ぶっちゃけ、VTuber目線でニコニコ動画ってどうなの? 由宇霧・三珠さくまる・芽々子が語る、今あえて「ニコ動」に投稿する意味【あつぶい祭2025春】

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2025年03月04日 19:10  ニコニコニュース

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ニコニコニュース

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 2025年3月18日(火)より始まる、あらゆる“バーチャル”な動画作品の投稿祭「あつぶい祭2025春」。

 ニコニコ公式番組「あつまれ!ばーちゃる!」発のVTuber応援企画であり、今回は冥鳴ひまりさんと春日部つくしさんをゲスト審査員に迎えて開催されます。

 そもそも「投稿祭」とは、あるテーマやジャンルに沿った動画作品を一斉に投稿して行われる、ニコニコならではのイベント。同じジャンルの活動者とそのファンが集まり、みんなで一緒に楽しめるお祭りイベントであり、豪華賞品も準備されています。あつぶい祭も、そんな投稿祭のひとつ。VTuberやVSingerに限らず、“バーチャル”な動画であれば誰でも投稿して参加することができます。

 今回、あつぶい祭2025春の開催に先立ち、「あつまれ!ばーちゃる」では座談会を実施。あつぶい祭と縁がある3名のVTuberさんに集まっていただき、ニコニコやVTuberの文化、そしてこの投稿祭について語っていただきました。本記事では、1時間半にも及んだその座談会の様子をお伝えします。

文/けいろー

(左)由宇霧(ゆうぎり)
https://x.com/oiran_yugiri
https://www.nicovideo.jp/user/86382934
(中)芽々子(めめこ)
https://x.com/memeko_1030
https://www.nicovideo.jp/user/123656874
(右)三珠さくまる(みたまさくまる)
https://x.com/MitamaSakumaru
https://www.nicovideo.jp/user/95593878

ニコニコでは、交流や創作の輪が生まれやすい

――今回は「あつぶい祭2025春」の開催に先立ちまして、あつぶい祭と縁がある3名のVTuberさんに集まっていただきました。普段は三者三様の活動をされているみなさんに、ニコニコ動画やVTuber文化、そしてあつぶい祭について、ざっくばらんに話していただきたく思います。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

由宇霧(ゆうぎり):
 おいでなんしー。バーチャル花魁の由宇霧と申しますー。ウェルビーイングプロジェクト「Yoriyoi(よりよい)」という企画の主催をしています。

 もともとは性教育に特化した「世界で初めて性教育本を出版したVTuber」として活動していました。去年からは活動の間口を広げて、今は「ウェルビーイング」をキーワードに発信をしております。よろしくお願いしまーす。

三珠さくまる(みたまさくまる):
 ジャグリングVTuberの三珠さくまるです。生放送よりも動画投稿をメインに活動しています。

 YouTuberっぽい動画を投稿している一方で、Twitter(現X)ではバーチャル技術を活かしたVRジャグリング「V道芸」を中心とした活動に特化してやらせていただいています。よろしくお願いいたします。

芽々子(めめこ):
 皆様、ごきげんよう。お紅茶大好き、バーチャルニコニコシンガーの芽々子と申します。よろしくお願いします。普段はニコニコ動画を中心に、歌い手さんのような「Vニコsinger」として、「歌ってみた」の活動をしています。

 多分、ニコニコのVSingerとして一番最初に名乗ったのが私で、「Vニコsinger」という概念そのものを作って、「みんなでそういった活動をしませんか?」と声かけもしています。私自身は配信もやっていますが、歌をメインに活動していて、歌コレ2024秋ではTOP100ランキングでランクインさせていただきました。よろしくお願いします。

――よろしくお願いします。では早速ですが、最初はゆるめのテーマとして、「ニコニコを知ったきっかけ」についてお聞きできればと思うのですが……いかがでしょうか?

さくまる:
 ニコニコを知ったきっかけ……?

由宇霧:
 ニコニコは……社会の中にあったよな? 「そこにコカ・コーラがある」みたいなノリだよな?

さくまる:
 VTuberになる前からニコニコは知ってますからね。「古巣」に近い(笑)。

由宇霧:
 あとは……今はもう少なくなったと思うけど、ちょっとセクシーなゲームのプレイ動画とか(笑)。私はセクシーなゲームがもとになったアニメとかが好きで、当時はそれがニコニコ動画でしか見れなかったから。そういう動画をdigるにあたっては、避けては通れない存在だったかな。

芽々子:
 へー! 知らない側面だ。

さくまる:
 いわゆる「歌ってみた」の動画は、最初の頃はニコニコにいっぱい投稿されていた印象がありますよね。

芽々子:
 そうなんですよー。今の有名な歌い手さんもニコニコ出身の方ばかりで、私もそういった方々に憧れてニコニコに――っていう感じではあります。

さくまる:
 そうなんだ! 僕は歌い手文化はあまり詳しくないんですけど、「歌ってみたの活動をするなら、最初はニコニコに動画を投稿する」みたいな文化は、まだ続いてるんですか?

芽々子:
 それは本当に「人による」としか言えなくて。というのも、私が活動を始めたのが、「歌コレ【※】」のような歌ってみたの公式イベントがなかった時期なので。その頃は、ニコニコってもう……あの、こんな場で言うのもアレなんですけど……。

※歌コレ
ニコニコ動画で開催される、「歌ってみた」をテーマとした動画投稿祭。「歌ってみた Collection」の略称。入賞者はメディア掲載・ライブ出演・楽曲制作などの特典を得られる

歌コレ公式 2025春

さくまる:
 言っちゃえ言っちゃえ!

芽々子:
 責任、一緒に抱えてくれますか!?(笑) じゃあ正直に言うと、「ニコニコはオワコン」みたいな扱いで、動画はYouTubeにしか投稿していない人たちが結構多かった時期なんですよ。

 でも、歌コレをきっかけに、「歌ってみたをニコニコに投稿しよう!」っていう流れが一気に入ってきて。しかもそういうイベントに参加する方々って、なんでもかんでも「やってみよう!」っていう精神で活動している人たちが多いんですよね。自分ひとりで活動するんじゃなく、「交流しよう!」という気持ちの人が多い。なのでそういう人たちが集まると、自然とお互いに仲良くなっていくんです。

さくまる:
 コミュニティ的な。

芽々子:
 そう! そういう精神を持っている人たちが集まると、その場所自体の雰囲気も良くなるんですよ。だから、そういった雰囲気に誘われて入ってきた人もいるんじゃないかな。芽々子は違うきっかけで始めたんですけど……。

由宇霧:
 聞きたい聞きたい。

芽々子:
 えっと、私はですね、もともとは「ニコニコ動画のユーザー」というよりかは、「ボカコレ【※】」っていうアプリのヘビーユーザーだったんです。当時は「NicoBox」っていう名前だったんですけど、オフラインで再生できることが売りのアプリで、当時はマイリスト機能の制限もなくて。私にとっては、ボカロ曲や歌ってみたを聞くのに最適なアプリだったんです。

 その頃の私は、歌ってみた動画を最後に投稿して、活動を縮小するつもりでした。ところが、「ニコニコに投稿すればNicoBoxでオフライン再生できるから、リスナーさんにも楽しんでもらいやすいかな」と思って投稿したところ、リスナーさんの中にニコ厨が何人かいて……盛大に暴れくださいまして(笑)。初投稿で20万再生いっちゃったんですよね。

※ボカコレ
100万曲ものボーカロイド楽曲が無料で聞ける音楽アプリ。ボカロ楽曲の投稿祭「The Vocaloid Collection」と完全連動しており、新作や企画を快適に楽しめる

【 #歌ってみた 】花を唄う covered by 芽々子 – ニコニコ動画

由宇霧さくまる
 へえ〜!!

芽々子:
 だから「やめるにやめられなくなっちゃった」が正解なんですよね(笑)。

さくまる:
 祭り上げられている。

芽々子:
 そう! 「憧れのニコニコ動画で20万再生!?」ってびっくりしちゃって!(笑)「これは続けなきゃ」って気持ちになりました。

 ただ、当時はニコニコで歌ってみたの活動をしているVの人たちの立ち位置が、概念的にこう……ふわっとしていた、というか。「YouTubeでの活動がメインだけど、ニコニコにも歌ってみた動画を投稿している」という人もポツポツいましたが、あまり団結しているようなイメージはなかったので、結構自由が効いたんですね。

 VTuberって、「歌ってみた動画を作るなら、オリジナルMVが必須だ」という流れが一部ではあったんじゃないかと思うんです。でもリスナーさんに聞いてみたら、「ニコニコはそういうの気にしなくていいよー」って教えてくれて、「それだったら続けられるかも!」と。そこから月一くらいの頻度で投稿するようになり、今に至るまで活動を続けられています。

――同じようにニコニコでVSingerとして活動されていて、芽々子さんの同期に当たるような方っていますか?

