医療費の明細1カ月で3000万…「治療を諦める人が増える」 悪性リンパ種の治療受けた医大生「高額療養費制度の自己負担限度額、引き上げやめて」

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2025年03月04日 07:10  まいどなニュース

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悪性リンパ腫の治療を受けた、齊藤樺嵯斗(さいとうかざと)さん(齊藤樺嵯斗さん提供)

「財政がどれほど厳しくても、変えてはいけない制度の一つが高額療養費制度だと思います。正直、この件については触れるか迷いましたが、悪性リンパ腫の治療でこの制度があったからこそ治療費に困らず私は生きています。私の発信でどうかお金の事を心配せず治療を受けれる人が増えればいいなと思います」

【写真】1カ月間で3千万円以上かかったという、医療費の明細

ひと月(月の初めから終わりまで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が、あとで払い戻されるのが「高額療養費制度」。2025年8月から限度額が引き上げられ、1年ごとに段階的に上がっていくといいます(※政府は、一部見直しを検討中)。そんな政府の施策に対して悪性リンパ腫の治療を受けた、齊藤樺嵯斗(さいとうかざと)さん(@kazato20001710)が制度の改正に危機感を覚え、X(旧Twitter)でつぶやき話題となりました。

※石破首相は2月28日の衆院予算委員会で、「高額療養費制度」の見直しを巡り、今年8月からの負担上限額引き上げは予定通りに実施し、26年8月以降の対応は今年秋までに再検討する方針を表明しています。

「必要な人に必要な医療を届ける形にしていくべき」

「石破総理は、働けなくなって税金を納められずに、お金ばかりかかる日本人には『死ね!』と言ってるんですよね」
「そもそも高額療養費の上限を引き上げることで、現役世代で治療を諦める人が増えるから、その分の医療費が浮くってことに誰かこれに異論を唱える人はいなかったのか?これはおかしいと思う 本来削減についてはいろいろやることがあるはず。
まず世代別に負担額に偏りがありすぎるので、年齢差別をなくし、高齢者にも適正に負担してもらうべきである。併せて治療ごとの費用対効果を検証して、治療効果が著しく低いものは保険適用外とするべき。これだけでも結構な金額は削れるかと。負担を全世代で公平にし、必要な人に必要な医療を届ける形にしていくべき 本質的な削減策を何も提示しないで、現状のまま制度を維持しようとする政治家は正直言いらないんだよ」
「私も同じような血液疾患を数年前発症しましたが、そのときはひたすら治すことにしか頭が働かなかったです。それを思うと齋藤さんの発信を見て、もっと頑張れるなと元気をいただけました。ありがとうございます!」
「1点10円だったと思うので、3000万円超え!3割負担でも約1000万!しかも一カ月で。そんなにするんですね、これはめちゃくちゃ生死に関わる!」
「たまたま流れてきた縁でコメントです 私も悪性リンパ腫の時高額医療費制度に助けられてきました。無かったらと思うと怖いですね…血液内科の先生も当然、ドクターは貴重な人材ですが、寛解後無理のないよう頑張ってください!」

投稿には、さまざまな意見が寄せられました。実際に高額療養費制度を利用したという齊藤さん。もうすぐ退院となりますが、高額療養費の引き上げについて考えを聞きました。

大学生、今年1月に寛解 9月中の医療費が3千万超え!?

――齊藤さんが入院されたのは、いつ頃?

「医学部の学生で血液内科医を目指していました。 2023年5月、Tリンパ芽球性リンパ腫と急性リンパ性白血病(悪性リンパ腫)を発症し、ハプロ移植(※)を経て一度寛解したものの24年6月に再発。その後再移植をし今年1月に寛解、2月下旬に退院する予定です」

※ハプロ移植:HLA(ヒト白血球抗原)が合致しない血縁者間でも造血幹細胞移植を行う治療法で、悪性リンパ腫の治療にも応用されている。

――今回、投稿しようと思ったのは。

「私が発信しようと思ったのは、今治療を受けている方、これから治療を始める方、将来的に治療を受けるかもしれない人にとっての未来への不安を少しでもなくせればいいなと思ったからです」

――ポストされた医療費の明細ですが、1カ月間(9月1日から9月30日)で医療費が3170502点とのこと。実際、掛ける10円なので約3千万円超えたようですね。

「そうです。家庭の収入のこともあるので詳細は言えませんが」

大学生「患者にとって不安なのは国が財政に困ったら医療費の削減をするという姿勢」

――「高額療養費制度」の引き上げに対して、訴えたいことは。

「高額療養費制度の引き上げについて、その金額が妥当であるか否かは正直わかりません。ただ、私たち患者にとって不安なのは国が財政に困ったら医療費の削減をするという姿勢を持っていること。今はこの高額療養費制度の引き上げだけで済んでいるかもしれませんが、では5年後、10年後はどうなっているでしょうか。

今回の件で国がこのような姿勢をみせたため、また異なる形で医療費の削減があるんじゃないかと、患者さんは疑ってしまいますよね。その不安が闘病中の人にとってどれだけ負担になるかという事を想像してほしいです。また、がん患者さんは寛解してもいつ再発するか分からないですし、普通の保険には入れなくなります。がん患者さんは常に未来への不安を感じている中で、国がその不安を助長する構図になってるのが良くないと思います」

――自己負担限度額の引き上げによって、どういう問題が起きていく可能性があるのでしょう?

「今回の件で将来の医療費に不安を覚えた人は保険会社にたくさんのお金を払って安心を買います。しかし、金銭的に余裕がない人はその安心が買えません。それはつまり金銭的な差によって受けることができる医療の差が出てきてしまうんじゃないかと思うんです。そうでなくても貧富の差によって健康への不安の違いは確実に生まれるでしょう。これは日本の誇りである国民皆保険制度の困っている人をみんなの力で助けるという精神に反していると私は思います。どうかこの精神を貫く姿勢を国に見せて欲しいと切に思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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  • 文句を言う前に、いままで厚い恩恵を受けていたことに感謝するべきじゃないのかな����ؤ�
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