09年エリザベス女王杯を制したクィーンスプマンテと田中博康騎手(当時)(c)netkeiba 今週から新たに田中勝春師、柄崎将寿師、秋山真一郎師の3名の元騎手が新規開業を迎えた。一方で先週末の開催を最後に引退した調教師の中で元騎手だったのは4名。これにより東西トレセンで185名いる調教師の中で元JRA騎手の調教師は54名となった。かつて騎手として重賞を制したトレーナーや、調教師として悲願のタイトルを狙うトレーナーなどその経歴は様々だが、次世代の競馬ファンにもジョッキーとしての現役時代は語り継いでいきたいもの。今回はその中から厳選して東西2人ずつを紹介する。
まずは美浦から。元ジョッキーの調教師は28名いるが、とりわけ騎手時代の実績が光るのは蛯名正義調教師だ。騎手としてJRA通算21183戦2541勝。JRAではGI・26勝を含めて重賞を129勝している。また、凱旋門賞では99年にエルコンドルパサー、10年にナカヤマフェスタで2着となり、世界一にあと一歩まで迫った。調教師としては22年に開業して、ここまでJRA通算49勝。騎手として届かなかった日本ダービー制覇を期待したい。
もう1人は田中博康調教師だ。騎手としてJRA通算3727戦129勝。09年のエリザベス女王杯をクィーンスプマンテで制し、大波乱の主役となったシーンを覚えているファンは多いはずだ。調教師としては18年に開業し、レモンポップやローシャムパーク、レーベンスティールやミッキーファイトなどの重賞ウイナーを管理。39歳ながら、早くもトップトレーナーの地位を確固たるものとしている。
続いては栗東だ。こちらは元ジョッキーの調教師が26名。その中では福永祐一調教師の存在感が飛び抜けている。騎手としてJRA通算19497戦2636勝。JRAではGI・34勝を含めて重賞を160勝している。20年にコントレイルでクラシック三冠を達成したのは記憶に新しいところだ。調教師としては僅か1年のキャリアだが、早くも重賞2勝。現2歳にはコントレイル産駒も控えており、そう遠くないうちにGIタイトルに手が届くだろう。
もう1人、須貝尚介調教師も取り上げたい。騎手としてJRA通算4163戦302勝。萩本欽一オーナー(名義は萩本企画)のアンブラスモア、北島三郎オーナー(名義は大野商事)のキタサンヒボタンなど、著名人の所有馬で重賞を制した。調教師としてはゴールドシップやジャスタウェイ、ソダシなどを手掛け、これまでJRA・GIを15勝。誰もが認める西のトップトレーナーが、次なるスターホースを送り出す日を心待ちにしたい。