【ワシントン時事】トランプ米大統領は3日に記者会見し、カナダとメキシコからの輸入品への25%の関税について、「4日に始まる。決まっている」と述べ、予定通り適用すると明言した。中国には10%の追加関税をさらに上乗せする。米国とカナダ、メキシコは経済的な結び付きが強く、関税導入による各国経済への打撃が懸念されている。
トランプ氏は、発動回避へ「交渉の余地はない」と強調した。日本メーカーを含む自動車業界はカナダ、メキシコにまたがるサプライチェーン(供給網)を構築しており、特に影響が大きい。だが、トランプ氏は「自動車工場を建設するのであれば、ここ(米国)に建てる方がはるかに良い。関税がかからない」と話し、配慮しない姿勢を示した。
トランプ氏は2月1日、不法移民や合成麻薬の流入に対し、「国家非常事態」を宣言。カナダとメキシコからの輸入品に25%、麻薬の原材料の供給拠点がある中国に10%の関税を課す大統領令に署名した。米国が依存するカナダの原油などエネルギー関連製品の税率は10%とした。
ただ、米政権はカナダ、メキシコによる国境警備強化の提案を受け、発動を1カ月延期。両国は閣僚や政府高官を米国に派遣し、さらなる対策強化などを協議し、関税の停止を求めていた。トランプ氏は3月3日、合成麻薬は「膨大な量が流入している」と指摘した。
中国には予定通り2月4日から10%の追加関税を課した。中国は、米国産石炭や天然ガスへの追加関税などの報復措置を取った。
米国とカナダ、メキシコは、トランプ第1次政権時に締結した貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を受け、経済的な連携を強めてきた。関税が課されれば、特に米国向け輸出への依存度が高いメキシコ経済への大打撃は避けられない。カナダは報復を示唆しており、関税をかけ合う「貿易戦争」に発展する恐れもある。