世界屈指のコンテナ取扱量を誇る米ロングビーチ港=4日、カリフォルニア州ロングビーチ(AFP時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権は5日、前日に発動したカナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税をわずか1日で大幅修正する方針を表明した。影響が大きい自動車への適用を1カ月免除するほか、対象品目の拡大も検討する。米国の企業も急な変更に振り回されており、トランプ政策の不確実性が浮き彫りになった格好だ。
免除対象は、貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に準拠した自動車。協定では、3カ国からの部材調達比率が75%以上などの要件を満たせば、無関税で取引ができる。このため、日本メーカーを含む自動車各社は3カ国内でサプライチェーン(供給網)を構築しており、関税による打撃が大きいと懸念されていた。
レビット大統領報道官は5日の会見で、フォード・モーターなど米自動車大手3社からの要望を受けたと説明。低関税の輸入車に対し、3カ国で製造する米社が「経済的に不利にならないようにする」と話した。米メディアによると、一部農産品や原油などカナダ産エネルギー製品の適用除外も検討されている。
トランプ大統領は2月1日、不法移民と合成麻薬フェンタニルの米国流入への対抗策として、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課すと決定。しかし、発動数時間前に1カ月延期した。今回も発動前日の今月3日に「既に決定した。交渉の余地はない」と言明したものの、除外措置の導入に転じた。
4月2日には、関税や非関税障壁の高い国・地域に同等の関税を課す「相互関税」を導入する計画。自動車への追加関税も発表する予定だ。トランプ氏は今月4日の議会演説で、相互関税に関連し、カナダとメキシコを名指ししており、適用対象となる可能性がある。
高関税や方針の急転換で注目を集める「トランプ劇場」を巡っては、「貿易、市場、世界経済に波乱を起こす」(米シンクタンク研究員)との警戒感が強まっている。