チューリップ賞を制したクリノメイ(c)netkeiba【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返るチューリップ賞
【Pick Up】クリノメイ:1着
母方にフォーティナイナーを持つオルフェーヴル産駒は、GIを4勝した名牝ラッキーライラック、皐月賞馬エポカドーロ、きさらぎ賞を勝ったラーゴムなどが出ているニックス。本馬はダンジグを併せ持つので、ラッキーライラックと似ています。
母クリノエリザベスはダート向きのプリサイスエンドを父に持ち、現役時代にホッカイドウ競馬の重賞リリーカップを勝ったほか、JRA転入後に3勝クラスの鎌倉S(ダ1400m)で3着と健闘しています。
父オルフェーヴルは、芝向きの産駒だけでなく、ウシュバテソーロ、マルシュロレーヌ、ジャスティン、ギルデッドミラーといったダートホースを出しています。
「オルフェーヴル×プリサイスエンド」という組み合わせで、母がダートで活躍した馬であれば、ダート向きの馬に出る可能性もありましたが、本馬は芝で問題なく走っています。
今回は、朝から小雨が降り続いていたため、完全な良馬場ではなく、やや渋った馬場でした。これがプラスに作用したのではないかと感じます。オルフェーヴル産駒らしいパワーとスピードの持続力が活きたレースでした。
◆血統で振り返る中山記念
【Pick Up】シックスペンス:1着
母方にダンジグを持つキズナ産駒は成功しており、ジャスティンミラノ、バスラットレオン、サンライズジパング、パラレルヴィジョン、エリキングなど多くの活躍馬が出ています。
母フィンレイズラッキーチャームは、現役時代にマディソンS(米G1・ダ7ハロン)をはじめ5つの重賞を制覇しました。母の父トワーリングキャンディは、名種牡馬ガンランナーと同じくキャンディライドを父に持ち、現役時代にマリブS(米G1・ダ7ハロン)で1分19秒70という好タイムを計時しました。わが国ではブルードメアサイアーとして優れた実績を挙げており、出走を果たした8頭中5頭が勝ち上がっています。
本馬の半弟フィールドノート(父ロードカナロア)は、1月5日の中山未勝利戦(芝1600m)で、初出走ながら経験馬を相手に鮮やかな差し切り勝ちを収めました。母フィンレイズラッキーチャームは繁殖牝馬としてきわめて高いポテンシャルを秘めています。
本馬はこれで6戦5勝。道中力んで本来の力を発揮できなかった日本ダービー(9着)以外はすべて勝っています。今回は、久々だったことに加え、1コーナー過ぎで行きたがるところがありました。それでいてコースレコードで勝つのですから、3歳時から順調に成長しています。