芽々子:
 「同期」に当たるのかはわかりませんが、ご飯とかも一緒に行くくらい仲の良い人だと、街風めいちゃんとか、旭乃アクアちゃんとかかな。お二人とも歌コレで活躍されている凄腕の歌ってみたVで、すごく聞きごたえのある歌ってみた動画をいっぱい投稿されているので、ぜひ聞いていただけたらと思います。

――素朴な疑問なのですが、ニコニコ動画で歌ってみたを投稿しているVTuberさんは、やはりみなさん、YouTubeにも同じ動画を投稿しているのでしょうか。また、ニコニコをメインに活動しているVTuberさんのあいだには、YouTubeをメインにしている歌い手さんやVSingerさんとはまた違った、ある種の連帯感のようなものがあったりするのでしょうか?

芽々子:
 多分、両方やってる人がほとんどなんじゃないかな、と思います。ただ、私みたいにニコニコをメインに考えている人はあまり多くないかもしれません。

 でも、ニコニコに来る人たちって……「グループ感」っていうんですかね? 「一緒に何かやろうよ」っていう雰囲気で活動している方々も多いので、一緒に制作をすることもあるんですよ。たとえば、私はニコニコのメドレー文化が好きなのですが、「歌ってみたでメドレーをできないかな?」と思いまして。ボカコレの投稿作品の中からいいなと思った作品をクロスフェード形式で歌って、歌コレに投稿してみたいなと。

 最初は1人でやっていたのですが、「これ、いろんな人の歌ってみたを組み合わせて、複数人でやってみたら楽しいだろうな」と思って。さっき名前の出た街風めいちゃんをはじめ、REALITYっていう配信アプリからニコニコに動画を投稿されている方々と一緒に、歌ってみたのクロスフェード動画を上げています。

ボカコレ2024冬クロスフェード組んで #歌ってみた – ニコニコ動画

――すると、「ニコニコでも活動している」ことに特別な枠組みがあるわけではないものの、「みんなで一緒に何かを作れる」ことに楽しさや魅力を感じて、ニコニコに集まってきている人も多い、というイメージでしょうか。

芽々子:
 そうですね。「ニコニコをメインに活動している」と謳っている人がどれだけいるのかはわかりませんが、「ニコニコでもがんばってるよ」っていう人は結構多いんじゃないかなと思います。

価値観の近い人が集まりやすく、“インターネット”的なニコニコ動画

――「一緒に何かやろうよ」という気持ちを持っている人がニコニコには多い、というお話がありましたが、由宇霧さんから見ていかがですか? ニコニコはそのようなコミュニティ作りがしやすい環境だったりするのでしょうか。

由宇霧:
 自分がやったこととしては、まずは「特化Vの会」ですね。これは、何かしらのテーマやジャンルに特化したVTuberたちの居場所を作るべく、もともとはTwitter(現X)のスペースでやっていたものです。

 そこである時、「ニコニコにも投稿してみようぜ」「メタバースも使ってみようぜ」「オレたちとすごく親和性高いと思うんだよ」という話を私がして、それを聞いて実際に行動してくれた人たちと一緒にコミュニティを作ることになりました。それ以外にも、ニコニコでは投稿祭を2回主催しています。

 その投稿祭に参加してくれた人たちや、「ほかのプラットフォームも試しに使ってみようよ」って言って、実際に使ってくれた人たちと一緒に番組作りをしたところ、それが結果的に居場所になった――という感じですね。そういう意味では、ニコニコの存在がコミュニティ作りの役に立ったという実感はあります。

特化Vニコニコ投稿祭2022開催中。特化勢VTuberとは!?【本拠地】

――最初から「ニコニコで何かやろう」と考えていた、というよりは、「たまたまニコニコがあったから」「そこに人が来てくれたから」という?

由宇霧:
 そう。そこまで来てくれる人とは、その後友達になれる可能性が高いので。

 VTuberのメインストリームとされているプラットフォームは別にありますが――まあいろんな人がいるので、一緒に何かをやろうとしても、相性の合う合わないは出てきてしまいます。けれど、そこでプラットフォームを限定すると、価値観が近い人が集まりやすく、友達になりやすい。そのような側面がある気がしています。

――VTuberだからと言って特定のプラットフォームにこだわる必要はなく、「ニコニコが肌に合う」ような人もいると。

由宇霧:
 ニコニコについては多分2つのパターンがあって、まず1つは、ニコニコがもともと好きで親和性や親近感がある人。もう1つは、「自分がやりたいことを実現するためにいろいろやってみよう!」という好奇心を持っている人。だいたいこの2パターンの人たちが、ニコニコに来てくれる印象があります。

 まず、ニコニコに親しみがある人は、絶対的に味方になってくれるよね。「ニコニコではこういうタグを使うのが推奨されている」「ここではこんなことができるんですよ」って教えてくれる。ナビゲーターになってくれる。私も好奇心が旺盛なので、同じ好奇心バロメーターを持っている人とは友達になりやすい実感があります。

――ちなみに、さくまるさんと芽々子さんから見て、「こういう人にはニコニコが合いそう!」というイメージってありますか?

さくまる:
 なんだろう。僕自身が何をきっかけにニコニコに入ったのかをめっちゃ考えてたんですけど……やっぱり、ボカロから入ってる節が強いんですよね。

 ニコニコには、ボカロ曲・オリジナル曲を中心としたクリエイター圏があったじゃないですか。そこから「踊ってみた」や「歌ってみた」が生えてきたと思ってるんですけど、そういうボカロから派生したクリエイターの方々に対するリスペクトを僕はずっと持っていて、だからニコニコに投稿している部分もかなりあると思います。

さくまる:
 あとインターネット! あとインターネット! そう! 僕はかなり“インターネット”の人間なので、インターネット的な空気のあるニコニコに投稿してますね(笑)。

芽々子:
 私、YouTubeのことはあまり詳しくないので、「こうなんじゃないかな?」っていう偏見混じりの回答になっちゃうんですけど……。YouTubeにいらっしゃるVTuberさんって、「VTuber同士で何かやりたい」あるいは「自分ひとりでがんばりたい」っていう人が多いイメージがあって。

 逆に「V同士だけじゃなくて、いろんなクリエイターさんと何かやってみたい」っていう人たちが、ニコニコにチャンスを求めてやってくるイメージがあります。私自身、仲の良い踊り手さんと一緒に――市川さんっていうんですけど――私の歌ってみた動画と、その音源を使った踊ってみたを同時投稿したりしています。

 あとは、あつぶい賞を受賞した「星のスターダム」もそうですね。ボカロPのあもまさんからのDMをきっかけに、「VTuberに自分の作品を歌ってみてもらいたい」「自分の楽曲に歌詞をつけてもらうのが夢なんです」「よかったら一緒にコラボしませんか?」とオファーをいただき、この曲が生まれました。

 ニコニコではこういうこともあるので、V同士だけじゃなくて、クリエイターさんとのコラボに興味がある人とは相性が良いんじゃないかな、とは思います。

【歌✖️踊コラボ!】パラレルラルラ – 芽々子 ‐ #歌ってみた 【with 市川】 – ニコニコ動画ニコニコで活動していると、憧れの人に見つけてもらえるかもしれない

――話が前後するのですが、さくまるさんには過去に「ぶいいく【※】」にご出演いただいたことがあります。出演時点ではすでにニコニコで動画を投稿されていたのでしょうか。

こちら推されたいVなのですが、育ててもらっていいですか?vol.2 #ぶいいく – ニコニコ生放送
(※ぶいいく:2021〜2022年にかけてニコニコ生放送で配信されていたVTuber応援番組「こちら推されたいVなのですが、育ててもらっていいですか?」の略称。メインMCはヒラさんと朝ノ瑠璃さん。さくまるさんはその第2回放送にゲスト出演している)

さくまる:
 タイミングとしては、最初の動画投稿のほうが先ですね。ただ、僕が投稿した動画は「ゲーミングうどんを作ろう」なので(笑)。これ、芽々子さんにも若干刺さる発言かもしれないんですけど……あの、“VTuber”の動画って難しいですよね!

