
3月に上がりやすい業種は?
3月は年度末ということで、大半の企業にとって3月期決算の業績が確定する月であり、決算に伴い株主優待や配当の権利が確定する月です。3月相場は決算対策の売りや、機関投資家による運用ファンドの利回り評価引き上げのため「ドレッシング買い」が入りやすい月といわれており、さまざまな要因で株価が大きく動く時期です。今回は、3月の株式相場においてどのような業種が上がりやすいのか、日経平均採用銘柄(225銘柄)の過去の株価データから統計的に検証してみました。
■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
■検証期間:2000年1月1日〜2025年1月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:2月末の寄り付きで買い
■売り条件:25営業日経過後の翌営業日寄り付きで売り
2月末にある業種の銘柄をすべて購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に勝率が50%以上で損益がプラスならば3月は株価が上がりやすく、逆に勝率が50%未満で損益がマイナスならば、株価が下がりやすい月となります。
3月相場で好調な業種ベスト3
以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果、勝率の高かった業種は以下の通りです。1位:倉庫(1銘柄)

勝率:68.00%
勝ち数:17回
負け数:8回
引き分け数:0回
平均損益(円):8,109円
平均損益(率):4.05%
平均利益(円):18,695円
平均利益(率):9.35%
平均損失(円):-14,387円
平均損失(率):-7.19%
合計損益(円):202,718円
合計損益(率):101.36%
合計利益(円):317,817円
合計利益(率):158.91%
合計損失(円):-115,099円
合計損失(率):-57.55%
PF(プロフィット・ファクター):2.761
平均保持日数:25.44日
2位:小売業(10銘柄)

勝率:63.08%
勝ち数:135回
負け数:79回
引き分け数:2回
平均損益(円):6,452円
平均損益(率):3.23%
平均利益(円):18,250円
平均利益(率):9.13%
平均損失(円):-13,547円
平均損失(率):-6.77%
合計損益(円):1,393,588円
合計損益(率):696.81%
合計利益(円):2,463,792円
合計利益(率):1,231.93%
合計損失(円):-1,070,204円
合計損失(率):-535.12%
PF(プロフィット・ファクター):2.302
平均保持日数:25.37日
3位:その他金融(3銘柄)

勝率:62.86%
勝ち数:44回
負け数:26回
引き分け数:0回
平均損益(円):7,511円
平均損益(率):3.76%
平均利益(円):21,395円
平均利益(率):10.70%
平均損失(円):-15,985円
平均損失(率):-7.99%
合計損益(円):525,763円
合計損益(率):262.89%
合計利益(円):941,378円
合計利益(率):470.70%
合計損失(円):-415,615円
合計損失(率):-207.81%
PF(プロフィット・ファクター):2.265
平均保持日数:25.41日
以上が、3月相場で好調だった3業種の検証結果です。検証結果を見てみると、どれも勝率が50%以上で1トレード当たりの平均損益もプラスになっています。したがって、この3業種は3月に上がりやすい傾向があるといえるでしょう。
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3月の好成績銘柄ランキング
では最後に、これらの業種の中でも上昇傾向が強く、3月相場で特に好調だった銘柄をご紹介します。
表は、先ほどの検証においてトップ3だった業種の中で、勝率が60%以上の銘柄ランキングです。「日本取引所グループ<8697>」「高島屋<8233>」「ファーストリテイリング<9983>」が、勝率70%を超えており好調です。
買い勢力、売り勢力ともに材料豊富な3月相場ですが、特に勝率が高い上記3業種(倉庫、小売業、その他金融)の銘柄に注目してみてはいかがでしょうか。
※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします
文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
(文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー))
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