
真冬の夜、小さな鳴き声が静かな夜の闇を引き裂くように響いていました。その声は一晩中続き、翌朝、飼い主さんが庭を確認すると、段ボール箱の中で震えている子猫を発見――それが、元保護猫の女の子「ゆず」ちゃんと飼い主のX(ツイッター)ユーザー・バニラさんの出会いだったといいます。
幼少期から猫とともに暮らしてきた飼い主さんにとっても、ゆずちゃんとの出会いは忘れられない特別な出来事でした。
寒い冬の朝、段ボール箱の中で出会った小さな命
2014年12月の夜、静寂を引き裂くように小さな鳴き声が響いていました。飼い主さんはその声にすぐ気づいたものの、母猫が近くにいるのではないかと思い、一晩様子を見ることに。翌朝、様子を見に行くと、自宅の庭に段ボール箱が置かれていることに気づきました。
「中には、生後2カ月ほど、小さな子猫が入っていたのです。まだとても小さく、怯えていました。このままでは危険だと思い、保護することに。おそらく誰かが庭に置いていったのでしょう。真冬に捨てられるなんて、かわいそうでたまりませんでした。それが、ゆずとの出会いです」
|
|
こうして、ゆずちゃんは新しい家族として迎えられることになりました。
怯えて隠れる日々ーゆずちゃんが心を開くまで
保護直後、ゆずちゃんはとても怯えていて一日中、家具の後ろに隠れていたといいます。家に慣れてくれるだろうかと飼い主さんは心配しましたが、少しずつ変化が現れました。
「しばらくすると、ゆずがソファの上でくつろぐようになったのです。その姿を目にしたときは、本当にうれしくてたまりませんでした」
そして、ゆずちゃんはどんどんツンデレ女子になっていったといいます。
「当初は、9割がツン(笑)。ひとたび甘えスイッチが入ると、階段でゴロンと寝そべって『撫でて』アピールをするなど、デレ全開になっていました。今では、9割がデレに。すっかり甘えん坊になりました」
|
|
痛みから解放され、穏やかな日々へ
保護当時、ゆずちゃんは歯の状態が悪く、とても痛そうにしていたといいます。動物病院で診察を受けた際、先生から「母猫のおなかにいた頃から栄養状態が良くなかったためでしょう」と説明を受けたそうです。
「悪い歯は抜くしかなかったため、現在は3本しか歯がありません。でも、痛みからは解放されました。最初に機嫌が悪かったのは、きっと歯が痛かったからだと思います。でも、それ以外はとても健康で、ごはんもよく食べてくれています」
歯が少ないことで多少の不自由はあるかもしれませんが、ゆずちゃんは10歳になった今、飼い主さんの愛情に包まれ、健やかな暮らしを送っています。
「これからもおいしいごはんをたくさん食べて、元気で長生きしてほしいです」
ゆずちゃんは、もうひとりぼっちではありません。飼い主さんに愛情を注がれながら、穏やかな日々を送っています。これからも幸せな猫生を送っていくことでしょう。
|
|
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)