現役グラビアアイドル兼ライターの筆者(吉沢さりぃ)現役グラビアアイドル兼ライターの筆者(吉沢さりぃ)だが、1歳半の息子を育てるシングルマザーでもある。
親になってからは毎日が発見の連続で、基本的には楽しい。しかし、いくつか不便なことがある。その中でもTOP3に入る勢いで困るのがベビーカーの「エレベーターに乗れない問題」だ。
◆「こんなにエレベーターって乗れないの?」
息子は体重が11キロもあり、抱っこ紐での長時間移動は正直しんどい。歩くのは大好きだけど、いつ疲れるかわからないので、ほとんどベビーカー移動になる。しかし、ここからが問題なのだ。
ベビーカーは便利だけど、電車に乗るときもデパートに行くときも、必ずエレベーターを使わなければならない。そのエレベーターを探すのが大変なうえ、なかなか乗れないのだ。
出産前はエレベーターにそこまで関心もなく、むしろエスカレーターをよく使っていた。だから親になってから「こんなにエレベーターって乗れないの?」と、冗談抜きで白目をむきそうになった。
◆ショッピングセンターはエレベーター待ちの地獄絵図
私の最高待ち時間は、なんと30分だ。ある日、大きなショッピングセンターに親戚と出かけたときのこと。
夕方に到着し、上の階に行こうとエレベーター待ちを始めた。1回、2回、3回……と乗り逃す。いったい、何回乗り逃したことか。
屋上まである大きなショッピングセンターのエレベーターは、1回逃すと次が来るまでにまた時間がかかる。全てのエレベーターを狙って、ドアが開く瞬間に確認に行くのだが、ベビーカーが入るスペースなんてない。
私たち以外にもベビーカーでエレベーター待ちをしている親子がどんどん増え、10組くらいになっていた。さらに車椅子の人まで登場。それなのに、元気そうな大人が優先エレベーターを占拠する地獄絵図……。
◆「乗ります!」30分待ちの末の強行突破
20分くらい経った頃、何回目かの優先エレベーターにベビーカーも車椅子の人も乗れていない様子を見て、ついに親戚がブチ切れた。
「ちょっとあまりにおかしいでしょ? なんで誰も降りないの!」
30分が経った頃、やっと“詰めてもらえたら乗れるかも?”というタイミングが来た。もう我慢の限界で「乗ります!」と挙手をしてグイグイ乗り込んだ。
少し迷惑そうにしている人もいたが、「さすがに30分待ってるから乗せてくれや」と、こちらも強気だった。
その後、帰りのエレベーターでも20分ほど待ち、耐え切れなくなった親族は「もう2度とここには来ない。時間もないから先に帰るね」と言ってスタスタとエスカレーターで去っていった……。
基本的にはどこに行ってもエレベーターにすぐ乗れることは奇跡に近い。約束の時間に間に合わなくなってしまい、ベビーカーをたたみ、息子を抱っこして階段を登ったことが何回もある。
「毎回それをやればいいのでは?」と言われそうだが、荷物が多いときなどは、息子を抱えてこの動きは正直難しいのだ。
◆「俺、階段で上がるよ!」神様のようなパパさんとの出会い
また別の日、友人と出かけたときのこと。またしてもエレベーター待ち。ちょうどドアが閉まるところで、「はいはい、次に乗りますよ、先に行ってください」と諦めかけていた。
その瞬間である。「俺、階段で上がるよ!」と、ベビーカーに乗せていた荷物をサッと持ち、ハンドルをママさんに持たせ、筆者に「乗ってください」と笑顔を向けるパパさんが現れたのだ。
彼の一声でみんながスペースを空けてくれて、友人も「階段で行くね」と言い、無事に初回で乗れたのだ。正直、かなり疲れていたので本当に嬉しかった。
ちなみにその親切な夫婦は、高級ブランドを身にまとっていた。
パパさんの腰元にはクロムハーツのウォレットチェーン。奥様はダミアーニのネックレスに、エルメスの“ピコタン”のハンドバッグ、そしてモンクレールのダウンジャケットという装い。「やっぱりお金持ちは心の余裕がある」としみじみ話すと、友人に「他人の持ち物をそんなにまじまじと見て卑しいよ!」と怒られてしまった。
「子持ち様がまた自己中発言をして!」と思われてしまうかもしれない。でも、できるだけでいいので……せめて優先エレベーターだけでいいので……車椅子の人や、体の弱い人、ベビーカーの人に譲ってほしい。本当にお願いします。
<文/吉沢さりぃ>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720