芽々子:
 ん〜! 難しいですね(笑)。

さくまる:
 難しい! 特に「歌い手」と「VTuber」の境目はどんどん薄くなっている感覚があるので。その人が「VTuber」だと言うなら僕はVTuberだと思うし、僕自身もVTuberを名乗っているので、「ゲーミングうどんの動画はVTuberである僕が作った動画だから、これはVTuber動画だ」と言い張っているんですけれど(笑)。

1分でわかるゲーミングうどんの作り方。 – ニコニコ動画

――まだ投稿動画が少ないなか、突如としてニコニコの半公式VTuber番組からオファーが降ってきたと思うのですが、もしその時の思い出話などあればお聞かせください。

さくまる:
 「“インターネット”だから最高だな!」って思いました!! さっきも言ったように、僕はニコニコは古巣だと思っているので(笑)。

 僕はインターネットが好きな人間なので、「ニコニコの公式に出れるんだ! やった! 祭りじゃん! ラッキー!!」「生きてて、ニコニコの公式からオファーもらえることあるんだ!」って思いましたね。「僕で大丈夫なのか……?」とも思いましたけど。

芽々子:
 わかる〜。

さくまる:
 あと、これはまたちょっと別の話かもしれませんが、今のニコニコの超嬉しいところとしては、超会議【※】の存在がかなりでっかいなとは思っていて。

由宇霧:
 うんうん。

ニコニコ超会議
(※超会議:ニコニコ超会議。「ニコニコ動画を地上に(だいたい)再現する」をコンセプトのもと、毎年開催されているニコニコ最大の公式イベント。2025年は4/26〜27に開催予定)

さくまる:
 踊り手さんや歌い手さんは活躍すればステージに立てるチャンスがあるので、あれは祭りとして本当に「最高!」って思ってるんですよね。

 でもVTuberだとあの場に参加する手段も限られますし、「公式にバーチャルとして呼ばれることって難しいんかなー」と思ってたんですよ。なので「ニコニコ公式から呼ばれることってあるんだ! 最高!!」って思ってます。お祭り、大好き!

――たしかに、ただのお祭りからスターダムへと続く道が比較的近いところにあるのは、ニコニコの特徴のひとつと言えるかもしれませんね。

さくまる:
 本当にすごいですよね。VTuberもそうですけど、最近は歌い手さんや踊り手さんもめちゃくちゃアイドルしていて。僕は愛知のVTuberなので、(足太)ぺんたさんとか、「駆け上がってんなー! スターダム!」と思いながら活躍を眺めていますし、それこそニコニコのスターだと思ってます。好きなんですよね。踊り手さんとか、歌い手さんとか。

芽々子:
 ニコニコで活動してると、自分の憧れの人に見つけてもらえることもあるんですよね。前回の歌コレの企画で、以前から大好きだった歌い手のいかさんが私の作品をピックアップしてくださって、コメントもいただいたことがあって!

さくまる:
 最高〜!

芽々子:
 その連絡に気づいた時、ちょうど熱が38度とか出て朦朧としていたので、「夢……! これは、都合のいい夢……!」って思って二度寝しちゃったんですけど(笑)。私はいわゆる「推しに見つけられたくないオタク」なのですが、その時ばかりは嬉しくて大暴れしました。

 「本当にこんなことが起きるんだ!」と思いますし、ニコニコなら、番組でピックアップしていただけるようなチャンスもいっぱいあります。あと、私はずっと「栗田さんと繚乱さんに認知してもらうんだ!」って思って活動していたので、超会議に遊びに行った時にいっぱいお話しできたのはすごく嬉しかったですね。


今起きたことをありのまま話すぜ…

私の「WILDCARD」歌ってみたが
最推しの『いかさん』の
マイベスト入りしたんだぜ…

動揺しすぎて熱でついに
幻覚見始めたかと思いました
本当に嬉しいです!!
ありがとうございます🙏✨

いかさん大好きです!ᔦꙬᔨ https://t.co/Hli0Jm5B3L

— 芽々子ஐ*新人Vニコsinger (@memeko_1030) December 2, 2024

由宇霧:
 おお〜!

芽々子:
 すごいですよね! あんな有名人の方と……「有名人」で括っちゃっていいのかな?(笑)

さくまる:
 そう、有名人なんですよねー。「“インターネット”の人」は、僕の中ではちゃんとスターですし、アイドルなので。まさか、ヒラさんに自分の動画の内容を言及されることがあるなんて思ってもなかったから(笑)。

 ゲーム実況者、歌い手、ボカロPさん――。いわゆる「サブカル」的なインターネット出身で、今は一般にも知られるアーティストになられた方もめちゃくちゃいらっしゃいますけど、そうじゃなくても、僕にとってはみなさんもともとスターだから。

――このお話の流れで、由宇霧さんはニコニコで活動していて何か嬉しかったことはありますか?

由宇霧:
 私が嬉しかったのは、まさに今日の話なんですけど――実は私、ライブ配信があまり好きじゃないんですよ。何が嫌かって、私が以前よく配信をしていたプラットフォームだと、同時接続者数が目に入りやすい位置に設定されているんです。「今増えた」「今減った」っていうのが、隠そうとしても目に入ってくるんですよ! そのプラットフォームは!(笑)

 私は結構深い話をすることが多いので、数字がチラチラ見えていると、話の腰を折られちゃうんですね。「あ! 今新しい人が来た……ということは、直前の話は聞こえてないから、もう1回説明しなきゃいけないじゃん!」って改めて説明を始めて、それを説明中にまた1人増えて、「あっ、また最初から説明しなくちゃいけないわ!」ってなって、なんかもうずっと入り口の浅瀬の部分のことばかり話してしまう。

由宇霧:
 私はそういう「気にしい」な面があるのですが、今日は「ウェルビーイング」という自分が伝えたいテーマについてちゃんと喋りたいなと思って、自分のチャンネルで配信してたんです。ニコニコ生放送は視聴者数が累計表示なので、人数が減ることはまずないんですよね。「あ、今いなくなっちゃった……」みたいな切なさもないし、数字自体もさりげない位置に表示されているので、あまり気にならないんです。

 おかげですごくのびのびと、自分が喋りたいことを最初から最後まで一貫してお話しすることができました。

さくまる:
 ニコ生はそうですよね。累計しか見えないですもんね。

由宇霧:
 「数字が減る」っていうのが、やっぱりどこか気になっちゃうんだよね。人それぞれさ、画面の向こうで、「トイレに行きたくなった」とか、「来客があった」とか、いろんな事情がもちろんあって、それで離脱することがあるのは理解できる。

 だけど、あまりにも目につくところに視聴者数が見えていると、「なんか良くないこと言ったかな……?」って少し考えてしまうところがあるので……。そういう面では、ニコ生はゆっくり配信をするのにすごく向いているなーって思いました。もちろん、数字は大きければ嬉しいけど、なぜかニコニコにおいては、少なくても凹んだことがない(笑)。

動画には、余白があってもいい

――数字についてのお話が出たので、その流れでお聞きしたいのですが。ライブ配信ではそのような見方ができる一方で、投稿する「動画」に関しては、みなさんやはり数字を意識されているのでしょうか。ランキング入りを狙って、何か工夫をするとか。

芽々子:
 ……あっ。

さくまる:
 一番気にしてそう(笑)。

由宇霧:
 してる人はもちろんいると思うよ!

