
《やっぱりプラなのよ》
《スタバ紙ストローやめてくれるのか!ありがとう!!!!》
そんな歓喜の声がSNS上にあふれていた。
スターバックスが紙ストローを廃止
昨年12月、スターバックスコーヒージャパン株式会社(以下、スターバックス)が、これまで使用していた紙ストローを廃止し、新たにプラスチックストローを導入することを発表したのだ。
スターバックスでは、環境保護の観点から石油由来のプラスチック製ストローの廃止を進め、2020年1月に紙ストローを導入していた。しかし、それからおよそ5年で紙ストローを廃止し、バイオマスプラスチック製ストローに切り替える決断をしたのである。
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その背景には、利用者から寄せられた“切実な声”があった――。
紙ストローの反応はさまざま
Xのポストやネットのコメントでは、紙ストローに対して「飲みにくい」「すぐふやける」といった飲み心地や質感、口当たりの違和感について、反応は様々だった。
スターバックスにもそのような利用者の声は届いていたそうだ。(以下、「」内はスターバックス広報担当のコメント)
「紙ストローに対するご感想として、紙ストローは長時間飲用いただくとふやけやすく、飲み心地の観点からお客様よりご意見をいただいておりました。
そこで弊社では改良を重ね、2021年6月に紙ストローの層を3層から、4層に厚くするなどして切り替え、強度や耐久性を見直すなどの改善をおこなってきました」
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新素材で環境と体験の両立?
紙ストローの改良を重ねてきたものの、利用者の声に大きな変化は見られなかった。
そこでスターバックスは、環境負荷の低減と利用者の体験向上を両立するため、総合化学メーカー・カネカが開発した「生分解性バイオポリマー Green Planet(R)」を使ったプラスチック製ストローへの切り替えを決断したという。
「お客様の体験向上、飲み心地の追求をし続け、環境負荷低減とともに両立できる素材である、生分解性のバイオマス度99%のストローへの切り替えに至りました」
公式サイトの情報によると、この新ストロー「Green Planet(R)」の原料は主に植物油。植物が光合成によって大気中のCO2を吸収する特性を活かしており、その吸収量と焼却時に排出されるCO2がプラスマイナスゼロとなる仕組みだそうだ。また、紙ストローに比べ重量が約半分に抑えられ、輸送や廃棄にかかるエネルギー消費も削減されるなど、ライフサイクル全体での環境負荷が軽減されることが確認されたとのこと。
さらに、この新ストローは紙ストローの弱点だった「時間が経つとふやける」という課題を克服。フラペチーノなどを最後まで快適に楽しめる仕様となっているそうだ。
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今回の決断には、利用者から寄せられたリアルな声に真摯に向き合い、飲み心地を重視する一方で、環境への配慮も欠かさないというスターバックスの姿勢がうかがえる。
沖縄での先行導入、その反響は?
スターバックスはこのバイオマスプラスチック製ストローを、2025年3月以降、全国で展開する。それに先駆け、沖縄県内の23店舗で1月23日から新ストローの先行導入を実施した。
「沖縄ではアイスビバレッジの提供比率が全国平均よりも15ポイント以上高く、ストローを使用する機会が多い地域です。そのため、先行導入の場として適していると判断しました。
導入直後、実際に店舗で使用したお客様からは、『おいしい』『なめらかで飲みやすい』『これまでのプラストローと変わらない』といった、素材に関するポジティブな意見が目立つ一方、『環境負荷が低い素材』『サステナブルな選択』といった環境面での評価も多くいただきました」
ストローだけじゃない環境配慮
今回導入されたバイオマスプラスチック製ストローは、スターバックスの環境への配慮の一例に過ぎないとスターバックス広報の担当者は語る。
「ストローは環境負荷低減のための取り組みの一つです。このほかにも、タンブラーの利用促進や店内でのグラス提供、環境に配慮した店舗づくりなど、事業活動全体を通じてサステナブルな行動を展開しています。これからも私たちの理念に共感いただけるよう、さらなる努力を続けてまいります」
――沖縄での導入成功を皮切りに、今後全国に展開されるバイオマスプラスチック製ストロー。ネット上では、待望のプラ製・新ストローの登場に期待の声も多く寄せられている。このストローの効果と反響が、持続可能な社会づくりにどのように貢献していくのか、今後も注目である。
取材・文=逢ヶ瀬十吾(A4studio)