スカウトの"トクリュウ化"で全国の「特殊浴場」が消滅の危機に!?

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2025年03月03日 19:21  週プレNEWS

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1月、国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」の関係先への家宅捜索に入った警視庁の捜査員


目下、警察の取り締まりのターゲットとなっているのが「匿名・流動型犯罪グループ」ことトクリュウだ。SNSや闇バイトなどを介して集まった一部の若者たちが、犯罪グループの指示に従い、強盗や特殊詐欺などの実行犯として加担しているとして、警察が声高に危険性を喧伝している。

こうしたトクリュウの代表格と目されるのが、繁華街などに巣食うスカウトグループで、警察の厳しい摘発で解体を余儀なくされている集団もある。この余波で、ソープ業界からはスカウトからの人材供給の停滞や、彼らとの強い関係性を疑われた店舗の摘発が起きており、関係者からは悲鳴が漏れ聞こえている。

【写真】関東某所にある特殊浴場街

■全国に1500人、年間利益は50億円

警視庁は27日、女性を売春目的で性風俗店に紹介したとして、国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」のメンバーの男らを職業安定法違反の疑いで逮捕した。警視庁の見立てでは、ナチュラルのメンバーは全国に約1500人もおり、年間50億円ほどの売り上げがあるといい、潤沢な動員力や資金力を誇るとみられる。

しかも、風俗店との契約を担当する「契約課」、「ウイルス」との隠語で呼称する警察への対策部門の「ウイルス対策課」といった部署に分けるなどして職能型組織を構築していた。歌舞伎町の事情に詳しいA氏が語る。


「ナチュラルは東京・多摩地区出身のKという兄弟を中心に2009年ごろに立ち上げられ、歌舞伎町をはじめとする東京の繁華街のスカウトたちを糾合して急成長しました。神奈川・座間で9人殺害事件を起こした白石隆浩死刑囚もメンバーでした。

20年に、やり手スカウトの引き抜きを巡って住吉会系の組織とトラブルになったため、話し合いの席が持たれたのですが、その場に大人数で襲撃をかけて、反目の組織の者だけでなくケツ持ちだった組員にまで殴り掛かるという暴挙に出ました。

この一件で歌舞伎町のスカウトたちが軒並みヤクザに暴行される"スカウト狩り"に発展して、双方に逮捕者が出る事態に発展しました。結局、住吉会系の別の組織が新たにケツ持ちとなることで矛を収め、全国に足場を広げていきました」(歌舞伎町事情に詳しいA氏)

警察はナチュラルを含めたスカウトグループの摘発に躍起だ。全国に約300人のスカウトを擁する「アクセス」も、ナンバー1、2が職業安定法違反容疑で逮捕されている。アクセスは、全国の性風俗店約350店に女性を斡旋し、この5年間で約70億円を売り上げていたという。スカウトの摘発に警察が力を入れる理由を全国紙社会部デスクが解説する。

「ヤクザではない不良といえば半グレが有名ですが、知名度が上がりすぎたために堅気として振る舞えなくなり、ほとんどがヤクザの組織に入りました。こうした中、スカウトグループは全国に勢力を広げるほどの組織力がありながら、ヤクザとは異なるために構成員の陣容などが分からず、警察は実態を把握できていなかった。

また、全国に網を広げて豊富な人脈を誇るスカウトグループが、女の子だけでなく、若い男たちに報酬を持ち掛けて犯罪に加わるようにそそのかすリクルーター役を担っている可能性が高いことから格好の標的になっています。

スカウトたちは夜の世界に詳しいですから、女やギャンブルでしくじった男をいくらでも知っている。彼らを闇バイトへとスカウトしているのです」(全国紙社会部デスク)

■スカウト頼みの風俗店も苦境

スカウトへの厳しい捜査の網は、人材供給を受ける風俗業界にも広がっている。警視庁は1月30日、石川県加賀市と東京都品川区のソープランドの経営者らを売春防止法違反の疑いで逮捕したと発表した。

加賀市の店舗は、アクセスから女性約80人の斡旋を受け、スカウトバックと呼ばれる約660万円の紹介料を支払っていたとみられる。東日本で風俗店を経営するB氏が明かす。

「スカウトが逮捕されるのはよくある話だが、女の子を紹介されたソープ店まで立件されるのは今まであまりなかった。風俗業界は法のグレーゾーンでやっているから、目を付けられたら売春防止法でいくらでも摘発されてしまう。

デリヘルはパクられても電話一本で再開できるからいいんだけれど、ソープのような店舗型は経営者が逮捕されると風俗営業の認可が取り消されかねない。とはいえ、スカウトと関係を切ってしまうと女の子が入ってこない。痛し痒(かゆ)しだよ。

若くてスタイルのいい女は、社長相手にパパ活で稼いだ方がピンハネもないし稼げるから、スカウトの力がないと風俗業界にはなかなかやってこない。あと、少子化で人口が減っている地方の店舗は、スカウトに都会の女を紹介してもらわないとやっていけないから死活問題になっているね」(風俗店経営のB氏)

風俗店がスカウト組織との癒着を断てない理由については次のように語る。

「ソープ、特に高級店は金額が高いので、貴重な常連を長くつなぎとめるために女の子を頻繁に入れ替えなくてはならない。ナイトビジネス向けの求人募集はどこもやっているけれど、広告を載せているだけではいいコは入って来ないから、スカウトは必須。

しかし自前でやるにはリスクが高い。ただ、他の店やスカウト組織の管理下にあるコを引っ張ろうものならトラブルになるし、やり方を間違えれば売春防止法のあっせんや管理売春で摘発される。だから、専門のヤツらにアウトソーシングした方がいいんだよ」(風俗店経営のB氏)

グレーゾーンとして黙認されてきた「特殊浴場」も、そろそろ潮時か。

文/武田和泉 写真/photolibrary.com

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