さくまる:
 ってか「イベント」と「ランキング」はセットですからね。

芽々子:
 あ、でもイベントに関して言うなら、たとえば歌コレはランキング順だけど、公式番組では「ピックアップ作品」の枠が設けられていることも多いですよね。ランキングじゃなくって、審査員の人が「これが! ここがいいから!」って言ってピックアップしてくれるのはいいなって思いました。

由宇霧:
 わかる。

※筆者補足
今回のあつぶい祭もランキング制のイベントではなく、審査員による直接の審査によって作品をピックアップする投稿祭となっています

芽々子:
 ほかの配信アプリだと、ランキングやポイントで競争するなかで周りがぎくしゃくすることもあるのですが、ニコニコの投稿祭のようなイベントでは、「わかる! それ、いいよね!」ってみんなで楽しめるのがすごくいいですよね。

由宇霧:
 私も審査員やったけど、再生数は一切見てないもん。自分の場合は「特化V」っていうジャンルがあるから、「そのジャンルに対してどうコミットしているか」みたいな基準になってくる感じ。全体として「数字が多い人は絶対に人気者になれる」っていうわけでもないのがおもしろいよな、って思う。

さくまる:
 とはいえ、再生されるのに越したことはないですからね!(笑)

芽々子:
 それはそう(笑)。

さくまる:
 見てもらうために投稿しているのは間違いないので、それは気にはなる……けど、コメントについては、絶対にニコ動のほうが多いですね。

由宇霧:
 「うぽつ」とかね。お決まりの定型コメントがあるおかげで、ハードルはだいぶ下がってるよな。コメントする側としても。

Vtuberが1000年生きてるでジャグってみた【踊ってみた オリジナル振り付け】 – ニコニコ動画

さくまる:
 基本は匿名ですしね。

芽々子:
 コメントも動画のいろいろなタイミングで流れていくものなので、1人が何個もコメントしていることも当然あるんですよね。会話をしているようなこともあるので、コメントを見返すのが楽しくて(笑)。

さくまる:
 「このタイミングでコメントされるんだ!」「このシーンではこういうリアクションになるのかー」といったことがわかるのもいいですよね。YouTubeにもタイムスタンプ機能はありますが、動画に重なるように表示されるわけではないので、「やっぱりニコ動のコメントはいいよなあ」と思いながら見てます。「かちゅぜちゅ」ってからかわれたけど(笑)。

由宇霧:
 たしかに、視聴者が作品に参加できる余白があるよな。

さくまる:
 そう。余白がありますよね。ニコ動の動画は穴を作っておくのが楽しいんだよなー(笑)。

由宇霧:
 ほかのプラットフォームだと、動画にツッコミのテロップを加えたりして、どうしても自分でフォローしないといけない空気があるけど、ニコニコでは、あえて余白を設けておいてもいい。逆に余白があったほうが、視聴者がコメントでツッコめるもんな。

さくまる:
 その点、ゲーミングうどんは、完全にYouTubeをガン無視した動画なんですけど(笑)。「みんながツッコんでくれるだろう」の信頼によって投稿されてますからね。YouTubeやほかのプラットフォームでも心の中でツッコんでいる人は結構いると思いますが、ニコ動はガチで、視覚的にヒューってツッコミが飛んでくるので。

芽々子:
 ニコニコのリスナーさんって、コメントもすごく鍛えられてる人ばかり――っていうか、「コメ芸人」の人たちですよね。本当に(笑)。

さくまる:
 「職人」ですよね。

由宇霧:
 ハガキ職人と同じ系列やな。

芽々子:
 そうそうそう! だから狙ったとおりのコメントがあると「あ! 言ってくれた!」って思えて嬉しいですし、連帯感もあっていいですよね。

さくまる:
 そうなんだよなー。余白、大事ですよね。「ニコ動の動画は余白があってもいい」みたいなところはあるかもしれない。

「バーチャル“YouTuber”」のタグを許容するニコニコ動画

――もしよかったら、ほかに「ニコニコに投稿する時はこういうことをするといいよ」といったアドバイスがありましたら、ぜひ教えてください。

由宇霧:
 「ニコニコバーチャル部」のタグをつけてくれー!

芽々子:
 タグ、大事ですねー!

さくまる:
 「ランキングに載るためにはタグロック【※】が必須」という点は、特にバーチャル系の投稿祭の時にはもうちょっと強めにアナウンスをしたほうがいいかもしれない。

※タグロック
投稿者が、自らの動画に設定されている特定のタグを固定(ロック)して、自分以外は編集できないようにすること

芽々子:
 たしかに。

さくまる:
 ランキングページに掲載されるタグがその時々で変わるのは、初見殺しすぎる(笑)。今は「VTuber」タグと「バーチャル」タグは……両方生きてるんでしたっけ、とか。ランキングで使われるタグはしばしば変わるので、ちゃんとチェックしておく必要がありますよね。

※筆者補足
ニコニコ動画のランキングページでは、「エンターテイメント」「音楽・サウンド」といったジャンルの下に「人気タグ」の項目がそれぞれ設けられています。これは、その時々で利用頻度の高いタグを選出したもので、いつもランキング上で同じタグが表示されているわけではありません。定期的に変更されています

芽々子:
 たしかに、最初の頃は「タグ」のシステムがぜんぜん理解できないんですよね。慣れればあの便利さを理解できるんですけど。

由宇霧:
 まあでも「使っていくうちにだんだん解像度が上がる」くらいでもいいのかな、とも思うけどね。

 「数字に追い立てられない、自分のペースで好きに投稿できる場がニコニコ動画だよー」っていうのがまず先に広まって、「じゃあやってみようかな」って使う人たちが増える。そのうちに「なんかこんな機能もあるらしい」っていうことがわかって――というように、サービスに対する解像度って、使っているうちにだんだん上がっていくじゃないですか。

芽々子:
 そうですねー。

由宇霧:
 プラットフォームに対する解像度が上がっていって、「じゃあこのイベントに参加してみようかな」「あ、参加したらなんかランキングに載ったぞ」みたいな。発見していくおもしろさも体験してほしいかも。

さくまる:
 インターネットだ!

芽々子:
 でも、Vの人たちってすごく貪欲にがんばっている人も多いから――アドバイス的なことを添えるとするなら、なんとなく「キーワード検索みたいなものなんだな」ということだけでも知っておくといいんじゃないかな。

 というのも、ニコニコには「特定のタグを永遠に周回している」ような猛者が存在しているから、タグを付けるだけでも、そういった方々に発見してもらいやすくなるんですよね。どんなタグを付ければいいかわからなかったら、似た動画を投稿している先人のページを見て、使われているタグを参考にするのもありだと思います。

さくまる:
 ニコニコの検索は素直! 最近の検索はどこもかしこも素直じゃないから、検索していないキーワードの動画が結果に出てきますが、ニコニコはマジで素直。

芽々子:
 見つけやすいですよね。

さくまる:
 それこそ、特定のタグを周回している人は、そのタグが付いている動画を「コメントが新しい順」に並べて見ている人も結構いるんじゃないかな。動画の総数もYouTubeと比べればそこまで多くはないし、特に投稿祭では「全部見る」勢もいますからね。

由宇霧:
 このあたりの文化をちゃんと知ってガチりたい人はさ、「ニコV会」を主催しているおちゃさんのような、詳しい人に聞きに行ったほうが早いかもしれない。彼らは「教えたい!」っていうモチベーションを持っているので。

 その一方で、再生数やイベントでガチりたいわけじゃない人は、まずは投稿してみるとか、自分のペースで触ってみてもいい。ガチりたいルートと、マイペースにやりたいルートと、どっちもあると豊かかなと思う。

【ニコV会合唱企画】”Smliling” covered by 18名のVニコsinger – ニコニコ動画

芽々子:
 無理に自分でやらなくても、リスナーさんがタグを付けてくれることもありますよね。最初のうちは、動画に付いていたタグの中から「これは大事なタグなんだろうな」って思ったものをロックしておくだけでもいいんじゃないかな。

 最低限「バーチャル」さえ付いていれば、そのタグで追っている人――多分、おちゃあたりとか(笑)――が付けてくれるから。そのタグをロックしていって、「こういうタグがあるんだ!」って学んでいくのがいいのかもしれない。

さくまる:
 少なくとも「ニコニコに投稿される『バーチャル』タグの動画を見ている勢」はある程度いるので、投稿してタグさえ付けておけば、その人たちのあいだで“見つかる”ことはできるんですよね。

芽々子:
 「再生されない」ってことはないのがいいですよね。

さくまる:
 再生数の最低値は間違いなく高いと思いますよ。最高値はわからない。20万ドリームみたいなことはそうそうないと思いますけど。

 でも僕としては、ニコニコバーチャル界のスターがもっと増えてほしいんですよね。「ニコニコバーチャル界のスターはこの人!」っていうのが、まだ定まっていない感じがあるので。以前は有名なVTuberさんとかも投稿していた時期があったので、そのまま盛り上がっていくのかと思ったら……みんなYouTubeに行っちゃった(笑)。

 でも、ニコニコは懐が深いから! 「バーチャル“YouTuber”」のタグを許してくれたからね!(笑)

由宇霧:
 ほんとだよなぁ!

芽々子:
 その話で言うと、私は「ニコニコで活動するV」として名乗りをあげたかったので、「Vニコsinger」の概念を作ったんですよ。

 そうしたら、つきみぐー、さんをはじめとする人たちも名乗ってくださるようになって、Vニコsingerの輪が広がって。そういう意味では、ニコニコで活動するVの名称のようなものは――本当にまだ小さいかもしれないですが――じわじわ広がってはいますね。「Vニコsinger」のタグも実はあります。

――それこそ、ニコニコバーチャル部【※】も思想としては似たものですよね?

