前川さん「無罪信じている」=再審初公判前に心境語る―涙で声震わせ・福井中3殺害

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2025年03月04日 07:31  時事通信社

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再審初公判を前にインタビューに応じる前川彰司さん=2月26日、福井市
 「無罪に向かっていると信じている」。1986年に福井市で中学3年の女子生徒=当時(15)=が殺害された事件で服役し、昨年10月に再審開始が決定した前川彰司さん(59)が6日に名古屋高裁金沢支部で開かれる再審初公判を前に取材に応じ、時折涙で声を震わせながら心境を語った。

 毎朝近くの小学校でラジオ体操をした後、カトリックの教会へ向かうのが日課だ。今は「『開かずの扉』と言われる再審をこじ開けることが、(神が与えた)私の使命だ」と捉えている。父がいる市内の高齢者施設にもときどき顔を出しており、「家族の支えがかなり力になっている」と振り返る。

 再審公判では無罪となる公算が大きい。それでも「現実にまだ無罪判決をもらったわけではない。おびえている自分もいる」と心情を吐露する。検察側が有罪主張する方針を示していることについて問われると、大きくため息をつき、「冤罪(えんざい)だったと主張する姿勢を持ってほしかった」と憤った。

 現在の再審制度には証拠開示などの明確な規定が設けられていないことが最大の課題だと感じている。再審無罪になった袴田巌さんのケースでも、決め手となったのは証拠開示だった。「規定がないから裁判所もどう進めていいか分からない。ルールがないなら作ればいい」と話し、手続きを定めた「再審法」の早期改正に期待を寄せる。

 その上で「まだまだパワーが足りない。冤罪被害者だけに責任を押し付けるのではなく、みんながもう少し問題意識を持ってほしい」と訴えた。

 再審公判では亡くなった被害者の冥福を祈り、支援者に感謝を伝えたいと考えている。「(事件から)39年ですかね。39年。長かった」。これまでの道のりに思いを巡らせて涙を浮かべた。「再審法が変われば世の中が変わる。僕はそう感じます」。 

再審初公判を前にインタビューに応じる前川彰司さん=2月26日、福井市
再審初公判を前にインタビューに応じる前川彰司さん=2月26日、福井市

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  • 20歳から定年迄という、若くて1番本人の時が輝いてて、無限の可能性を持っている時間を奪われ。毎日死刑の恐怖と隣り合わせだったら発狂しそう。この事件知らなかった。
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