せっかく注いだお酒があらら…「どうなってるの?」「鶴の恩返しが始まるのかと」

0

2025年03月06日 11:30  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

8分目までお酒を注ぐと、何の変化もありません(動画よりキャプチャ/提供:菊水酒造)

 鶴の酒器にお酒を注ぐ不思議な動画が、Xに投稿されました。

【動画】あら不思議、杯からお酒が流れ落ちます

「こちら、菊水酒造の所蔵する【鶴の摩訶不思議な酒器】です。
瞬き厳禁で、ご覧ください。」

 こんなコメントとともに動画を投稿したのは、清酒を製造販売する明治14年創業の「菊水酒造(公式)」(@KIKUSUI_PR)です(新潟県新発田市)。

 鶴の酒器にお酒を8分目まで注ぐと、鶴がお酒の中に浮かんでいるように見えます。ここでお酒を飲むのかな?と思っていると、さらにお酒が追加されました。なみなみとお酒が注がれたその瞬間、突然お猪口の下からお酒が流れ出てしまいます。さっきは8分目まで注がれた状態を保っていたのに、8分目まで減っても止まりません。結局全て流れ出てしまう不思議な動画に驚く声が寄せられました。

「不思議 どうなってるの 欲しくなった(^◇^)」
「鶴の恩返しが始まるのかと思いました!」
「トリックで見たやつだ」

 こちらの酒器は「十分杯」と言われるもので、「可愛らしい見た目に反して、欲張って八分目以上注ぐと、底から酒が全て流れ出てしまう、何とも容赦ない仕掛け酒器なのです」と菊水酒造の担当者さん。逆にお酒好きにはたまらない盃なのでは?というおもしろいコメントも集まっています。

「口にくわえて仰向けになって呑める便利な機能ですね」
「はよ飲まんかい盃ですねw」
「のんべえ『なるほど!つまり手に持つからダメで口にくわえて注いでもらえ、誰かの支えなしに呑めないので人付き合いは大事にしろとの教訓ですね!』 いやちが〜う」

 8分目以上にお酒を注ぐと全て流れ出てしまう理由は、鶴のなかにある管にお酒が満たされると下の穴から水が出だし、そのままサイホンの原理で全て流れ出てしまうからです。菊水酒造の担当者さんにお話を聞きました。

――ほっこりした雰囲気の鶴の十分杯は、どのような経緯でお持ちなのですか?

 現在は、 菊水日本酒文化研究所の資料の一つとして所蔵しておりますが、 元々は菊水酒造の先代(4代目)社長高澤英介が、贔屓にしていた新潟の老舗料亭よりいただいたものだと聞いております。

――調べてみると、鶴に限らず、植物やキャラクターなどいろいろな十分杯があるのですね。

 特に新潟県長岡市では商品化されたり、大学のゼミで研究されたりしているようです。

――なぜ今ポストされようと思われたのですか?

 弊社の施設内にあります菊水日本酒文化研究所には、お酒や食文化にまつわる酒器や書物が約3万点ほど、所蔵されているのですが、「鶴の十分杯」はその中でも、とりわけ中の人のお気に入りの一品でして、ぜひ見ていただきたいと思い、投稿に至りました。

――ポストが1500万回近く表示されてたくさんの人に見ていただけましたね。

 正直驚いておりますが。実は先日も「精米歩合 23%の酒米」がいわゆる【バズり】まして…嬉しいです。菊水酒造は、美味しいお酒を造り、皆さまにお届けすることはもちろんですが、日本酒の楽しさ、面白さをお伝えする「コトづくり」にも取り組んでいます。そのため、 今回の投稿で「日本酒の面白さは飲むだけではない」ということを皆さまにお伝え出来たら、また日本酒を飲んだことがない方に興味を持っていただけるきっかけになっていたら、これほど嬉しいことはございません。

――こんな酒器で飲む日本酒も楽しいですね。

 「十分杯」 が登場したといわれる江戸のころ、 庶民がお酒を買え、 自由に飲める時代になってから、他の産業(窯業・ 飲食など)の発展も相まって、酒席に様々な楽しさが発展します。この十分杯も戒めの意味がありながら、洒落の要素もあり、その一つの例かなと個人的には思っています。仕掛け酒器をきっかけにお酒の持つ「人を楽しませる力」、「人を集める力」などが伝わると良いな、と思います。

――清酒メーカーさんとして、この酒器に合うお酒はどんなお酒だと思われますか?

 広報としては、「ぜひとも弊社の代表銘柄の『菊水ふなぐち』でお願いいたします!」と言いたいところではありますが、 飲む方のお好きなお酒でお楽しみいただけたら、何よりかと思います。ただ、構造上詰まる恐れがありますので、醪等固形物を含むにごり酒は避けていただくのをおすすめしております(笑)。

 ◇ ◇

 「菊水日本酒文化研究所」には、「十分杯」のほかにも粋で愉しい仕掛け酒器が多く展示されているそう。また、2025年4月下旬ごろには、ショップやカフェ、ラボの“発酵エンターテイメント”体験施設『KIKUSUI蔵GARDEN』もオープン予定です。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)

動画・画像が表示されない場合はこちら

    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定