※ニコニコバーチャル部
バーチャルを使った活動者が自由に使えるタグ。VTuberやVSingerはもちろん、VRダンサーやメタバースの住人、アバターを使ったアプリ配信者やコスプレイヤー、その他「バーチャル」に関係のある内容の動画なら自由に使用可能。【参考:ニコニコ大百科】)

由宇霧:
 そうですね。そもそものきっかけとしては……あの、「バーチャル“YouTuber”て! そのタグはなんだ!?」っていう!

芽々子:
 ほんとにそう!

さくまる:
 「ニコニコなのにYouTuber!? 許されるんだ!? これ!」って思ってたもんな〜(笑)。

芽々子:
 ニコニコ、もうちょい誇りを持ってもいい(笑)。

さくまる:
 いや、もちろん、ニコニコにはリスペクトを持ってるんですよ? でもなんか「バーチャルYouTuber」ってタグを付けると、ランキングに載れる時期があったから!

※筆者補足
2025年3月現在は「バーチャルYouTuber」タグがランキングに掲載されています

由宇霧:
 そしたらね、こっちも「そうするか!」ってなっちゃうよね(笑)。

 付け加えると、「バーチャルYouTuber」や「VTuber」という言葉自体が、タレント性というか、芸能界性を帯びている空気があると私は感じていて。でも別に「バーチャル」であることって、イコール芸能界ではないと思うんですよ。私はメタバースにも住んでいる人間なので、芸能人になりたくてバーチャルで過ごしているわけじゃない人たちをたくさん知っています。その人たちは、思い出を残すために動画を撮ってるんですよね。

 だけど、その動画を公開する場所をYouTubeにしてしまうと、どうしても数字が目に入ってしまう。タレントのレースに乗る気もないのに、なんか乗せられてしまっているような息苦しさもあるんじゃないかな、ってちょっと思っているんです。「HIKAKINさんがTwitchに行った途端に本性を出せる(※参考記事)」って、きっとそういうことなんじゃないかな。YouTubeはもうテレビ的な、メインストリームのメディアになってしまっているので。

メタバースに来ても生きづらい理由を考察します【ウェルビーイング特化V】 – ニコニコ動画

由宇霧:
 そこで、「バーチャルで生きている私たちの日常をシェアする場所」として、ニコニコが認知されていけばいいんじゃないかなと思うんです。もちろん、「VTuberはYouTubeで人気になりたい人が多いんじゃない?」って言われると、それも納得なのよ。その人たちに「ニコニコ来てください!」って言っても、あまり魅力的には感じないと思うんですよね。

 でも一方で、「バーチャルで生きている私たち市民が、楽しみながら動画をストックしておく場所」として考えてみると、全体としては「市民」のほうが人口は多いから、もしかしたらニコニコにも人が集まってくるんじゃないか。そんな希望も実は持っていて。VTuberやタレントも投稿できるし、バーチャルで生きている市民も投稿できる。みんなが一堂に会する、すれ違うような街になったらいいなと思います。

芽々子:
 「いち活動者が新しいタグを作れる」のもニコニコらしくていいですよね。ニコニコのバーチャルジャンルって、いろんなものがまだ決まっていないからこそ、今参入すれば何か新しいものを作れる。そんなおもしろさがあるから、新しいことをやってみたい人、何かを作ることに興味がある人とかは、ニコニコを覗いてみてもいいんじゃないかな。

由宇霧:
 まだ余白があります! ニコニコには。

ニコニコバーチャル界で「スター」を生み出すには?

――先ほど「ニコニコバーチャル界にはスターがいない」というお話がありましたが、もし今後スターが生まれるとしたら、それはどんな人だと思いますか? また、どうすればそのようなスターが生まれると思いますか?

さくまる:
 すっごい難しい。もともとニコニコにおける「スター」って、良くも悪くも「あまり“スター”じゃなかった人」たちだと思ってるんですよ。というのも、属人性を嫌っていることがニコニコのいいところだったと思っていて、ボカロPさんも含めて、ニコニコで好きで見ていた人たちって、その人自身が前面に出てこない場合が多かったんですよね。

 それが長い年月をかけて、インターネットのスターが出てくる段階になったことで、表に出てきたボカロPさんや、リアルのステージでアイドルとして活動するようになった歌い手さんたちが、結果的に「(ニコニコ発の)スター」になっちゃった――という。そう、事故みたいな形で(笑)。もともとは顔を出していない、インターネット上だけで活動していた人間が、ある時、リアルに侵食することを許された結果、スターになってしまった。

 僕はそう考えているので……どうしたらいいんだろうな? スターっぽくないことを10年続けて、結果的にスターになるしかないのかな?(笑)


ニコニコで個人Vtuber流行らないかなぁという気持ちはあるんですけど、マジで作者が表に出るときついという性質を踏まえると歌かモノマネみたいな作者が出ないと成立しなくてかつ、他のコンテンツに乗っかれるものじゃないと厳しいんだろうなみたいなことを思っています。

— 三珠さくまる🤹Vtuber (@MitamaSakumaru) November 13, 2021

由宇霧:
 そうなると、ニコ生が鍵を握ってるんじゃない?

 ニコ生では、配信者が自由にあんなことやこんなことを言ったり、逆に視聴者からあんなことやこんなことを言われたりしている。そのプロレスを上手にまわせる人が、ニコ生でスターになっていると思うので。現状のニコニコの中で「バーチャル」という特性を持ったスターが生まれるとしたら多分、その場所はニコ生なのかなと。

 ただ、その点において私は、やっぱり新しい波が欲しいし、自ら新しい波を作りたいタイプなんですね。すでに存在しているスターは、これからもその界隈のスターであり続けて、ある界隈での流行も、その界隈での流行であり続ける。でも一方では、同じプラットフォームの中でもぜんぜん違う界隈で、ぜんぜん違うスターと流行が生まれてもいい。そろそろそういうことが起きてもいいんじゃないかな、って思ってるのよ。

芽々子:
 うんうん。

由宇霧:
 だから、いわゆる「バーチャル」の人たちをニコニコに連れてきているのも、今いるお客さん(ユーザー)にウケることだけを狙っているわけじゃないのよね。ただ届いていないだけで、今のニコニコのシステムがフィットしている人もある程度はこの世にいる気がしているので。

 その人たちが、自分にとって便利で居心地の良いプラットフォームとしてニコニコを使った結果、人がいっぱい集まるようになり、それを見る人たちも増える。その中で、それまでとはぜんぜん違う空気を持つ新しいスターが出てくる。そんな光景を見てみたいなーって思ってます。

芽々子:
 スターかぁ……。

さくまる:
 僕はやっぱり音楽だと思うなあ。

芽々子:
 なんなら、私はそこを目指しているまであるので。ニコニコで活動しようと思った時に考えたコンセプトとして、「ニコニコの人に育ててもらいたい」っていうのがあるんですよ。っていうのも、ニコニコの民やリスナーさんたちって、「オタク」として育ってる人が多いんです。

由宇霧:
 うんうん。

芽々子:
 私はもともとは違う場所で活動をしていて、歌ってみた動画の投稿をきっかけにニコニコに移行してきたのですが、ほかのプラットフォームだと、リスナーさんが「何したらいい?」「どうしたらいい?」って配信者に聞いてくるんです。もちろん「こうしてほしい」「ああしてほしい」って呼びかけることも大事ではあるのですが、呼びかけすぎると、こちらからなんでもかんでも「頂戴頂戴!」って言っているような感じになっちゃって。それって、リスナーさんとの関係値としては、個人的にはあまり良くないと思うんですよね。

 その点、ニコニコの人たちはみんな、応援の仕方をわかっているので。動画だったら、ニコニ広告やギフトを投げて応援してくれますし、もしニコ生で配信をしているリスナーさんがいたら、自身の放送の中で動画をおすすめしてくれる。一人ひとりがいろんな形で関わってくれるんですよね。こちらから何かをお願いする必要はほとんどなくて、自主的に何かをしてくれるリスナーさんが育っている環境だと感じています。

由宇霧:
 ニコニコも歴史が長いからね。VTuberの歴史ってたかだか7年くらいだし、ファンにもいろんなタイプがいて、分岐して、時には喧嘩したりとかもしてるから(笑)。

 ニコニコには、VTuberやアーティストのファンを始める前から「ニコニコのユーザー」だった人たちがいる。彼らはもともとニコニコの使い方を知っていて、自分がどう動けばいいか、どうやって応援すればいいかもわかっている。だから居心地がいい――ってことですよね。

