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自分たちで出した答えが「正解」なんじゃないかな。
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何度考えても、しっくりくる答えは見つかりませんでした。
コウタの気持ちを一番に考えたいけれど、本人に直接聞かない以上、コウタの本当の気持ちなんて分からないのです。
かといって本当のことを話せば、シンゴがコウタの父親でないと伝えることになってしまう……。
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寄り添いたいけど、寄り添うことができない。
何を選んでいいのか分からない。
私は行き詰まっていました。
どちらを選んでも「正解」かどうかは分かりません。
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そう自問自答していました。
【第8話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・善哉あん 編集・石井弥沙