芽々子:
 そうですね。自分から主体的に動こうとしてくれる方がすごく多いから、自分は作品に集中できます。そういうメリハリがあるのもニコニコの良さかもしれません。

さくまる:
 鍛えられたオタクだ。

由宇霧:
 オタクたちのあいだで、ちゃんと成功体験がたまってるからだろうな。「こういう応援をした結果、この人が過去にボカコレで良い成績をとれました!」とか。成功体験があると自信に繋がるから、「これやる〜?」とか聞かないで、どんどん自分から動けるようになるんですよ。

さくまる:
 「VTuberの推し方」はVTuberの歴史の7年間に集約されていますが、「ニコニコにいる人たちを応援する方法」をニコニコユーザーはみんな知っているので。

 「VTuber」というよりも「ニコニコ活動者」として捉えて、ニコニコに投稿したものを応援してくれる。「コメントをいっぱいすればいいんだな」とか「マイリスに入れると効果があるんだな」みたいに、ニコニコの流儀に沿った応援の方法は確立されているので。「チャンネル登録、高評価お願いします!」って言わなくていいからね(笑)。

由宇霧:
 もう! アレは言わねえとやんねえんだから! 何も応援したことない人は!(笑)

さくまる:
 だ、だって! アレをちゃんと言うと、みんなやってくれやすいって! ゆーちゅーばー、みんな言ってるもん!(笑)

芽々子:
 そうなんだ!?

さくまる:
 「その人の配信や動画は見るけど、YouTubeのチャンネル登録はしてない」っていう人とか、結構いますからね。

由宇霧:
 あくまでYouTubeの視聴を楽しんでいるわけなんで、まぁ当然っちゃ当然なんですけどね。だからこそニコニコの文化はおもしろいと感じます。

芽々子:
 なるほどー。まあでも、そうやって応援してくれる人たちの数が増えれば増えるほど、スターに近づくのかな、って思います。自分のいる界隈だけじゃなくて、その界隈を飛び越えた先でも知られることが、スターになる条件の1つなんじゃないかな。

 だから、いろんな人と交流するのはすごく大事。バーチャル以外の、二次創作をされている界隈――ボカロPさんとか、踊り手さんとか――の方たちとも仲良くして、垣根を越えて何かをすれば、新しいリスナーさんが自分のところに来て、応援してくれる。「この子、自分たちの界隈にも遊びに来てくれたから」って言って、わざわざニコ生まで足を運んでくださる方もいるんですよ。垣根を越えた先でどんどん輪を広げていけたらいいなと。

 なんて言うのかな……「ご近所さん」なんですよね、リスナーのみなさんが。私はその「地域の子供」として育ててもらっている、みたいな(笑)。そうやって地域の人たちに育ててもらうことが、ニコニコで言う「スター」に近づく道なのかな、って私は思います。

さくまる:
 くそ〜! インターネットでもコミュ力か〜!

由宇霧芽々子
 (笑)

VTuberは「音楽」ジャンルでワンチャンスを狙えるか

由宇霧:
 でもニコニコってさ、孤高の人が突然、何かしらの引力でフックアップされて、突然どうにかなることもあるじゃん。

芽々子:
 ありますあります。

さくまる:
 さっき一瞬言った「音楽は一番、スターへの道が近いんじゃないか」みたいなのがそれですね。音楽ジャンルはマジで周回民がいる(笑)。

芽々子:
 それもそうなんですけど、音楽ジャンルって、ニコニコの中でもライト層が多いんですよ。

 理由としては多分、ボカコレのアプリとイベントの存在が大きいんじゃないかなと。ボカコレのイベント中はどんどん新しい作品が公開されますし、ニコニコで再生してもらわないと上位に入れないから、楽曲自体もニコニコで先行公開される場合が多いんですよね。

 そこで楽曲を聴くためにニコニコに戻ってくる人がいたり、逆に、新たにニコニコに参入する若い世代もいたりする。あるいは、歌ってみたやボカロ曲がもともと好きだった人が、「自分も作る!」って言って入ってくるかもしれない。そういう人たちもライト層に入るから、音楽ジャンルには視聴者全体の人数が多い――というのはあるかなと思います。

さくまる:
 イベント自体が力になっているのに加えて、「ボカロはニコニコに投稿するものだよね」って考えている層もある程度はいそうですよね。そういう意味でも、さっき言った周回民の存在も含めて、音楽ジャンルにはパワーがある。そう、パワーさえあれば……!

 VTuberに関しては正直、先に「アイドル」的な文脈があって、興味を持って見に来てくれた人に歌を聞いてもらうパターンも結構あると思います。でもそれだけじゃなくて、「音楽を聞きに来るライト層」に響くだけのパワーがあれば、ニコニコで最初のワンチャンスを狙えるかもしれない。そこでリスナーを引き込めるだけのパワーがあれば、さらに上へと引き上げてもらえる可能性もあるし、何か大きなきっかけが生まれるかもしれない――とは思ってます。ビジュアルよりも歌声が大事なのかも。

芽々子:
 めちゃめちゃ大事ですね。ただ、ニコニコで「歌」で活動するなら、歌の上手さだけじゃなくてキャラクター性もすごく大事だと私は感じています。

 なので、キャラクター性のある歌い方をするVの方だったら、ニコニコは合うと思います。ころねぽちさんがそうだなと思っていて、「太陽ポカポカで草」のカバーが私、大好きなんですよ。「これはキャラクター性がすごい立ってて敵わない……!」と思いながら聞いてました(笑)。

太陽ポカポカで草/ころねぽち【歌ってみた】 – ニコニコ動画

さくまる:
 「この声の、この人が、この曲を歌ってくれるの、待ってた!」は絶対にありますよね! ――面倒くさいオタクなので一応触れておきますが、「ボカロの原曲は神」という話は一旦置いておくとして(笑)。

芽々子:
 それはもちろん! 楽曲を通して、Vの人たちのキャラクター性が伝わるのがいいところですよね。

さくまる:
 声とキャラクター性は、アルバムのジャケットみたいなものですからね。「こういう歌い手なんだ」っていうのが、一発でイメージしやすいかもしれない。

芽々子:
 だから個人的には、「Vの人たちはどんどん自分のキャラクター性が伝わる作品を作ってほしい!」って思ってます。

ニコニコ技術部から学ぶ、“お祭り”の作り方

――やや個人の感想が入るのですが、「エンターテイメント」ジャンルのランキングのタグに関しては、たしかその月の投稿数で変動していたかと思います。なので、たとえば投稿祭の期間中に「ニコニコバーチャル部」や「バーチャル本人投稿リンク」タグの動画が1,000本投稿されたら、そのタグのランキングが発生するはず。実はそれが「あつぶい祭」という投稿祭をやっている理由のひとつでもあり、個人的にも「みなさん自身で“スター”を祭り上げるための場を作ってほしいな」という気持ちがあります。

さくまる:
 「バーチャル本人投稿リンク」タグ欲しいよな〜! あのタグがランキングに載るの、いいよね。踊り手さんとか、(周央)サンゴさんとか(笑)。

※筆者補足
「周央サンゴ」さんのタグは現在はランキングに掲載されていませんが、2021〜2023年にかけて人気タグになっていた時期がたびたびあります

由宇霧:
 そう考えると、VTuberは「なんか売れたらいいなぁ」って漠然と考えながら活動してしまいがちだけど、そうじゃなくて、自分たちが売れるための土壌は自分たちで作っていかなきゃダメよね。その「自分たちで作る」ための余白が、ニコニコにはある。そんな気がしています。

芽々子:
 まだキャラクターが飽和していないニコニコなら……! でも、歌ってみたは激戦区です(笑)。

由宇霧:
 だからこそ、新しいジャンルを自分たちで耕していって、その新ジャンルの一等賞、二等賞、三等賞を目指していくことのほうが現実的だと思うし、達成感もありそう。

さくまる:
 「ニコニコ技術部」タグ【※】はめちゃくちゃランキングに載りやすいですよ……!!(マイクにめいいっぱい近づきながらのひそひそ声)

※ニコニコ技術部
テクノロジーを感じさせる「作ってみた」「やってみた」系の動画に付与されるタグ。【参考:ニコニコ大百科】

芽々子:
 な、なんだってー!?

由宇霧:
 あそこ、豊かだもんなー。

さくまる:
 ニコニコ技術部は多分、全体の投稿数に対してかなりの周回民がいる。

由宇霧:
 それと、ニコニコ技術部って……ほら、ニコニコ超会議でも存在感があって、めっちゃかっけえじゃん。車を押したりしてて。私もニコニコ技術部を超会議で見て、「オレもあれになりたい!」って思ったから、ニコニコバーチャル部のタグを作ったの。

芽々子:
 へえ〜!

さくまる:
 そこから持ってきてるんだ!

由宇霧:
 そうそう。気になったから、「ニコニコ技術部はなぜ、あんなビカビカのおもしろ車を作れるんだ!」って聞いてみたの(笑)。

 ニコニコ技術部で活躍している蒼さんをメタバースに呼び出して、「お前たちは普段から連絡を取り合いながら、あんなおもしろいものを作っているのか!?」ってお話をうかがったのだけれど――どうやら、もう長年にわたって、超会議の時期になると「そろそろやりますかァ……!」って人が集まるらしい(笑)。

さくまる:
 祭りだ〜! 本当の「祭り」だ!!!

ニコSTARSトーク!「ニコニコ技術部について教えて!」ゲスト:AOさん【CLUSTARS】

由宇霧:
 当日になると車のパーツを全部持ってくる人がいて、それをみんなで組み立てると。しかも技術部の人たちは普段からタグを周回して動画を見てるから、「誰々さん」って言えば「ああ、あの動画の人ね」ってお互いがわかる。そもそもみんな「物を作っている」っていう共通項があるから、車のパーツをパンって出されても、どうやって組み合わせるべきかわかるんだって。

芽々子:
 すげえ〜!

さくまる:
 ビカビカの車は、村の神輿と同じシステムだったんですね。「今年も山車を作るシーズンになったかぁ……よ〜し、パーツ作るぞ〜!」って(笑)。


昨日の超乗合馬車の写真で一番好きなヤツ。運営スタッフさん本当にありがとう。#乗合馬車 pic.twitter.com/aQ7yIsCN5h

— 蒼 @ニコニコ技術部 (@blaues) May 1, 2022

由宇霧:
 そうやって同じものが好きで、お互いもなんとなく「あの人は何々ができる人だ」って知っている人たちが、年に1回その“お祭り”に集まるわけだから、当然話も合うし、一緒にデカいこともできる。それを聞いて、「めちゃめちゃかっけえじゃん!」と思って。

 たとえば私だったら、メタバースの知識やライブ配信をするための技術を知っているし、ほかの人も各々に得意ジャンルがあるはず。そういうのをさ、それぞれが「オレ、最近こんなの作って〜」ってお披露目して、内輪で見せ合う場所としてニコニコが機能していれば、同じようにおもしろいことができるかもしれない。

 お互いの手の内を知っている状態で「オレたちも何かやりますか!」ってなった時に、バーチャル的な活動を普段している人ならではの、ニコニコ超会議でウケる、光る、おもしろい出し物を、みんなで作れたら最高やん? ――っていうビジョンもあって、「ニコニコバーチャル部」のタグを考えました。

 それでさ、ニコニコ超会議で「じゃあ今度はメタバース会場も用意するぞ」ってなったら、ニコニコバーチャル部の活動者が集結して「じゃあ一丁、こういうワールド作りますか?」とか話し合ってさ、きっとバーチャル部門でも同じことを起こせるはず。だったらまずは「部活」として設立しておいて、そこに集っておくことは大事だよね、と思って。――そう! 私はニコニコ超会議で! はしゃぎたいの!!

芽々子:
 はしゃごうはしゃごう〜!

由宇霧:
 バーチャルの人も、はしゃぎたいの!

芽々子:
 ちょっと宣伝なのですが、今回の超会議では、さっきも話に出た「ニコV会」の人たちでライブをやります。歌つよつよVの人たちで、歌で殴りに行くので、超会議に参加される方は覗きに来てくれたら嬉しいです!

VニコSinger バーチャル×リアル ハイブリッドステージ | ニコニコ超会議2025 公式サイト

さくまる:
 超会議いいよなー。羨ましいよなー。「超会議いいよな」問題は絶対ある(笑)。あとは「VTuberのゴールをどこに置くか」問題はめちゃくちゃ難しいので、人それぞれだと思いつつ……でもやっぱり、お祭りっていいよね(小声)。

由宇霧:
 そう、オレたちにもお祭りは必要。でも実際のところ、VTuberは人気とはいえ、そのパワーを持っている人たちはある区域に集中しちゃってるんだよね。

 で、そのパワーを持ってる人たちは、もうすでにお祭りをやってるじゃん。でもオレたちのような個人は、自分たちだけではお祭りを起こせない。だから「ニコニコ」という場所に身を置くことで、でっかい人たちが準備してくれているあんなすげえ会場で、一緒にお祭りをさせてもらったほうが幸せなんじゃないかなと思う。

さくまる:
 それは、そう。YouTubeでは、本当に力を持っている人が、それぞれのパワーを用いてお祭りをやってますよね。その点で言うと、ニコニコには公式のデカいお祭りがあって――投稿祭イベントも“お祭り”だと思ってるんですけど――そこに乗せていただくのも楽しいので。

由宇霧:
 ね! むしろその「ほかの界隈とも交じれるお祭り」っていうのが、またいいんじゃない? うちら(VTuber)だけのお祭り、じゃなくてさ。私はニコニコにそれを期待してます。

あつぶい祭に参加することで得られる「チャンス」と「パワー」

――大手VTuber事務所では年に1回のお祭りイベントが定着しましたし、それ以外でも、近年は大小さまざまなリアルイベントが盛り上がっている印象があります。あつぶい祭はリアルイベントではありませんが、そのような“お祭り”の一種として、大勢のVTuberさんに参加していただければと考えて開催しています。あつぶい祭の楽しみ方と、どのようなVTuberさんにおすすめできるかを、改めてお聞きしてもよろしいでしょうか。

さくまる:
 先ほどまでの話と重なる部分から先に言うと、まず、周回民が発生します。つまり「少なくともタイトルは見られる」と思っていい。YouTubeに投稿した動画は、今は下手するとほぼ誰の目にも入らない可能性もありますが、あつぶい祭に関しては、マジで「全部見ている」ような人間がそこそこいます。

 なので「俺はBIGになる予定なのに、まだ見つかってないんだぜ」民のVTuberの方は、ニコニコに投稿してみてもいいんじゃないかなー? もちろんニコニコとの相性の良し悪しはあるかもしれませんが、「まだ見つかっていないだけ」の方々は、もしかしたらそれだけで跳ねるかもしれないので。そのチャンスはまわってくると思います。

芽々子:
 あつぶい祭のタグって、投稿する参加者側も結構巡ってるんですよ。「どういう人が参加してるんだろう?」って巡る楽しさもありますし、結果発表の放送を見ながら「たしかにあの作品はここがおもしろかった!」って言って、みんなで一緒に最後の最後まで楽しめる。それはあつぶい祭に限らず、ニコニコの公式番組全体に言えるおもしろさだと思います。

 そういう意味では、リスナーとしてもいろいろな作品を見たい人、お祭りそのものを楽しみたい人にもおすすめです。あとは歌ってみたに関して言うと、歌ってみた動画をニコニコに投稿しているVの方って、普段は歌い手さんとも混ざってランキングを争ってるんですよ。

さくまる:
 熾烈だよな……。

芽々子:
 そうなんですよ……大変なんですよ……! 自分の身近な人たちからも、「一瞬だけランキングが上がったけど、そこから先はダメだった……」って話をよく聞くんですよね。これは、バーチャルではない歌い手さんの目線でもそうだと思います。

 でも、あつぶい祭はVの人しか参加していませんし、「ニコニコに動画を投稿しているVの人」の総数で言うと、YouTubeやニコニコ全体よりも遥かに少ないんですよ。要するに……目立ちます。とても目立ちます! 良い作品を出せば出すほど目立てるので、一種のチャンスだと思って投稿してみるのもありなんじゃないかな。

――ちなみに、今回は歌コレと開催期間が重なるので、同時投稿もOKです。

さくまる:
 踊コレとも被せてくれーッ!

芽々子:
 同時投稿OKなんですか!?

――両方のイベントのタグを付けることで、賞を得られる確率が倍になります。

さくまる:
 すごい! ガチの大チャンスじゃん。いいな〜! 本当に羨ましい!

芽々子:
 これはチャンスですよ。歌ってみた動画のお話をしましたが、もちろんそれ以外の動画でも目立つのでぜひ! 最近ちょうど作っていた作品があるなら、投稿祭にぶつけてみてもいいと思います。あとは「ランキングだけじゃない」っていうシステムもいいですよね。

さくまる:
 そうそうそうそう。ランキングのシステムも、あれはあれでいいですけどね。YouTubeにしか投稿していない人には、ランキングのおもしろさも感じてほしくはあります。

芽々子:
 賞に輝かなくても、投稿期間中に目立てればOKな人も絶対にいると思うので。過去のあつぶい祭では「ほかにもこんなにたくさん、いい作品があったんですよ!」とまとめたリストが出たこともあったので、紹介してもらえるチャンスはぜんぜんあります。

由宇霧:
 由宇霧からはアレやな。「特化Vの方にぜひ投稿していただきたいです」というのと、せっかく「バーチャル」のタグがあるので、メタバースで活動している人にも投稿してほしいです。

 というのも、メタバースには普段からイベントをしている人がいっぱいいるんですよね。カフェっぽいお店をやっている人もいれば、ショーイベントもある。その手のイベント情報はSNSや専用のイベントカレンダーを使って共有されることが多いのですが、新しい宣伝場所として、プロモーションビデオを作ってニコニコに投稿してみてはいかがでしょうか。

芽々子:
 投稿祭の対象になる動画ですが、すでにYouTubeでは公開されていて、ニコニコには投稿していない作品も……?

――投稿していただいてOKです!

芽々子:
 だそうです!

さくまる:
 チャンスじゃん! 歌ってみた動画なんていっぱい持ってるでしょ! みなさん!

由宇霧:
 右から左に!

さくまる:
 上げるだけだぜ!

芽々子:
 そう! 上げてタグを付けるだけ! ちなみに、爆発系はニコニコの民に受けます。

さくまる:
 ニコニコの文脈を知ってる人、いるでしょ? 隠してるだけで。みんな、カマトトぶって!(笑)

由宇霧:
 そう! メタバースでもめっちゃ会うよ。「もともとニコ生やってたんです〜!」って人。帰ってこいよ!

さくまる:
 ニコ生民は潜伏率が高いからね。バーチャルキャストとかもありましたし。

――それと投稿する際には、あつぶい祭のインフォメーションに記載されている「推奨タグ」をご活用いただければと思います。

さくまる:
 タグロック、忘れるなよ! 最初に付けたタグはちゃんとロックされるから大丈夫だけど、あとで編集で付けたやつはちゃんとロックしないと付かねえからな!

芽々子:
 期間中なら、投稿後でもタグロックをすれば該当動画になるから、「付け忘れた!」って焦らなくてもいいからね。

――ありがとうございます。ちなみに、さくまるさんと芽々子さんは過去のあつぶい祭での受賞経験がありますが、参加してみてよかったことや、受賞しての感想などありましたらぜひお聞かせください。

芽々子:
 「認められた」という嬉しさは大きかったですね! 実はあつぶい祭では、デビュー前に「準備中賞」も受賞させていただきました。ただ、その賞に参加している人自体が少なかったから受賞できた可能性もあって(笑)。

さくまる:
 あの時期は準備中のVTuberがめちゃくちゃいましたよね。

芽々子:
 あとは「“準備中”のVが作品を投稿するって、どういうこと?」っていう感覚も、当時はちょっとあったかもしれません。

さくまる:
 たしかにね(笑)。

芽々子:
 準備中賞に関しては、「これはとれる!」と思って投稿したんですよ。その時は自信しかなかったのですが、あつぶい賞のほうは、もう本当に欲しくて欲しくて。だって、大きいタイトルじゃないですか。「大きいタイトルを受賞できたら、ニコニコのいろんなところで使ってもらえるかも」「あつぶい祭に関わる広告宣伝にも呼んでもらえるんじゃないかな」って思ってたんですね。

 残念なことに、「あつまれ!ばーちゃる!」の番組自体がそのタイミングで終わってしまったので、「番組に呼んでもらう」という目標は達成できなかったんですけど……。でも、今回のような座談会に呼んでいただけるきっかけにもなりましたし、その後のいろいろな活動に繋がっている部分もあるので、受賞できて本当によかったです。

【オリジナル楽曲】『星のスターダム』/ あもま feat.芽々子【 #歌ってみた 】 – ニコニコ動画

さくまる:
 わかりみー。逆に僕は、とれると思ってなかったです!(笑)

 そもそもの話をすると、受賞した動画はYouTubeには以前から投稿してあったもので、ニコニコナイズしてないんですよ。「ニコニコ動画っぽいな」とは思ってたんですけど、YouTube用に作っちゃったので、ニコニコには投稿していませんでした。

 既存の動画を投稿しただけなので、めちゃくちゃ伸びたわけじゃないですし、受賞するとも思ってなかったんです。でも「せっかくのお祭りだから参加したいなー」と思って投稿してみたら……そう、審査員制だから!(笑) 審査員の方に選んでもらう形式だったから、別に再生数が多くなくても賞をもらうことができて、めっちゃびっくりしました。

【世界初?】Vtuberが空中ブランコに挑戦してみた! – ニコニコ動画

さくまる:
 さっきの話とまた重なりますが、大前提として、お祭りは「参加できればとりあえずOK」だと考えています。賞をとるのは二の次……とまでは言いませんし、受賞できたら当然嬉しいのですが、それは「パワーが上がる」からだと思っていて。

 受賞をきっかけに動画を見てくれる人がいたり、こうやって座談会に呼んでもらえたり、参加することでいろいろな「パワー」を得られる。「めちゃくちゃ再生される」のもある意味ではパワーだと思ってるんですけど、再生数ではない「審査員」という基準があるのもいいなと思います。「その審査員が選ぶなら」という箔が付くので。

 そう、僕は「パワー」が一番好きなんですね(笑)。パワーと、あとは「特別」を求めています。「もしVTuberとして活動していなかったら、決してできないような何か」をやるために、僕はVTuberをやっているので。受賞できたことも嬉しいですが、それ以上に、お祭りに参加することによって与えられるチャンスと、そこでいろいろなパワーを得られたことが、すごく嬉しいなと思っています。

 投稿祭の話が中心になるかと思いきや、「ニコニコ」全体を取り巻くカルチャーや、プラットフォームとしての特徴、そして「インターネットで活動をする」ということにまで話題が及んだ、今回の座談会。活動者としても住人としても、長年にわたってネットで過ごしてきた3人ならではの指摘もあり、ここまで目を通してくださった読者の皆様には、きっと興味深く読んでいただけたのではないかと思います。

 座談会の中でもお話があったように、ニコニコの投稿祭の大きな特徴は、誰にでもチャンスがあること。そしてそれ以前に、誰でも気楽に参加できるお祭りイベントでもあります。VTuberとして活動している人も、そうでない人も、この機会にニコニコで動画を投稿してみてはいかがでしょうか。

 「あつぶい祭2025春」の投稿期間は、3月18日から23日夜まで。今から動画を作り始めてもぜんぜん遅くはありませんので、ぜひお気軽にご参加ください!

【あつぶい祭2025春の詳細はこちら】

開催概要イベント名

あつぶい祭2025春

投稿期間

2025年3月18日(火)00:00 〜 2025年3月23日(日)23:59
※歌ってみた Collection 〜2025 Spring〜との同時参加も可能です!

参加方法

1.投稿期間内にニコニコ動画に動画を投稿
2.[あつぶい祭2025春]タグを付与・タグロックしてください。(一部、複数のタグロックが条件となる場合もあります)

・ご自身が投稿する権利をお持ちの動画であること
・ニコニコ動画に未発表の動画であること
・ご自身が「バーチャル」的な動画であると考える動画であること

※ニコニコ動画で初出、未発表の動画であれば、他の動画サイトに既に投稿している動画であっても賞の対象になります。

投稿祭とは?・あつぶい祭ってどんなイベント?

 あつぶい祭はあらゆるバーチャルな動画作品の『投稿祭』です!

 投稿祭はニコニコならではの文化で、お祭りごとのテーマやジャンルに沿った動画作品を皆で一斉に投稿するイベントです。投稿したあなたも、あつぶい祭の投稿作品を巡回するあなたも、みんなお祭りの参加者です!

 また、あつぶい祭ではいくつかの賞を用意しています。賞はすべて審査員が直接選定!誰にでもチャンスがあります! バーチャルなら歌・企画・切り抜きなどなんでもOKな動画投稿イベント。あつぶい祭で、バーチャルをいっしょに楽しみましょう!

「あつぶい祭2025春」の詳細はこちら!
https://blog.nicovideo.jp/niconews/242625.html

 


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